予告ネタバレあり本編6刀uリチャードギア久方ぶりに実家に帰ると去年の紅白を見ながらぶつぶつつぶやいている親父の姿があった。
どうやらマルマルモリモを無邪気に踊り歌う芦田真菜と鈴木福に相好を崩しながら、可愛いなぁ、こんな孫がいたらいいなぁなどと独り言を述べているようである。
鼻から波紋のように広がった親父の刻まれた無数のシワを見て、老いたり親父と思わないわけではなかったのだけども、靴下をはくべく半ば腰を曲げた瞬間にまるでガラスに亀裂が走ったようなインパクトが体中を巡り、その後数分にわたって、同じ姿勢で動けずにいたまさにこの僕自身こそが素晴らしく快適なスピードで老いてしまっているではないかと実は最近よく思う。
何ものかによって首が割かれた死体が見つかる。
手口が伝説のスパイカシウスのものに酷似していたことから、元諜報員ポールリチャードギアと若きFBI捜査官ギアリートファーグレイスは共同して事件解決、カシウス捕縛に向け捜査を開始する。
ちなみにカシウスの正体はリチャードギアである。
始まって10分くらいで、実はアイアムカシアスと抹殺対象に対し平然とした口調で告げる。
この発言後、数秒の間を置いて対象は首をちょんぎられ、観る者はあぁこれはフーニット映画ではないのねと了解する。
その後、映画の軸はカシウスの心情や行動を描き、それでいて動機や想いの核心はあくまでボカシタ状態で物語は進んでいく。
つまり何故カシウスが長年の沈黙を破って再び暗殺業を開始したのかというあいまいを謎として客の視線をスクリーンに吸い上げていくわけだ。
それがややもすると退屈につながりかねない中盤の平板な物語展開に怪しいアクセントをつけているようでもあり、なかなかの効果を発している。
しかしだ。
世界に名をはせたスーパースパイカシウスが全く持ってカリスマに見えないところがこの映画の最大にして致命的な欠唐ナある。
共に捜査する出来る男トファーグレイスが徐々にカシウスの正体を突き止めていく度に、ギアはしょーもない策を弄しその場をやり過ごそうとする。
例えば、カシウスに首を切られ横たわる死体を眺めながらグレイスはぼそりと犯人は現場に戻ってくるものだと述べるシーン。
それにびくりと反応し、肝を冷やしたカシウスギアは仕切りテープの外で現場を眺める悪顔したロシア人を見て、あいつが怪しい、尋問しようとグレイスに提起。
二人がロシア人に近づいていくと、はて、どうしたことかすたこらさっさとロシアンは逃げだし、二人は彼の後を追いかけ映画的に無意味なチェイスが始まるのである。
工事現場に逃げ込んだロシアンを捕縛できる位置にいながら、カシウスギアは見て見ぬふりし、逃がし、グレイスに逃げてしまったけど、あいつがカシウスに違いない、きっとそうだと力強い目でグレイスに述べる。
出来る男グレイスは尊敬するギア先輩の言葉を頭に入れながらも当然のこと、犯人はやはり別にいるのではないかと同僚の助けを得ながらもカシウスの謎にさらに踏み込んでいく。
カシウスギアは戸惑い、揺れ、そして恐れる。
殺してやろうか、しかしやっぱグレイスを殺したくない。
子共もいるし殺してしまえばあの美人な嫁さんが悲しんでしまうだろう。
だから生かしてやりたい。
そうだ、嫁さんからグレイスへ強く言ってもらえれば彼もこの件から身をひくかもしれない、と顔を真っ青にしながらまたまた子供の浅知恵よろしく、図書館で働く彼女の下へ出向きカシウスが彼の傍に迫ってる、下手したらこれされるかもしんないから、夫に言ってやりなさいよと自身の揺れる自我をぶつけてみる。
嫁さんはギアの助言どうり夫グレイスに言うものの、グレイスはひるまない。
いやむしろ何ゆえわざわざ嫁さんの働いている場所にまで出向いてカシウスから距離を取れというのだろう、怪しい、めちゃくちゃ怪しいぞ、ギア先輩っあこれはもしかすると、ひょっとすると、ひょっとするかもしれないもう一度過去の資料を洗いざらいカシウス事件を調べ上げてみよう、同時にギア先輩の過去の怪しい動きも分析してやろうじゃないか。
ギアのせせこましい策は逆に出来る男グレイスのやる気に灯をともす結果と相成り、まさに自分の首を真綿で締め上げるがごとくに底の見えない無間地獄へと堕ちていくのであった。
カシウスは老いてしまったのだろう。
現場を離れ、蟄居している中で、あらゆる生きてくセンスが摩耗してしまったのだ。
いやでも、カシウスに全ての因を負わせてしまうのも酷かもしれない。
演じたリチャードギアだ。
齢62歳、アクションをふんだんに含んだサスペンス映画、彼なりに頑張っております。
チェイスシーンでは胸を激しく突き出し、腕を上下に激しく振って、子どもの運動会で久方ぶりに100メートル走ってます的な良いお父さんヅラマリー 悪徳した満身創痍な表情にて対象を追いかける。
あるいは、抹殺対象との格闘シーンにて、ぶつかり合う前はあれだけ余裕の表情で言葉の攻撃を放っていたのに、肝心要の体と体がぶつかりあうシーンではなぜかカメラが余計に動き回ってギアのリアルな動きが分からない、どんな格闘テクニックを披露しているのかもさっぱりわからない。
気づけばカシウス愛用の暗殺ワイヤーで対象の首はちょんぎられているという顛末であるのだけども、なぜかその瞬間だけは異様にスタイリッシュにとられていて、さすがはカシウス、さすがはギアだと足を組み腕を組み、ほうほうとうなずき妙に納得してしまう。
これはまさに新手の詐欺である。
昔はギアの銀髪もものすごくかっこよくてディズムあふれていたけども、全てのギアファンを唸らせるであろうあの線路を縦横無尽に走り抜ける姿を見ていると、ディズムな銀髪も老いの象徴にも見えてきて、少し残念な気になったりした。
ちなににストーリーはラスト予想の範囲だけども120度程度のどんでん返しがあります。
