2021年1月4日<初詣>
㉖ 初詣
あけましておめでとうと新年で言うのは習わしかも知れませんが、でも今年だけはそんなおめでたいと言うような気分ではありませんね。
コロナで皆さんの暮らしが抑えられ、正月の楽しみもないのですから。
コロナの事態はますます深刻になるばかりです。欧米での先例があったのですから、どうしてそれを教訓にできないのか?思ってしまいます。
私も90歳生きてきて、こんな正月送ったのは戦争中だけですものね。うっかり外に出てコロナに感染したら私など歳ですからあの世行き間違いなしです。いや案外、戦争生き抜いたからしぶとく生きるかも?です。
さすがに大晦日から3日まで一歩も家を出ませんでした。食べ物と云えば自分で作った煮しめ食べられるの?思うぐらい作りました。自分の好きなものだけですけどね。
会心の作は<田作り>ごまめです。鍋で炒るような手間かけません。レンジでチンして後は砂糖、味りん、醤油、お酒を垂らして~。でも売っていたのに負けない味でしたよ。夜、のぞきに来た娘が味見して「美味しい~上手に作っている」褒めたぐらいです。
後、作ったのは<黒豆、かずのこ、昆布巻き、かまぼこ、厚焼き、玉子焼、栗きんとん、こんにゃく、高野豆腐、それに番外ではステーキ。勿論全部手作りではありません。黒豆など一人分作れませんものね。パックで買ったほうが安上がり。かまぼこ、厚焼きは勿論買うしかありません。
栗きんとんはサツマイモ一個だけ買って、パックの栗で作りました。ビニールで包んできゅっとひねるとかっこよくできます。
でもこれだけ品数だとさすがに多い量です。でも白みそに少し赤味噌混ぜてお餅を入れ大根、水菜をどっさり入れて作った雑煮で四日間で全部食べつくしましたよ。恒例の紅白など見る暇なんてありません。せっせと煮しめづくりしました。
話す相手は娘が三〇分ほど来ただけ~後は一人だけの正月。妻にも会えず。マンションの壁だけ見る正月です。女装でもしないと気が変になるというものです。ですから去年一〇月の誕生祝いしてもらったときのDVDを飽きることなく何回も見たものです。
九〇歳にしてこんな盛大な誕生祝いしてもらった感激が忘れられないのです。<今は「とくみチャンネル」で見られますのでどうぞ>
この四日間の禁足辛抱できたのは、四日には着物姿で女装して神社参りする計画があったからです。
あまり有名ではないお宮さんですから人もまばらで密にならず。繁華街うろつくよりよほど安全だからです。そこでメイク、着付け、写真の私の先生に動画撮影をしてもらえるという楽しみがあるので、年末、年始の辛抱もできたものです。
<動画は編集中です。(とくみチャンネル)で掲載します>
動画撮影ですが、お宮さんのなかでと思っていたら、鳥居の前でいきなりです。
先生、「とくみさんお参りに来たことしゃべってください」
カメラ構えてそれだけなのです。いつもそうなのです。台本なんてなし~いきなりの注文です。
ですから考える暇もなし~とっさに自分で考えながら注文に合わしてしゃべるのです。なんといいますか?言葉が勝手に口から出てくるのですから自分でも不思議に思ってしまいます。
そして次は拝んだ後、拝殿の近く、お参りの人がさすがにぞろぞろ通るところで~
「とくみさん、何をお願いしたか話してください」だって~
恥ずかしかったけど、スターになった気分で~「コロナが早くなくなりますように~」カメラに向かってそんなことしゃべたと思います。
詳しいことは私も見ていないのですが、<youtube >とくみチャンネルでどうぞ~
そして後は恒例のコース<カラオケスナック>です。行きつけのお店で昼間だけのお店で客が少なく密にならないので行くお店なのです。
大体こういうお店は常連さんで占められているもので、私達がお店に入ると3人。男性が二人、女性が一人~居たお客が皆なもう大歓迎。<別に顔見知りの人達ではないのだけど~>
ママさん、それが80台のおばあちやん~ でも気が若くて私と話が合うのです。まあ、80台と90台に入った私ですから、昭和の歌とか、時代の話とか、話題が弾むのですよ~
私を見るなり声上げました。
「わ~とくみさん今日は着物着て一段と綺麗やわ~」
「はいありがとう。おめでとうございます」
「うん、綺麗きれい」男さんが相槌打ちます。
「とくみさんこれでも90歳ですよ」ママさんの紹介に~
「嘘~」全員一斉に声上げて~ 私ももう慣れっこ~です。
「はい、昭和5年生まれ満90歳です~」腰かがめて会釈すると~
「そんなん 信じられへん」女性が声上げると、連れの男性、旦那さんらしい男性が~
「ホントに90歳?嘘やろ~信じられへん~」
「はいホントです。戦争中川向うに住んでいて、この辺一帯に焼夷弾が落とされて焼野原なるの見ていますものね」
「ホンマに90歳てか?」首振ると、隣の男性もうなずきます。
この方何回<信じられへん~>連発したことか~
「はい、私妖怪ですから~」
「妖怪でも綺麗な妖怪や~」
それからはフレンドの女装さんも来て一遍に賑やかになって~<銀座の恋の物語>デュツトで歌ったり~
昭和の歌をママさんも一諸になって歌って大いに盛り上がり~
まあ、私が行くとお店が一遍に賑やかになるのです。
大方の女装さん達は女装ママのお店に行くのですが、私は一般のお店も行くのです。
多少<受け入れてくれるか?>緊張しまうけどね。
女性でない~と、ばれない自信はありますけど、そんなこと考えていたら楽しめませんものね。
だから堂々と<90歳女装です>とあいさつするのです。
そしたらお客さん達一斉に声上げて歓迎してくれます。
念のため女装のフレンドさんの連れがあるときは、帰りにママさんに声掛けます。
「こんなおかしなもん来て迷惑じゃありません?」
「いえいえ皆さん喜んでられます。また来てくださいね」
嬉しい返事が返ります。
まあ~戦中、戦後を過ごしてきたものにとって、ここまで社会の偏見が薄れてきたのは嬉しい限りです。戦中、<富国強兵、鬼畜米英>のスローガンのもと若い人たちがすべて戦争に駆り出され、学徒動員、特攻隊など若い命を散らされていく戦争の時代の辛い姿を見てきた私には、ここまで変わりうるとは当時は夢にも思わないことでした。
でも苦難はいつまでも続かないことを私は経験として知っています。
そうです今はコロナがますます拡大する一方ですが、でも 人類の英知はそれを乗り越えコロナを終息させることは間違いありません。
希望をもって前へ進むこと~それが90歳の私が元気に居られる秘訣かも知れません。
<続く>
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