浦賀戦跡ツアー
よく晴れた初秋の日曜日。fyunoA＆Bは浦賀戦跡ツアーに行ってまいりました。
浦賀周辺は戦跡てんこ盛り。一回では紹介しきれないので、数回に分けて書いていきたいと思います。

訪れたのは
千代ケ崎砲台→海軍機雷学校跡→陸軍橋→駆逐艦村雨の碑→観音崎のトーチカ→観音崎砲台→走水砲台跡です。

海沿いだけど、海軍よりは、陸軍関連の戦跡が多かったです。
一日かかりましたねえ。
でも青空の下、海を見ながらの戦跡巡りはなかなか楽しかったです。

秋にお勧めのコースですね。

でも。途中カフェとか食事できるお店はほとんどないので、自前で食料を調達して出かけた方がいいと思います。

海沿いのコースだから、海を見ながらサンドイッチやおにぎりを食べることもできますしね。

千代ケ崎砲台
まずは千代ケ崎砲台へ。
ここは2021年10月から土日祝日限定で一般公開されています。無料でガイドツアーもあります。
東京住まいのfuyunoA&Bは、京急線に乗り浦賀駅へ。

浦賀駅を出ると「黒船来航」の大看板がお出迎え。

2027年のNHK大河ドラマは小栗上野介さんが主人公だから、この浦賀も大河ブームで訪れる人も多くなるのでは？？私達が訪れた時は閑散としていましたが・・・(^^;)
浦賀駅からバスに乗り、燈明台下のバス停で降りて、高台の上まで登ります（かなりの上り坂）

千代ヶ崎砲台は東京湾要塞群のひとつで、明治25年から明治28年にかけて陸軍によって建設されました。東京湾内に入ってこようとする敵を撃退するための砲台。2015年（平成27年）に国の史跡に指定されました。
ここには３つの砲座が配備されていて、砲側弾薬庫や棲息掩蔽部が造られ、かなり大スケールな施設になっております。陸軍らしく、煉瓦がふんだんに使われています。
とても立派な砲台設備なのですが。
この千代ヶ崎砲台は、一度も敵を攻撃したこともなければ、敵から攻撃されたこともない。
ある意味、戦跡とはいえないのだけれども。攻撃されなくて、攻撃しなくて済んで、幸せだったといえるでしょう。
実際に一度も戦っていない砲台なので、明治時代建設当時からの作りが保存されており、約140年前の姿がよい状態で保存されています。

砲台だから高い所にあるのが当然なのですが。
この上り坂はけっこうふくらはぎにきましたね（苦笑）。

↑中に入るとすぐにあるのが井戸の跡。

ビジターセンターでガイドさんのツアーに申し込み出発。
ビジターセンターに、千代ケ崎砲台の説明看板やミニチュアがあって、わかりやすかったですね。

千代ケ崎砲台には３つの砲座があって6台の大砲が据えられていたそうです。
28cm榴弾砲と呼ばれる大口径の大砲です。

↑28cm榴弾砲の原寸大模型。

↑28糎榴弾砲の1/35スケール

↑小菅集治監製の煉瓦

明治時代から、東京湾の入り口って最重要警戒地域だったのですねえ。

140年前の姿がそのままに・・・

ガイドさんに連れられてさっそく中に入っていきます。

いや～保存状態がいいですね。

一度も戦ったことがない砲台跡なので、明治時代に作られたそのまま、よく保存されています。

千代ケ崎砲台の地下には砲側の弾薬庫などが造られて、陸軍施設によくみられる赤煉瓦作り。ガイドさんの詳しい説明により、煉瓦にも２種類あって、雨風にさらされる外側の部分にはよ～く焼いたこげ茶色の煉瓦を使い（よく焼いた方が丈夫だそうです）、内側は普通の焼き加減の煉瓦を使ったそうです。

↑確かに色が違う。

水が貴重だったということで、あちこちに井戸の跡がありました。

↑覗いてみると、ふか～い。

弾薬庫や棲息掩蔽部という倉庫の中は暗いので、明り取り兼通風孔の穴があいています。

弾薬庫の明かりとりの窓は、弾薬が爆発した場合に備えて、壁が設けられていました。

溢れるラピュタ感

トンネル状の塁道を抜けて、砲台が置いてあった場所は、今は草が生い茂っていて。

なんだか、とっても「天空の城ラピュタ」のイメージがありました。

廃墟感というか。

天井というか、砲座の上の高台に出ると、海がみえて、かなりよい景色。

あ、でも、この叢にはマムシが出るということで要注意です。

↑観測所の跡。千葉方面を見ると、鋸山が見える。房総半島って海上距離では近いのですねえ。

↑通風孔はふさがれていました。

ガイドさんの詳細な説明を聞くことができて助かりました。

陸軍って煉瓦作りと煉瓦を使った構造物構築に、情熱を燃やしていたのだなあ。

なにより、この砲台施設が一度も戦いを行うことなくすんで、本当によかったです。

「まさかの場合」に備えて構築された砲台ですが、使うことなく戦争が終わって、本当によかったです。

戦いはしていないけれど、松尾芭蕉の

夏草や兵どもが夢の跡

という句を思い起こさせる場所でした。

海軍機雷学校跡・海軍潜水学校跡

千代ケ崎砲台の高台を降りたふもとに、海軍機雷学校跡・海軍潜水学校跡があります。

もう碑しか残っていませんが。

「有限会社　磐城」の白い建物の横にあります。

海軍機雷学校は、太平洋戦争が始まる少し前、1941年（昭和16年）3月に設立されました。

そして、太平洋戦争が始まって戦況が悪化していく中、1944年（昭和19年）3月に、海軍機雷学校は海軍対潜学校に改称されました。もう「学校」というよりは、対潜水艦の戦闘訓練に重きを置いていくようになりました。

1945年（昭和20年）になると敗戦濃厚となる中、アメリカ軍が日本本土に攻めてくる危機に対応して、この学校の卒業生達は伏龍という、むごい特攻兵器の中でもとりわけ残酷無残な特攻兵器（いえ、兵器ともよべん・・・）を使った特攻隊員に指名されていきました。伏龍特攻隊員とされた卒業生達が特攻に動員される前に、終戦となって本当によかったです。

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戦跡訪問：千代ケ崎砲台