fweltrgerのブログ

fweltrgerのブログ

ブログの説明を入力します。

Amebaでブログを始めよう!
 こう怒られても仕方がなかった。苦笑ともテレカクシともワケの分らぬ笑いが顔にからんで放れないのだ。彼は笑いを咎められたので、笑いを隠すために図太く出て見せなければならなかった。
「ボクたちは青春をたのしもうよ。キミの年齢で本の虫になるなんて、バカらしいよ」
 冷静な声だった。彼は自分が意外にもフテブテしいのを、このときはじめて見たのである。彼はもう成行にまかせるばかりであった。そして、彼女を見つめて、言葉をつづけた。
「キミはこのへんで本と眼鏡に袂別べいべつすべきじゃないか。キミの一生にとって、それはどうせ一時期のものにすぎないのじゃないか」
「そんなこと、どうして云えるのよ」
「待ちたまえ。キミ、フィリピン 結婚コンパクト、持ってるね。貸してみたまえ」
 彼はコンパクトを受けとると、鏡を彼女の顔にかざし、たったいま彼女にかけてやったばかりの眼鏡を再び取りはずした。
「これがキミの可愛いそして本当の素顔だよ。ね。眼鏡は余計ものなんだ。もう、この眼鏡はかけない方がいいと思うんだ」
「眼鏡だってアクセサリーの一ツだわ」
「キミには有害無益のアクセサリーだよ」
「趣味の問題よ」
「そう。しかし、キミの悪趣味だ」
「本当に、そう思う?」
「むろん。しかし、眼鏡はキミの自由にまかせるが」と眼鏡とコンパクトを彼女に返して、「人の意見も一応耳に入れておきたまえ。ところで青春をたのしみましょうという提案に対する御返事は?」
「アナタのような悪人、はじめてよ」
「人生を割りきってるだけのことなんだ」