㊼ すっぴん女装のショッピング

 前の節~㊼で、堅いいこと書きましたので、この節では柔らかく楽しいことを書いて見ます。

 

 コロナの猖獗<しょうけつ>きわまるなか、娘達?<言っても50,60台ですけど>の監視がますます厳しくなって~毎週家に来る、電話がかかって私が家に居るか?確認されるのです。

 

 90歳にもなると、子供扱いです。まあ、心配してくれているのだと思うことにしているのですけどね。でも、家でいくら家事にいそしんで忙しくしても~妻と離れての一人暮らしの寂しいこと。

 

 寝床でしばしば妻の呼び声が聞こえるのです。

 幻聴と分かっていても、施設で寝たきりの妻が私を呼んでいると思わずにおれないのです。

 

  コロナ対応~大見え切っているけどやはりストレス溜まります。

 だから夜になると公園に行って、入江隔てて高速道路の光をぼんやり見ながら<写真>座って夜風になぶられて気分転換するのです。

 

 まあ、週一回スタジオに行って、外には出られないけど、女装写真や動画撮りするのが何よりの私の幸せだったのが~

 

 通っている筋トレの職員が一人コロナ感染したというのです。

 幸い同じ施設でも、別の区画でのことで接蝕はないので大丈夫とのことでしたが、でも相手がコロナです。

 泣き泣きスタジオ行は万一を考えてキャンセルしたのです。

 

 笑わないでくださいね。90歳にとっては女装だけが~この歳で多分誰もしない女装は唯一の楽しみなのですから~先生の言う日本一の誇りにかけても~辞められないのです。

 

 それができないとなれば~コロナ接種も2回目も終わったことだし~と、ついに決断しました。

 県外はダメだから、バスで10分程のJR駅前のビルの商店街に行くことにしたのです。

 

 ビル街すべての店が50%引きの情報を耳にしたのです。

 狙いは秋のコンサートに行くときに着る女性のスーツ~普通のお店で大きいサイズの服があるの?思わぬでもなかったけど。

 

 とにかく女装してのショッピングを絶対一人でしたかったのです。

 と言っても、メイクは先生任せできたので、メイクなし?

 フレンドさんが聞いたら、のけぞるかも?です。

 

 でもフレンドさんの秘密部屋で着替えさせてもらって、女衣装だけ着てスタジオに行く道は商店街を行くのが毎度のことです。

 

 それでも視線向けられることがないのが、私の自慢なのです。

 要は堂々としておれば、女衣装の先入観で見破られることはないのです。

 

 カンカン照りだから、日焼け止めフアンデーションだけ塗って、若い人が着るような白のツーピース着てお出かけしました。

 

 第一の関門~バスは~杖ついたお年寄りを先に乗せてあげて~私、こんな時は自分が一番年寄だということ忘れるのです。

 

 バスのなか見回すと年配の婦人がほとんど~眼力鋭く女装を見破る人達です。でも一人一人に視線向けても見返す人居ないので安心です。

 

 そしてビル街に入って首傾げました。

 50%引きの大バーゲンだというのに、まるで人出がないのです。客よりお店の店員さんの方がが多いみたい?

 

 お店毎に50%引き~張り紙がぶら下がって~なかには70%引きの張り紙もあるというのに。

だからこれは女装デーです。

 

 気を遣うことなく一軒、一軒ゆっくりと良い出物ないか?見て回ります。店員さんも客が居ないからレジの前でチラシ見て、私が居ても見向きもしないのが気楽です。

 

 最初に見つけたのが、ショルダー。欲しかったのです。今持っているショルダーは先生に90歳のお誕生日祝いに頂いたもの。

 男でも女でも行けるよ~言われて、お出かけというと必ず肩紐かけて行ったものです。でもさすがにフアスナーが痛んできたのです。

 

 値段は880円。勿論人造皮~普通なら買わないものだけど。でも外に飾り付きで金具付きの小物入れがついて、見た目が良くて、値段よりそれで買ったのです。

 内もチャック付きの仕切りが幾つもついて、今持っているバックに負けません。

 多分、普通の売値はもっと高いのでしょうね。

 

 そして目についたのが、横に並んでいたしゃれたポーチです。、値札見たら値段消して、590円。こんな値段ならおもちゃ買う感覚で簡単に買い込んでしまいます。

 

 そして次に買ったのが、布製の紺の下地に花柄模様の大きなバック。女装するのには衣装を持ち歩くことが良くあるのです。

 メンズで行ってスタジオで女装衣装に着替えするのに、持ち歩く荷物が多いのです。そこが女の方と違うところです。

 

 衣装、下着、靴下、身に着けるものだけではないのです。メイク用品、ハンカチ、スマホから、 ミニライト、それに男さんとラブする女装さんは必要備品。

 

 まだまだ荷物があると思うのですが、とにかく持ち歩くには大きいバックが必要なのです。

軽くて必要でないときは畳みこめるようなもの~まさに見つけたのがその注文通りのバックでした。

 

値段?680円~3点買いましたよ。2点は娘たちにです。

そしてお次はブラです。これは女装でないと絶対買えません。ずらり~並んで色様々~サイズを考えて、選ぶのに時間かかるのです。

 

 横に女性の方が並んで選ばれると、さすがに緊張するところですけど、この日はブラ売り場は客は私だけ。

 

 こんな機会はまづないのですから、ブラ選びホントに堪能するほど見比べました。そしてこんなことてあるのでしょうか?

