<ロシアのウクライナ侵略に反対しましょう!>
67章 91歳のお買い物
コロナで外出もままならぬ身ですが、3回目の接種が終わって外での食事も出きなかったのが、外出する気になりました。
先生<女将さん>が「今は外での撮影は控えて、とくみさんスタジオでフアッションしましょう。目に立つ衣装が欲しいから買い物に行きましょう」
言われて、<やった!>内心叫んだのは、最近商業ビルで食料品買うついでに洋品店周りが唯一の私の楽しみになっているからです。
それがコロナ不景気からでしょうか?
商業ビルの衣料店が閉店セールしたりして、軒並み50パーセント引きなのです。
なかには70パーセント引きや、五百円のブラウスが吊り下げであるのですから、なおさら。
ええ、勿論、買いましたよ。黒地の夏向きの生地で襟の刺繍があって地味なようでおしゃれな感じで、値段見て吊り下げから降ろしてもらいましたからね。
えっ私のなりですか。いえ、メイクなしの女装です。マスクの外だけパフでポンポン叩くだけで~いけるのですよ。まず、おばさん方の眼力でも見抜けません。
勿論お店のママさんとのやり取りでも、分からないみたい?91歳なんて思いもしないでしょう。
白いスプリングが人体に着せていたのも買いました。膝までの短い丈で若い娘の着るようなものを恥ずかしいことも忘れて、値段見て買ってしまいました。
元の値段が7千円の値札の上に千二百円の値札ですもの、買わずにおれません。
「サイズ合うかしら?」
つぶやいていたら、お店のママさん。
「どうぞどうぞ、ボックスで試着してみて~」背中押されて、試着したらサイズぴったりなのです。
調子にのってパンツも買って、3着の買い物。
ところが家に帰って、少し気になっていた黒のブラウスです。胸の飾りに気取られていてサイズ確認していなかったせいです。
Mの表示です。勿論着ることできません。
仕方なく掃除に来てくれた娘に払下げです。
「貰い物だけど、お父さんには合わないから、着てみて~値札ついているからサラだから」
さすがに買ってきたとは言えません。
それより<お父さんには合わない>なんて~女性の服ですよ。
でも、娘はそれに何の反応示しません。ブラウスを掲げて納得したしたのか?
「ありがとう。貰っとくね」言ってくれたのには、なにか奇妙な気分です。
そんなこともあって、ますます婦人服巡りが身について、だから私には<女将さん>の誘いは嬉しいのです。
この段階では、もう女性気分なのですね。
これは仕方ありません。
自宅では一人暮らし、朝起きたら洗濯、食事の支度から始まって、家ですることは、主婦のすることばかりの毎日なのです。
ないのは子育てだけ~
なにか妻が長年家事をしてきたことを、そのまま見習っているみたい。
主婦感覚が私のものになってきているようです。
スーパーに行って食料品買うと、10パーセント、20パーセント引きのを買う習性もあるのですからね。
でも、家での一人暮らしは矢張り寂しいものです。寂しさ紛らすのに、自分で曲と歌詞を頭のなかで作って鼻歌唄ってすごしているのです。
<妻よ妻よ~愛する妻よ~私の許にかえっておくれ~>なんてね~
妻の今の病状からすれば、病院から私の許に帰ってくる見込みはまるでないのにね。
だからメイクしてもらって、女将さんとの、女二人連れだって婦人服買い物に行くことは、私にはなによりの気分転換になるの
です。
ところがです。洋装店で色とりどりの婦人服売り場で店員さんと話しながら、服選びする光景を思い描いていた私が連れていかれたのが~
ええ、~リサイクルセンターの看板の店。入口両側に雑然とゴミと思えるような品物が積み上げられているのです。
明るくカラフルなお店という私の期待は裏切られました。
女将さんの後について、コロナ対策の仕切りのビニールカーテンかき分け入ると、両側にびっしり吊り下げ服の行列です。
古着なのです。
あまり私の目を引くような服はありません。女将さんと二人で、服をかき分け吊り下げられている婦人服の行列見るのだけどね、もう一つこれという衣装は見つけられないのです。
「スタジオでフアッシオンするのだから、派手な衣装にしましょう」
女将さんに言われて、そのつもりで探すのだけど、ほとんどの衣装が普段着の地味な感じのものばかりなのです。
服の列から脱出してカウンターに行くと、骨とう品や首飾りです。
私の目引いたのは、コーヒ茶碗セットです。長方形の受け皿半分にカップがのっているのですが、塗<ぬり>は白地に青だけの図案で地味なんだけど、カップの絵柄が帽子をかぶった雄熊と籠持った雌くまさんが、リンゴを取っている漫画図が可愛いのです。
コーヒ茶碗の裏側見たら、打たれてる英語文字が<メイドなんとか?ジャパン>輸出品と分かりました。外国の子供用のカップのようです。品物としては悪くない筈です。
「これ、お幾ら?」カウンターのスタップの女性に聞くと~
「600円です」帰ってきた答えに~
「安い~買う買う~」叫んで笑われました。
