㊴ 京都観光 <その四 >
それがね・・・Hさんたら湯豆腐のコンロ運んできたスタップのお姉さんに言ったのです。
「こ多目的トイレあります?」て・・
ええ!そんなこと聞いたら、私達女装とばれてしまう~」内心悲鳴上げました。
なにもスタップさんに聞かないでも、純然たる女性の女将さんがいるのだから、トイレ偵察してもらえば済むことなのに~。折角女気分に浸っていたのに~
5年前のことです。歳はいっても女装慣れしていないときです。女装がばれないか?それが気になるころですからね。
「ああ、それはご心配いりません。男女別べつに入口は分かれていますから~」
何事もないようにスタップの女性答えたので安心しました.
どうも私達の心配とは別の意味で受け取ったみたいです。 男女混合のトイレなのか?と私達が心配しているとでも思ったのか?
ふとフレンドさんのメールに<多目的トイレ探すのよ>伝えてきたメールが頭よぎりましたが、それより料理です。
待ちかねて~それが運ばれてきたのが私の湯豆腐のイメージとまるで違うのです。
コンロに置かれた大きな土鍋に7分目ほど、真っ白なぬめりのあるような液体が、土鍋のなかで揺れているのです。
「温めるのでしたら、コンロのつまみで火を調節してくださいね」
手を添えて説明するスタップの女性の説明も聞いていない私です。
関心は白い液体~のぞき込んで分かったのは、大きい角切りが四つ白い液体のなかで浮かんでいるのは~豆腐です。湯葉がかぶさっています。
白い液体は豆乳でした。
続いて運ばれてきたのは、湯葉の揚げ物、吸い物に、かやくご飯。私の好きな京の漬物。
湯豆腐はごまだれか、ポン酢醤油に漬けて食べるのです。
木さじで豆腐すくって小鉢に入れ、胡麻和えにして食べます。
見た目は艶のある奴っこ豆腐だけど、箸で豆腐挟んでも崩れないのです。スーパーで買う豆腐とはまるで違います。
箸でつまんで口に運んで思わず~「美味しい~」声が出ます。
急須でお茶入れているスタップの女性が、聞いて笑み浮かべます。あっ!ばれた?~私のオンナ?の弱点~それは声です。しゃべると~特に地声だと男まるわかりなのです。
これは、なにが恥ずかしいといっても、これほど恥ずかしいことはありません。でも~
「お姉さんこのかやくご飯すごくおいしい~」
「ありがとうございます。新潟のコシヒカリだと聞いています」
「へえ~ブランド米?信じられへん」
Uさんとスタップの女性のやり取りに、なにか救われた気がしました。
スタップの女性が出て行くと一度に賑やかになりました。食べるのと、しゃべるのが一諸で、でも私は食べるのに夢中~
「お店入って~これは高い~思って心配したわ~」
「私も~格式のあるお店だと思ったから、めちゃ~高い思ったもの~」
てんでに食べながらのおしゃべりです。
矢張り女装者は内輪の者だけになると賑やかです。
「さあ~これからお寺参りよ。多目的トイレはそうないと覚悟しとかないとね」
着物派のMさんは、箸を置いて立ち上がると、いきなり私達に宣言するのです。<さっきのスタップの女性とのやり取りはそういうことだったのか?>
気が付きました。
だから、私も続いて立ち上がりMさんに続いて廊下に出たのです。
ビルのなかだというのに、曲がりくねった廊下を確かめながら行くと、トイレがありました。Mさん
の後についていなかったら迷子になっていたでしょう。
トイレは確かに女・男・そして向かいに多目的トイレがあったのです。お店で多目的トイレがあるなんて初めて知りました。
それが真っ白な壁塗りでトイレというより、病院の病室のようです。
でも、多目的トイレ見つけたとたんにMさんに先越されていました。仕方ありません 。
トイレの前に並んでいる椅子に腰かけました。
それが人気がまるでないのです。それで頭の中でどちらのトイレ入るか?迷いが生まれたのです。。
女?男?どちらに入ればいいのか?そんなこと分かり切っています。いくら女装してもあくまで男に違いないのですから男性のトイレに入らなければいけないのは~
でも女性の身なりで男性トイレに入れば、咎められるか、異様な目つきで見られるか?それこそ勇気がいるのです。
といって~女性トイレに入れば、私はばれない自信はあるけど~いえ、前に書きましたが男の服装してトイレから出てきたら、入ってきた男の方が私見て女性トイレと勘違いした位ですから、まして女装していたら、女性トイレが自然と思うのだけど?