 

 女装のブラ見つけたのです。ハイ、私女の人のようなお乳~乳房がないので<当たり前ですね>人口乳房でリアルに女性表現しているのです。

 

 でも、その人工乳房を入れる袋のついたブラはありません。女装専門店でないと買うことできないのです。

 

 ところが白地の娘さんがつけるようなブラ手に取ったら、その袋が付いてるではありませんか。

今までブラの布地を切り裂いて、人工乳房いれていたのにね~

 

 勿論買いました。800円・これ安いのでしょうか?

 

 ああ、喜ぶ前に肝心な買い物探しがあります。

 秋にコンサートに聞きに大阪中之島の中央公会堂~歌手の歌声目当てとはいえ、公会堂の金ぴかの宮殿のような会場で歌声聞くのが、長年の私の夢だったのです。

 

 先生に声掛けたら「ご一諸させてください」飛びついてきました。

 どうも、先生も公会堂行きたかったみたい?

 

 そのコンサートに行くときの衣装探すのです。上品で私のサイズに合うドレスです。大きいサイズて普通のお店では見つからないものだけどね。

 あちらのお店、こちらのお店と買うつもりがなくても女装で歩くて、もう~ いくらすっぴん女装でもばれない?自信が裏打ちして嬉々とした足取りです。

 

 それが雑貨店のようにもろもろの女性商品置いたお店に何気なく入ったときです。

 お店の中央にデンと人体が一体立って、着せているのがパンツスーツ~薄茶色に細かな筋の入った鈍い光のする生地です。

 

 光りすぎると舞台衣装になって外歩けないけど、このパンツスーツは光るというより艶があるという感じで、光物に弱い私です。

 ふらふら引き寄せられるようにお店に入って真っすぐ人体の前に~。

 

 気になるのはサイズ~特にパンツのウエスト~これはゴムひもで腰を留めるもので相当余裕がありそうです。そして足の長さ~私では余りそうな長さに思うのです。

 

 人体に止めているだけのパンツをはずして腰に当てたら~いけそう~これなら上着も大丈夫と確信します。

 上着を外すと黒のブラウスを着ているのも外し~。

 

 

「これ大きいけどお宅ならいけるよ」突然、後ろから声がして振り向くと、目の下に小太りのおばさんが立って見上げているのです。

「いいの着てるね。その服良く似合うよ」褒めてくれた私の着ている服。

 

白の毛糸編みのようでスケスケで中が見える生地<いえ、裏地が付いているから大丈夫>下がスカートの2ピースです。

 

 このおばさん言いながら店のカウンターに居る店主に声かけるとこ見たら、お店のスタップではなく、馴染みのお客のようです。

 

 「ありがとうございます」とにかく礼言って腰かがめたら~いきなりおばさん私の背中摩ってきたのです。

 ええ?驚くより、女装ばれたのか?思いました。

 

 「それにしても、あんた細いな~」言いながら確かめるように背中から横のお腹まで摩るのです。

 「そら背が高いからな」返事したのはカウンターの店主のおばさん。

 

 二人のおばちゃん相手にしゃべるのはすごく神経使います。だって声で男と見抜かれるかもですからね。

 ただ救いはフレンドさんに言われた事。

 

「とくみさん大丈夫。悪い言い方かも知れないけど、年配のおばさんの声だから」

それに安心して、だから無理して女声出すことしないで、普通に話せばいいのだけど、でもおばさんタイプは眼力鋭いからね。

 

 「さあ、更衣室で試着して~」

 おばさん言いながら私の背を押して押して、店の隅の箱型の試着室に押し込まれたのです。

 「それ脱いで着替えて」

 試着室のカーテン閉めずに声かけるのですから。

 

 このタイプのおばさんの共通~親切の押し売りです。

 慌ててカーテン閉めて鏡見ながら着替えしていたら、ぶらぶらゆれるものが~手に取ってみたら正札<9,800円>その隣に貼り付けてあるのが、1,650円。パンツも同じ?

 

上、下それぞれ1,600円なのです。計3,200円になるけどそれでも正札の値段からは三分の一大幅値下げです。

 

しかもサイズです。通販でもぴったりの服を買うのは至難だというのに、まるであつらえたように私の体にぴったり~下に着る黒のブラウスも、4,900円が1,100円。

 

全部持ってカウンターに置きます。

「どう、体にあった?」おばさんの念押し~

「はい、ぴったりでした。ありがとうございました」

 

挨拶してお店出たけど~<おばちゃん達見抜いたかな?>気になります。まあ、素振りにも見せなかったから、ばれていないみたい~思うことにして~

 

 喫茶に入って計算です。

 正札の総計は26,390円、値引きで支払ったのが総計7,350円^一万円でおつりがきたのです。

 

 ストレス吹き飛び、嬉しい気持ちに満たされて~

 矢張り、女装の買い物^ショッピングて素敵だと~

 

<この項終わり>ショッピングの後、まだまだ続けられるのですけど、あまり長いと~また、何時かね。