(2015年11月。京都)

㊱ 京都観光 その二  <2015年11月、コロナもない良き一日のこと>

 阪急電車~フレンドさんからまたメール<梅田から乗りなさい>ホントにおせっかいなんだけど、親友のフレンドさん親切なのです。内心私の年齢<ねんれい>知っているの?勘繰ってしまいます。85歳だからほっておけないの?

 でも当時の私は歳<とし>のことはひた隠し、して親友でも言っていないのです。

 だけど急いでいる私達には梅田に行って終点から乗る余裕はありません。途中から乗り込んだのです。女4人、二人は着物姿。人目引くか?緊張していたのに~

 いえ、その前に電車は座席の間の通路までぎっしり~座るどころではありません。フレンドさんが梅田から乗りなさい~言った意味が分かったけど京都直通です。立って辛抱です。

 そこで気が付いたのです。私は背丈170センチそれほど背が高いと思わないのだけど、視線見回すと電車の連結部まで見通せるのです。

 満員の乗客なのに上から見下ろせるというのは私~そんなに背が高い?不思議の思いで後ろ振り返り、フレンドさんAさんを確認しました。

 彼女は私より背が高いからです。ところがまた不思議~彼女、私と同じ背丈になっているのです。なぜ?考えやっと気が付きました。女将さんが持ってきてくれた草履~底厚が3,5センチもある舞妓さんが履くような草履だったのです。

 着物着たい~言いながら、私が用意したのは着物下着と足袋だけでしたから、女将さん~先生は納戸かき回して、私の足のサイズに合う草履引っ張り出してきて私に履かしたのです。

 スタジオの部屋一室丸ごと使った衣装部屋には洋服、着物、それらの小物、帽子に靴などなどサイズ違いまで含めて山のようにあるのです。~それに人工乳房があるなんて~女装さんのスタジオらしいと思います。

 私はスタジオに行くときは、一応自分なりにウイッグも被って、女装して行くのですが、私のセンスでは女将さんのパスをもらえません。

「とくみさんこれにしましょう。そのスカートだったらこのブラウスが合うと思いますから」

 衣装の山から選んだブラウス~それが着てみると私の細い体にぴったり~べつに私の体型を測ったわけでもないのに一目見て分かるみたいなのです。

 「とくみさん衣装は13号で買いなさい. それで貴女に合うと思いますよ」

 言われてから服を買うのが迷わなくてすんで楽になりました。

 まあ、こんな調子で女装してスタジオに来るのですから、着ているものショーツのぞいて全部脱がされるときもあるのです。

 まあ、女装するというのに、自分ながらセンスないんだな~思ってしまいます。

 

 そんな風に電車のなか立ちぼうして考えごとしていて、揺れた電車に我に返りました。

 満員に近い乗客のなか、見下ろせるほど高い、それに着物姿の私です。目立つはず~視線が集中するのは覚悟していたのです。

 ところが全く無視~見もしてくれないのです。女装経験のある人は女装初めのとき、人通りを歩くときに一番気にするのは~おばさんにガン?つけられることなのです。

 <男と見破られた?>恐怖の感情に支配されるのです。

 ところが今、それがない~逆に物足りなさを感じる私です。5年もの女装で擦れてきているのかも?我ながら思います。

 まあ、私の着ている着物は、黄色主体の派手なものだけど上に黒の羽織をはおっていておばさん丸出しだから、目立つことないかも?自分に変ななぐさめ方している私です。

 あとで着物派のMさんに聞いたものです。

 「はいはい~そうでしょう。とくみさんはほっそりスタイル良くて、顔小さく女顔ですもの。女装だなんて思わないからよ」

 Mさん褒めてくれているのだと思うけど、なにか焼きもちみたいに聞こえてしまいます。

 

 また電車が揺れて止まります。足元定かでない私です。隣のフレンドのAさんの腕にしがみつきます。中間駅に特急が止まったようです。でも車内の人の動きはありません。乗客はみんな京都を目指しているようです。

 扉が開いてふと入口見たら、4,5人入ってきたのが見上げるような大<オオ>男、まじってこれも背の高い婦人です。外人なのです。

 その人たちが目ざとく私達を見つけたのです。なにか男女で私のほうにちらちら視線向けながらしゃべっています。

 私達のこと~話交わしているのが言葉分からなくても分かります。

 <オオワンダフル~ジャパニズム女性綺麗~キモノ素敵~>

 と、まあ、私の想像??

 おかげで、立ちん坊の満員電車だったけど、退屈せずに済んだものです。

 <烏丸>に電車が止まって私達は下車するのです。地下のホームから階段上がって、駅広を通って外の道路に出てくると、道路脇に黒塗りの大きな車が待ち構えていたのです。

 Mさんが手あげて合図しながら、着物の裾桁げるように小走りに駆け寄ります。車から出てきた運転手さんと何やら話しています。

 運転手さんが車のドア開けてくれると私達は車内に入ります。ゆったりした8人乗りの、それも向かい合わせに座席が座れる私が乗ったことのない豪華な車なのです。

「とくみさんお昼何食べたい?」

 運転手さんの横の助手席に座っていたMさんが振り返って私に尋ねるのです。

 「ええ、もう食事に~」

 私は女将さんと顔見合わせました。

 

 これが、春の桜、秋の紅葉の私達の未だに現在に続いている、京都観光の始まりだったのです。<3部に続く>

 

 <注・>コロナのために外出もままなりません。家に閉じこもって洗濯、食事つくり、合間にこの下手くそな文章書きでしょう。そして妻の許から帰ってきた<ネルル>ちゃん人形相手のおしゃべりで、一人暮らしを慰める毎日です。

 昨日は何時もは10時半に寝るのに11時になっても、大きな目空けているのです。

「ネルルちゃん寝ないの?」言ったら

「眠くない~」答えたのにびっくり~

そして「オばあちゃん~」て、おばあちやんて~私?それとも妻のこと??