2021年4月京都の桜

2018年3月桜

㉞ 京都観光<その一>

 コロナのさなかで<県外に出ないように>言われているのに今年もまた恒例の<京都観光に行ってきました>春と秋になると、桜、紅葉の鑑賞兼、撮影に行くのが私達の毎年の行事なのです。

 2015年の秋から毎年欠かさず今も続いているのですから、幹事役のMさんもコロナといえども中止言えなかったみたい。

 でも万一参加者の誰かがコロナ感染したら、Mさんも責任重大を感じることになるでしょうし~

でも、矢張中止と云えなかったのですね~その代わり人との接触避けることを徹底しました。

 京都への往復の道中は車で~電車に乗らず~タクシー会社の車庫に乗り入れ、そこから観光タクシーに乗り換えて、運転手さんの案内で人の少ない場所での桜撮影です。

  運転手さんも心得ています。人のあまり行かないお寺や桜通りを選んで案内してくれ、静かな京都の桜観光できたのです。

 そのおかげで、ほとんど歩くことなく車で乗りつけては、桜の樹の下で、写真や動画を撮ったのです。

 でもね~やはり気が引けるのです。この瞬間でも医療従事者の人達はそれこそ命がけでコロナと戦っているのですから~。

 おかげで人との接触は全くありませんでした。京都という観光のメッカともいうところに行ったのにです?

 例年なら私がカメラに向かって下手なおしやべりしていたら、人だかりするのに、この日は、一組のご夫婦らしき高齢の方が離れたとこから見られただけで、場所が変わってもついてこられて私も嬉しくなって会釈交わしました。

 例によって撮影兼メイクの先生が「この人90歳の女装さんですよ」紹介するのですよ。

「ホントですか?信じられません~」帰ってくる言葉も同じです。なにか照れ臭くなってお二人に手ふってさようならしました。

 でも、今はコロナの緊急宣言で家に閉じこもって、家事に精出し、パソコン前に小説?書いて過ごす毎日ですよ~。

 

なぜ京都なのか?なぜ着物なのか?5年も続くそもそもの発端は?思うのですが~

 さて、今から2015年3月の話にさかのぼります。

 

 私の夢の始まりはここからだと思うのです。

 最初は<舞妓さんしたい~>が、事の始まりでした。でも思うことと、できることは別の事柄です。ところが救いの神は近くに居ました。着物女装のMさんで す。

 私の着物への愛着を見かねたのか、<着物着せてあげる>と乗り出したのです。でもいくら女装しても着物など持っている筈がない私です。妻の着物持ち出しても小柄な妻の着物ではつんつるてん~。

 結局、Mさんの着物一式~帯から帯紐に至るまで貸してもらって、私の用意したのは着物下着に足袋だけです。

 Mさんに着付けしてもらって~いえ、着付け練習です。それでもとにかく女装で初めての着物姿になって、私の夢は実現したのです。

 鏡見てランラン気分でいる私に背後からMさんの声~

「着物脱いで~」

「ええ?もう脱ぐの?」

「全部脱ぐの~一から練習~」Mさんの言葉が冷たく聞こえるのです。

 なにか当てが外れた気分。着物姿で外に出て商店街をしやなりしやなりと歩く気分を妄想していたのに~。仕方ありません。着物借りている手前従うしかありません。

 せっかく着た着物脱いで~また一から着付け練習~それで分かってきたのです。Mさん私に着物着せるのでなく、着付け覚えさせるのが目的だと~。

 さらに着物姿の女装さん達揃って京都の桜観光に出かけるプランが後にあったのです。

 でもね~いくら素敵なプランがあっても、不詳の生徒の私です。日にちを掛けて教えてもらっても着付けをマスターするなどできませんでした。

 ついにMさんに愛想付かされたけど、この話がまわりまわって今もお世話になっている、魔法のメイク師の先生~女将さんに着物着付けしてもらうことになったのです。

 私が女装に本格的にのめりこんだきっかけは、まさにこの先生、女将さんに出会ったことが始まりだったのです。

 

 女将さんの拠点<スタジオ>のメイク室にはメイクと写真撮影に訪れる女装さんのための衣装があふれていました。私のための着物に帯、帯紐、それに私のサイズにあう足袋から草履まで、出されてきたのには驚きでした。そう、着物に合うようにウイッグも変えられました。 

 そしてメイクの感動は先に話した通りです。

 女将さん着付けを終わるとポンポンと帯を叩きます。

 「とくみさん貴女着物がよく似合ってますわ~女のひとのように細身ですらりとして~この着物の柄で桜の樹の下で写真撮りましようね。桜の精(せい)に見えるから」

 自分の昨品の品定めするように私の着物姿を見る女将さんです。

 その言葉に押されてわくわく気持ちで~等身大の鏡の前に立ちました。

 淡い空色の着物を着た私。等身大鏡に映る私の着物姿はすらりと高い背が背筋伸ばしてほれぼれ~。ナルシストの世界にはまり込んでいる私です。

、丁度、階下から上がってきたMさんに嬉しさのあまり「見てみて~」両袖をあげて見せるときはもう85歳という自分の歳など忘れていました。 

 でもMさんは「着物似合っているよ」一言いうと私に近ずくと、私の帯の間に指を差し込むのです。

「帯をきつく締めていないのに着崩れしない~」

 首を振るMさん。良くわからないけど、着物派で女装は着物と着物慣れしているMさんが感心するのだから、女将さんは着付けでもプロだということなのでしょう。

 感心していると、バックのなから携帯の呼び出し音~開けるとフレンドのKさんからのメールです。

 「着物で京都へ行くのでしょう?多目的トイレ探しておくのですよ」

 なにこのメール?Kさんがなぜこんなメール送ってきたのか?首傾げる私です。

  考える間もありません。

 「Aさんが下で待っているよ」声がして恐る恐る急な階段をてすりにつかまりながら降りて行くのですけど、なにせ着物での階段降りるのは裾が開く不十分さで降りにくいのです。転げ落ちそうで手すりにしがみつくようにして降りる怖さ~。

「大丈夫?とくみさん」階段下からスーツ姿のAさんが現れると、声かけて受け止めるように私の帯に手を添えてくれて体が一度に楽になったのです。

 私より一回り大きいAさんです。手だってグローブのように大きく職人さんの働く手なのです。その手で支えられるとすごく安心です。そして今日の京都行の私の付き添いなのです。

 でもご本人は女装するには不似合いな自分のからだを苦にしているようです。今回も着物着るには、足に合う草履がなくてスーツ着るしかなかったというのですから~

 ホントに気持ちは女でも体がついてこなくて悩んでいる女装さんは結構多いいのです。でもメイクや衣装、仕草の洗練さで女性を表現する努力には涙ぐましいものがあります。

 現在のAさんですか?今はすっかり女性になりました。体型は変わる筈はないけどふくよかさ、仕草が自然でもう男性の気配がなくなっているのです。私よりよほど女の雰囲気があるのですから~

 総勢4人~女将さんは私の写真撮影で身動きしやすいスポーツ服。着物はMさんと私、Aさんははスーツと女性グループの出発です。

 でも純女さんは女将さんだけです。

 さあ、駅に向かってGO!<ゴオ!>  いいえ、おしとやかに歩いてます。<つづく>