7都府県に緊急事態宣言が出され、その他の地域でも宣言の要請や独自に宣言を

出すなど、まさに「国難」の様相を呈していると言われています。

現在、休業要請の対象やその補償をづするかが議論されていますが、そもそも休業

要請の根拠が一部を除いてあまりわかりやすく伝わっていないようです。

緊急事態宣言で初めて可能となるのが、特措法45条の学校や社会福祉施設、さらに

多数の利用がある施設に制限や停止などの要請ができます。多数とは、政令では、

1000㎡以上の施設と定められています。これらの施設については、特に必要と認めら

れるときは指示までできて、要請と同様に公表が義務づけられています。

特措法62条には、損失補償等があります。それは、検疫を行うために病院や宿泊施設

の使用や臨時の医療施設を開設するために土地や家屋、物資を使用する時、医薬品

などの必要な物資の生産、販売、輸送をする者に対して、その所有者に対して売り渡し

を要請、特に必要がある場合は、収用することができます。これらの「処分」が行われた

ときは、損失を補償をしなければならないとされています。また、医療関係者に診療を

要請し応じたとき、また応じない場合で特に必要がある場合は、医療を行うことを指示す

ることができ、これらについて、実費を弁償をしなければならい、とされています。

ここでは、「要請」でも、実費弁償をするということが定められているのです。

ここまでの規定では、飲食店や小売店、ライブハウスなど施設については、まったく、

出てきません。

では、何を根拠にするかというと、

緊急事態宣言だからというのではなく、知事の権限として、特措法24条で、対策を的確

かつ迅速に実施するため必要があると認めるときは公私の団体又は個人に対して、

その区域に関わる対策の実施に関し必要な協力の要請をすることができる、とされて

おり、これを根拠にしようとしているのです。

明かに緊急事態宣言の出される前の注意喚起などが想定されている趣旨と考えれます

が、この条文には、具体的な事柄を決めることにが政令に委任されている訳ではない

ので、知事が独自に決められるということになっています。

特措法45条の緊急事態宣言の出された区域の住民に対して、生活の維持に必要な

場合を除きみだりに居宅等から外出しないことを求めていますが、大規模施設などを

除いて商店の休業要請はこれ以上のインパクトがあり、法はこれを規定していない

のです。損失補償の問題と外出自粛がなければ、そもそもお客さんが商店等にいかず、

休業要請はする必要性は薄い、という考え方があったのだと想定されます。確かに

そのとおりと思いますが、より徹底するのであれば、外出の目的施設も閉まっていれ

ば、外出自粛の徹底がより図れるのも事実でしょう。しかし、ここに生活、経済があるの

であり、ここまで徹底さを求めるのでれば、公的に何らかの補償するのは、当然と言える

のでないでしょうか。繰り返しますが、そうだからこそ、特措法にこのような規定がありま

せん。

特措法では、要請された医療関係者の診療の実費を弁償することが規定されています

ので、コロナウィルス対策は、感染拡大防止のために通常の事業活動を犠牲にして休業

を要請によって行った事業者についても、実費(相当)を弁償(補償)することに違和感は

あまりないのではないでしょうか。

もちろん、実費どころではなく、実際の損失を補償するべきだという考え方も強く、

憲法29条の「私有財産は、正当な補償の下に、これを公共のために用いることができる」

によって、直接請求が可能ではないか、と論理構成をすることも提案されています。

未曾有の事態において、法に一部不備というか想定していない事項があるということは

あるでしょう。少なくと何かを対策をとううとするときに現行法を根拠にすることが当然で

あり、直接適用するのが難しければ類推もありますが、法を根拠にしなければ、その

時々の権力を持っている人の恣意的な運用を認めてしまうことになるので、現行法で

何が不足して、どうすればよいのか、それをしっかりと説明した上で、緊急事態のもと、

当面、類推拡大解釈を適用する、ということを明らかにしていき、時間

をおかず、立法に取り組んでいくことが法治国家の基本ではないでしょうか。