風俗店をやっていて、不可解な法律がこの売春防止法である。

本法でいう「売春」とは、「対償を受け、または受ける約束で、不特定の相手方と性交を行う行為」(二条)とある。

「性交」って何?

子供を作る行為を性交というのか???

では、「フェラ」は性交ではないということか?

確かに、日本の法律では「ヘルス業」は合法である。

女性がお金を貰う目的で不特定多数の相手方と行うフェラは合法ということになる。

私からすると、「同じなのだが。。。」
それって性交でしょ。

さらに、「本番行為はダメ」と言われているが、本番行為とはペニスの挿入なのか、子供を作る行為なのか??

後者であるならば「パイプカット証明証」を持っていればオッケーなのか?

ペニスの挿入がダメなのなら、なぜアナルファックは合法扱いなのか???

ヘルス業を認めていて、対償を受けてフェラも合法、アナルファックも合法。

アナルファックのほうが異常な行為じゃないの???

この風俗店をするきっかけになったのは一人の風俗嬢との出会いであった。
親しくなった私にいろいろなことを話してくれた。

「毎月100万円以上のお金が必要なこと」

「どの風俗店も女性軽視の店が多く風俗嬢がつらい思いをしていること」

など。


私は昔から、そして今でも、女性には、恋愛感情あるなしに関わらず風俗など辞めて欲しいと思っている。

親しくなればなおさらである。


男としては、毎月援助してやれば良いのかもしれないが、そんなことをしていたら間違いなく破産する。


そんな矢先にその女性からの一言がこの仕事を始めるきっかけになった。


「あなたが理想のお店作ってよ」


考え込んだ。


女性たちにこの仕事を辞めて欲しいと思っている私がそのお店を経営しろと。。。

頭の中はすぐに「そんなのできるわけないよ」と思ったのを覚えている。


それからの二か月考えに考えた。


「風俗は善か悪か」


この言葉が毎晩頭の中を駆け巡った。


ただひとつ現実があった。

「どの商売よりも人間が古くから行っている商取引のひとつであること」


この商売ができて2000年以上、この仕事は善か悪かを論議され続けてきた。

そして、悲しいかな何も変わっていない事。


認めざるを得ない現実は確かに存在した。


そして、あるときふと、


この長い歴史で何も変わらなかった現実を鑑み、たった数十年しか生きていない私がその答えを出すのをやめた。


すると、


「日本で一番、女性に優しいお店作ろう」

「ちゃんと稼いでもらってこの仕事をしている目的を早く果たしてもらおう」

そして。

「最後はこのお店を最後に風俗から足を洗ってもらおう」


ここに結論がでるのに時間がかからなかった。


今もこの「私の目的」のために奮闘中である。

日本ではセックスに対しても様々な表現がある。


「肌を合わせる」
「体を許す」
などの言い方も日本独特のすばらしい表現だと思う。


「肌を合わせる」とは、自分の大事な肌を相手に合わせるという意味。
「身体を許す」とは、貴方だけに身体を許す、つまり愛する貴方に身体を委ねるという意味から同じく「肉体関係を持つ」ことを指す。


さて、私はこの「肌を合わせる」事を職業にしている女性達と一緒に仕事をしている。

しかしながら、かくいう私は古い人間だ。
昔から女性は好きな男にしか肌を合わせないと思っていたし、合わせてはいけないと思っている。


前の記事でも触れたが、彼氏のいる女性もたくさん在籍している。

自分の疑問を埋めようとある女性と会話した。

「最近彼氏とどうなの?」
「はい、凄くラブラブです。」
「そうなのか。前より幸せそうだね。」
「そうなんです。私やっぱり彼の事を心から愛してると悟ったんです。先日も彼と将来についてゆっくり話し合ったんですけど、彼についていこうと決めたんです。私は彼さえいれば幸せだなぁって思えたんです。」


お店の女性が幸せそうに笑顔を振りまいている事自体とてもうれしい気分だが、またここで疑問が大きくなる。

なぜ、愛する男性以外に自分の肌を平気で合わせられるのだろう?
愛する男性の為に「私の身体は彼だけのもの」という気持ちにならないのだろう?