「とくみさんこれいいよ~」そこへ女将さんが声かけてきて持ってきたのが、紫の生地に赤の模様の色鮮やかなスカーフです。
「わ~綺麗~これ外国製よ。」
「綺麗でしょう。五百円よ」私の首に巻き付ける女将さん。
「買う買う~」
私の選んだものと一諸にカウンターに並べたら、目についたのがケースのはめ込められている、指輪の列。
そうだ、長年私がはめていた金?の指輪、バックに入れていたのが知らぬ間に行方不明~。
そう思うとこれもと~買う気になって選び出したら~
女将さんも手だして、選んだ指輪を私の指にはめるのだけど~
はまらないのです。そらそうです。これでも男ですから、女性の指輪がはまる道理ありません。諦めていたら~
「とくみさんこれはめてみて」
女将さんが差し出した銀色の指輪。指にはめたらぴったり~
「わ~合ったおかみさん。これシルバーでしょう?」
「そうシルバーよ。それに彫ってある模様は菊のご紋よ。とくみさんの勲章と一対になるわよ」
どうも女将さんは大層です。よく見るけど菊に似せてあるけど菊じゃないのだけどね。
ええ、勲章の話はいずれまたね~
とにかくシルバーと太鼓判押してもらって買う気になり、値段聞いたら千円。
勿論買いましたよ。
お店を出てから笑ってしまいました。服を買うつもりが別のもの買ってしまったとんだ買い物ななりましたからね。
「とくみさん今度は本当に服買うからね」
言われて連れていかれたのが、商店街の通りです。
長く店が並んでいるこの商店街はすごく長くて終わりが見えないのです。
コロナは高止まりだけど、少しづつ感染者が減ってきて落ち着きが戻ってきたのでしょうか?
少し人通りがあります。
今度は店構えの洋裁店から安心です。ガラス戸を通して内に洋服が列しているのだけど、明るいカラフルな衣装がそろっていますし、外の道路際迄人体の着せられた服見ても、普通の洋裁店と思って看板見るのに顔上げたら~
視野に入ってきたのは<300円リサイクルショップ>の大きな字。
<ええ、これリサイクルショップて?>
信じられない、とても300円とは信じられない婦人服の行列に300円なんてとても思えないのです。
「今日は、お久しぶり~」女将さんが声掛けると~
「あら、いらっしゃい。今日はお連れさんと」
奥のカウンターから出てきたのが30代の位の若い女性。愛想よく返事してきたのです。女将さんとなじみのようです。
「今日はとくみさんと一緒、スタジオのとくみさんのフアッションの衣装欲しいの」
「どうぞどうぞ、サービスします。4着で千円にしますからね。」
「ええ、千円?」もうびっくり~」
さっきのリサイクルのお店より、まだ安い~
嬉しくなって、笑顔が自然に出てきます。
「とくみチャンネルのとくみです。よろしく」挨拶しました。
「ごいひきにして下さいね」
「とくみさんいくつか分かる?」傍から女将さんが問いかけます。
「さあ?きれいし、スタイルもいいし」
「91歳の女装さん~写真集も出しているのよ」
「ええ?ホント~信じられへん。ホントに91なの」
「はい、昭和5年生まれです」毎度のことです。すかさず私も答えます。
「とても思われへん}首振るお店の女性。
紹介されると必ずでる<信じられへん>の返事。毎度のことで慣れっこになっている私ですが、でも姿見の鏡で見ると自分でも厚かましいけど、91歳なんて思えないのです。
腰など曲がらず、しゃっきと伸びた170センチです。<やはり厚かましい。やめときます>とくみチャンネルみて下さいね。
さあ、それから必死で女将さんと吊り下げられた婦人服かき分けました。
ところが誤算は~いいと思った衣装が、サイズがみな小さいのです。そらそうです。綺麗に見えても古着です。女性が着ていたものですからサイズが小さいのは当たり前。
まあ、こう見えても、細く見えても矢張り私は男なのです。
でも、見つけました。私が一目見てもサイズが合うといえる婦人服。
スーツです。後は女将さんが、はいこれ、はいこれ~つぎつぎえり分けて、カウンターに並べて~
「ホントにこれ千円でよろしいの?もっと出しましょうか?」
思わずスタップの女性に問いかけていました。本気です。
「いいえ、千円でよろしいですよ。良かったらまた来てください」笑顔で答えるのが感じがいいのです。
ええ、買ったのはスーツ、コート、ワンピース。もう一着は不明。
いずれ<とくみチャンネル>とこのプログで公開しますから~
ああ、上の写真<スカーフ>五百円と着ている<コート>二百五十円がそうです。
まあ、言い訳になるけど、スタジオで写して、2階の倉庫に釣られると次はいつ着るかわからないのですから、高い新品の衣装など買えないということなのです。
まだ3軒目に行って、チャイナドレス、ラメ入りの華麗な衣装を千百円で買いました。
たとえ古着といえ、安く~それもめちゃ安く買えるとなにか幸福感に満たされるのです。
こんな瞬間、私、女<オンナ>感じているのかもね。
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