9月26日(日曜日) 晴れ 夕刻に一時、雨 ロンドン
8時半に朝食後、すぐに外出。近くのバス停から乗車して、バッキンガム宮殿へ。名高い「衛兵交替」を観に行く。ホワイトホールの通りの「ホース・ガースの近衛騎兵交替」も知られているが、こちらの方に人が集まる。宮殿前には、すでに3千人ほどの群衆が集まり、乗馬の警官が出ていた。11時、交替が始まった。
僕が、絵葉書で見た衛兵の軍服は真紅だったが、今朝は何と深緑。軍楽隊の演奏と共に、犬など連れて行進するのはユーモラスだ。群衆から盛んに拍手が湧いた。……
交替を見物後、買い物をすべく、地下鉄で「オックスフォード・ストリート」へ。ところが日曜日で、多くの商店が休み。閑散とした通りを徒歩して、ピカデリー・サーカスに出る。昨日の夕食に入ったパブの近くのレストランで、今日は昼食。マッシュポテトの上に載せた、イギリス式の大きなソーセージを食べる。
そこからバスで、リージェンツ・パーク近くのホテルに帰った。自室で午後、しばらく仮眠。目覚めて、洗濯物を纏めて外へ出、コインランドリーの店舗へ。自室へ戻り、仕上がるまでの間、体操してシャワーを浴びた。再び、コインランドリーへ。仕上がった洗濯物を抱えて、自室へ。ようやく落ち着き、これから行くコンサートのために、久しぶりにスーツを着た。……
夕刻5時半、ホテルを出る。横の通りの旅行者用のレストランで、早めの夕食。チキンサラダとスープ。
タクシーを拾い、ケンジントン・ガーデンズの南方にある「ロイヤル・アルバート・ホール」へ。
下車すると、目前の巨大な建物に圧倒された。周囲220余m に及ぶ、赤煉瓦とテラコッタの外壁で覆われた、壮麗な円形劇場。収容人員は約8000人と言われ、東京・両国の旧国技館を想起させるような、いわば同時代色のヴィクトリア朝式の古風な大伽藍である。入場すると、広い広い!大草原のごとき場内。中央のオーケストラから30番目くらいの、やや小高い席だった。日曜日のせいか、超満員。
夜7時半、開演。直前に国歌の演奏があり、全員が起立。慣れないので、これには少し驚いた。しかも僕は、東京では殆んどコンサートを聴いた経験が無く、これまで観劇中心の年月だったので、この国歌演奏が妙に新鮮に感じられた。東京では、体験できない風景だった。……
Conductor Vilem Tausky
S oloist Malcolm Binns
ラフマニノフ『アレグロ・モデラート』のピアノの演奏が始まったとき、背中がゾクゾクッとした。
ドボルザーク『新世界』の堂々たる演奏には、豪雨に撃たれるような激しさがあった。
10時、終演。館内の割れるような、鳴りやまぬ拍手。イギリス人の握力の強さを、改めて痛感。
場外でタクシーを捕まえ、ホテルに帰った。11時頃、自室に落ち着く。
◎写真は バッキンガム宮殿の衛兵 (亡母遺品の絵葉書)
