折々の言の葉


十五夜のつぎの夜も、月は照り映えていました

十六夜の月は心なしか楕円に見えるようー

月の名称は、美しいものがおおいですね

十六夜、いざよいという音も趣ありー今夜は立待月

月の出がかわり、居待月、寝待月ーとやはり月を愛でる気持が

月読みの言葉を生み出しているのでしょうか


折々の言の葉


十六夜のお供えは、残りの月見団子を蒸し治して、月見汁粉に


昔、孝玉コンビで歌舞伎通称「十六夜清心」を観たことを想いだしました

破戒僧の清心と遊女十六夜が川に身を投げ心中し、それぞれ助けられる

歌舞伎らしく登場人物は実は誰それで、十六夜を救った白蓮は清心の兄で

大泥棒!再会を果たした清心は盗賊の仲間に落ちている

印象的だった「一人殺すも千人殺すも取られる首はたったひとつー」

若き仁左衛門のゾクゾクするような立姿が目に焼き付いています!

勝手に殺しの様式美というか美学ーと 苦笑

玉三郎の毒婦への変わり目、変身が鮮やかでしたね

どうも月は、ルナテックー人間を狂気に駆り立てる力を秘めている

西欧にも満月に吠える人狼や魔女の黒ミサなどいろいろありますね


折々の言の葉


なんの脈絡もないのですが、日本版「許されざる者」

オリジナルの作品は、見たようにおもいますが殆んど忘却!

明治10年ごろの北海道が舞台で、苛酷な自然の映像美にあふれています

幕末に作劇された「十六夜清心」とそう時代が隔たっていない!

残党狩りは執拗であり、賞金稼ぎの話にのるのもなるほどとうなずけました

人斬り十兵衛が、封印していた刀を抜くときのスイッチの入り方というか

壮絶さにゾク!としました 

依頼した女郎たちは最果てまでいざよってきた哀感を漂わせていました


折々の言の葉

きわめて日本的な心情に

あふれた作品に

想いましたがー


クリントイーストウッドの

原作をもう一度観てみたい

寡黙な男の背中の演技

西部の女娼館の女主人が

達者な女優だったこと

すこし覚えています


十兵衛にとって許されざるものとは、子等を守るためや友を弔うこと

女郎たちの誇りを取り戻してやるーそれを阻む者は許せない!

でも誰の心にもなにか許されざるものがあるに違いないとー

想わせるとても余韻の残る映画でした


折々の言の葉




 「十六夜いて 月はあはれを知りにけれ

               清みたる面(おも)に影の宿りて」  みみ卯