私は正直なところ、お店で働いている女性全員が心から愛する男性と出会ったらこの仕事は辞めるだろうと思っていた。
今たまたま、「身も心も捧げる」男性が居ないだけだと思っていた。


ショックである。

ここで会話した女性は、「身」と「心」が分離している。


「肌を合わせる」ということ。


それは男と女にとってとても大事な行為だと思う。
一夜限りの関係でも、その時は心で愛し合う事ができるのが人間だからそれでも良い。

しかし、大事な彼氏がいるのにお金で身体を好きでもない男に弄ばれる事に嫌悪感を抱かない女性になってはいけない。


何度自問自答しても、この考えは普通だと思うのだが。。。

この業界には「けつもち」という言葉が存在する。

簡単に言うと、やーさんに毎月お金払ってトラブルなどがあったときの対処をお願いするという仕組みだ。
逆に言うと、やーさんという特殊団体の資金源にならされているわけである。

風俗店が立ち並ぶ私のお店のエリアにも、大きく3っつの特殊団体さんがおられてシマを取り仕切っている。
大体の風俗店が、どこかの特殊団体のお世話になっているという現実がある。

昔からある、「みかじめ料」で、レストラン業などは今の時代払っているところは少なくなった。
しかし、この風俗業界はこの風習が根強く残っている。

もし、こういう特殊団体さんのどこかとまったく付き合わずにお店をオープンしたら、まず電話攻撃にあう。
「おたくの店はどこがけつもちしてるんや」と毎日電話がかかる事になる。

もし、意地を張ってどこの特殊団体さんともお付き合いしなければ、シマの団体さんからイジメにあうことになる。
私への攻撃なら「来るならこい!」で終わるのだが、当店は女性を扱う風俗店である。
それもデリバリーなのだ。

女性に被害があったらたまったものではないので、私もこの悪しき風習に逆らわずに毎月お金を払って面倒を見てもらっている。

おかげで、望んではいないけれど、特殊団体さんとのお付き合いも広くなってしまった。

そして、毎月どうせお金払っているのならば、イザという時は気持ちよく使わせてもらうことにしている。

運が良いのか当店のお客様はとても質が良いお客様方です。
今まで、お客様に対してこういう実力行使は一度もしたことがありません。

しかし、あまりひどい事を女性にするお客様がおられたらその時はどんな手段を使っても女性を守るのが私の仕事です。
もし、この意気込みがないなら働く女性は不安でしょ?

若者は短縮してリスカとか言っているが、日本語で書くと自傷行為である。

当店にも自傷行為のひどい女性が何人かいた事がある。


リストカットをする人の事を理解していない人は、「寂しいから相手にされたいのではないか」と結論付けている人も多いが、そんな簡単なものではないことを私は知っている。


リストカットは心の病気のひとつの行動であり、原因はその心にある。

精神的な病であると思う。


当店でリストカットを辞められない女性数人と深く関わってみたがすべての女性に共通して言える事は幼少時代の得意な親子関係にある。


親から性的虐待を受けていた女性。

親から完全に見放されたと思わせる環境を経験した女性。

親からの過剰な期待に甘えることを許されなかった女性。


女性によって環境はそれぞれだが、「親の愛をもらって生きた」と思っていない女性が多い。

それらの女性の中には分裂性や解離性人格障害の症状を顕著に見せる女性も多くいた。


「S子の話」


あるとき、「親からの過剰な期待に甘えることを許されなかった女性」のお母さんに会いに行くことにした。


東京の一人暮らしの家の中で、自分を傷つけ暗黒の中をさまよっているわが子の事は何も知らなかった。

事情を知ったお母さんはその場で泣き崩れた。

「実家に娘さんを迎え入れて、子供の時に甘えられなかった分を今からいっぱい甘えさせてやってください」と頼んだら泣きながらこころよく承諾してくれた。

本人も、晴れやかな笑顔でうれし涙を流して「オーナーありがとう。これからは実家でいっぱい甘えてみる」とそのまま実家に残ることを希望した。


良かった。

お店のオーナーという立場なのに、お店の人気嬢をクビにしているにも関わらず、とても嬉しかった。


三ヶ月後。

突然大きなトランクを持って私の家に訪ねてきた。


「少しの間泊めて下さい。そして、働かせて下さい」

と頼まれて困惑した。

「いっぱい甘えたから、たまには気晴らしに外にでてみようかと思ったの。」

「お世話になったオーナーのところに遊びにきただけなの」

「時間あるから今後の為に少しお金も稼ぎたいの」

そんな事を言われて無下に断ることもできず、快く受け入れた。


そしてその数日後、その女性は私の留守の間に私の家で、今まで以上のリストカットをした。


その女性とあ母さんの溝は何も埋まってなかったのだ。

実家に帰ったその女性は、結局のところお母さんの不自然な対応に息苦しくなって逃げ出していた。

その娘を探すわけでもなく、解放されたのごとく放置しているお母さんがいた。

甘えることの難しさを改めて心に刻んでしまっただけかもしれない。


左腕に見るも無残な傷跡を残してしまった女性は、お店で働く事もできなくなり、「やっぱり実家に帰る」と言い残して私の前から姿を消した。


数日後、ある格安のギャラのデリヘルのお店のホームページに彼女を見つけた。

「大型新人入店」というタイトルで顔出しで出ていた。


左腕は写らないようにポージングして、寂しげな笑顔の彼女を見て泣いた。