「エヴァの告白」 THE IMMIGRANT
題名どおり、第一大戦のポーランドを逃れて自由の国にと
移民船でニュヨークにたどり着いたエヴァと妹マグダ
あの時代、 エリス島は移民船の寄港地、入国審査は厳しく
肺を病んでいるらしい妹は隔離され、エヴァは強制送還されそうにー
その窮地を救ったのが闇の仕事師のブルーノ
若い女性が生きていくため、妹のためにやむなく身を落としていく


ブルーノは、純愛のような屈折した愛をエヴァに捧げ
そのためにも苦しんでいく役どころーでも妹を助けるために
お金が必要というエヴァを娼婦の手引きをしてしまうー
エヴァは澄んだ瞳に強い意志を感じさせ、妹を助けて逃れて
いきますが、きっと聡明に生きて運命を乗り越えていく予感を
感じさせていました
ポーランドへは一度訪れただけですが、クラコフに向う途中
今度聖人列せられた法王の生家の近くを通りました
98%が敬虔なカソリックだと言っていた通訳の女性や
山小屋風のレストランで出会ったシスターたちの
柔和な顔を懐かしく想いだしました
エヴァの罪を犯しましたという切実な懺悔は、すんなりと
納得できるものがあります
蜂蜜色の映像美、流れる椿姫の旋律は暗示的で
いろいろ余韻の残るよい映画でした
島を逃れる小舟、窓際に立つブルーノを
見上げるエヴァのラストシーンが印象的
二人の或る愛のかたちを表現しているように
感じました
勧めてくれた友人に感謝です!
これも勧められた「ドストエフスキーと愛に生きる」
邦題って不思議ーThe Woman With The Five Elephants
ロシア生まれの名翻訳者 スヴェトラーナー・ガイヤーのドキュメンタリー映画
彼女も数奇な運命を辿っている!
第2次大戦にキエフに侵攻したドイツ、ドイツ語が堪能だった彼女は
ゲシュタボの通訳となり、終戦間際にドイツへ奨学金を得て移住し
翻訳者として激動の時代を生き抜きます
ゲシュタボの伯爵の援助や彼女の優れた知性の幸運も
味方したのでしょう
敵対国加担者としての負い目があるという彼女! 1992年より五頭の象
つまりドストエフスキーの5大長編小説を翻訳します
60歳を過ぎ、ほとんど晩年になってからでスターリン主義の
崩壊とも関連があり彼女の屈折した想いをみるようでした
68年ぶりに故郷ウクライナのキエフを訪ねる旅やさりげない日常生活は
静かな雰囲気を漂わせていて、ドキュメンタリーの持つ力強さが
ドラマ以上に心に沁みました
言語について語る言葉は、とても重みのあるもの!
2010年84歳で亡くなりましたが、つい数年前ですね
今のウクライナ情勢をどう感じたことでしょう
2本の映画を通じて、改めて歴史や政治の現実を切実に考える
キッカケになりそうです