でも,それは私の勝手な思いなのは分かっているのです。
分かっているけど<お店のトイレでは,お店が咎められることしないからいけるよ>と聞いたことあるから~。
そんなこと思い出して、そっと女性トイレのぞこうとしたとたんです。二人連れのおばさんが出てくるのが視野に入って慌てて椅子に戻ります。
それで、もう女性トイレに入る気が失せました。
そうなると男性トイレに入るしかない?でも、人が入っていたら?このほうが大変~絶対、<男子トイレですよ>追い出される羽目になりそうです。
<多目的トイレ探すのよ>警告?してくれたフレンドさんの言葉が腑に落ちました。
矢張り<多目的トイレ>しか女装では行けないのか~ため息が出ます。
<ああもう~H さん早く出て~>
90歳~歳は年~長持ちしないのですから~
その私の思い~が伝わったようにHさんがトイレから出てきて、ほっとしました。
そのトイレ~床はタイル張り~壁は木目模様~手洗いと便器が離れてゆとりのある、清潔感漂うつくりなのです。
<素敵なトイレ~>その気持ちが<笑わないで~>スマホ出して写真撮ったのです。
さあ~いよいよ着物姿で用をたす初めてのこと~思案しました。いくらトイレの部屋とはいえ、
<立チション>なんて、そんなはしたないことできません。
でも座る前に着物を着物下着もろとも捲り上げ~それだけではないのです。
実は私、京都北野の夜の紅葉のライトアップ見ること聞いていたのです。京都は寒いのを知っていますから、腰巻だけでは寒いと~パンストやショーツを余分に履いていたのです。
それが~着物の裾引っ張り上げて、その下履きを降ろそうとしたら~着物が降りてきて便器の水の中に落ちそうになって~慌てて着物をまくり上げて~そんな繰り返し~してからです。
立ち上がって、とりあえず下履きを降ろそうとしたのですけど~
これがまた、きつく締められた帯の下にもぐっているのを引き出すのが簡単ではないのです。
特に、パンストにショーツが降りてくれません。固いのです。力ずくで降ろそうとしたら捲り上げた着物が降りてくるのですから~
もう、悪戦苦闘とはこのことだと思いました。
「あと5分出てこなかったら扉たたくとこだった」て~着物派のMさんに後で言われたものです。
Mさん私が迷ったらいけないと思って、トイレの前の椅子に腰かけて待っていてくれたのです。
着物着るてこと~着付けだけが難しいのでなくて~着こなしも考えないと~また新たな教訓得たものです。
「通常着物を着るときはスパッツを穿くこともなく、しかもそれをオヘソの上までたくし上げたりしないものです。まあ、上に襦袢着たので見逃したのかも?」
なにか含みのあるMさんの解説だけど~当時の私は理解不能です。
「それで先生はどうしていますの?」聞き返しました。着物派自称のMさん自身はどうしているのか?それが私の関心事だったのです。
「私は長襦袢とお腰の下にはなにもはいてませんよ。だから長着<上の着物>と襦袢と、お腰を裾から順番に左右に開いていきい、それを両手で抱えて広げると、いとも簡単に用をたすことできるのよ」
「しかも用をすますと、両手離しただけでストンと3枚が綺麗に下に降りてくれてオワリ~」
矢張り着物派です。私の疑問は解けましたけど?
そこで気づいたのです。
<M さんショーツも穿かないすっぽんぽん?>
その質問はあえてしませんでした。だって私もそれから着物着るとき見習うつもりだったから~
<でも冬では裾ががら空きで寒くない?>そんな質問がでそうですけど?
ところが、それがそうではないのです。3枚の着ているものが裾で腰を囲んでいて空気を逃がさいでいるから、すっぽんぽんでも暖かいのです。ハイ
<続く・観光に行くよりトイレ談義でごめんなさい>とくみ