折々の言の葉


延々と天にも届くかとおもわれるエスカレーターで昇ると

海や港が見晴らせるロビー!

この山上の美術館に20年ぶりぐらいで来ました

開館30周年記念の企画展「山中常盤物語」の公開です

大和絵絵師の岩佐又兵衛についてはなにも知らなかったのですが

絢爛豪華な絵巻で12巻展示されていました


折々の言の葉

15歳の牛若が奥州藤原秀衡の館に迎えられていた頃

母の常盤御前は一目逢いたく、奥州路へと旅たちます

でも山中の宿で病の床にあるところを盗賊に襲われます

小袖まで剥ぎ取る盗賊に「肌をかくす小袖をのこすが情け

さもなくば命もとってゆけ」 といい非業の死を!

目をそむけたくなるほどの写実的な描写にびっくりー


折々の言の葉

極彩色で衣装の文様などとても緻密に描かれています!

庭の草木など自然描写も細密でした

この絵師の独特の手法なのですね


折々の言の葉

母の夢をみた牛若が京へ上る途中、この宿に奇しくも泊まることとなって

母の最期をしり、盗賊たちへの復讐をはたす有様もとてもリアル!

牛若が宙に飛びあがり、次々と切り伏せていく場面転換など

まるで動画の世界のようでした

輪切りの死体がゴロゴロ、それが濃密画で描かれているわけですから

とても強烈です!


又兵衛の生立ちも数奇な運命を辿っています

信長に反逆した父の村重が滅ぼされ、一族は斬殺

乳飲み子の又兵衛だけが乳母に助けられ逃れたとー

後年江戸に出て、たくましい肉体の人物像や動きの強調など

独特の様式が認められたり、将軍より千代姫の婚礼調度の

制作をまかされるなど活躍したと書かれています

豊頬長頤(ほうぎょうちょうい)、頬がふっくらして頤が長い

顔の特徴は貴族の顔貌らしいです

盗賊はいかつい顔でいかにも荒々しく描かれています

この絵巻も工房で沢山の弟子を使って製作したとか

長大な絵巻ですから、そうでしょうね


この復讐譚の絵巻に又兵衛の想いを重ねてみると

きっと憶えていない母への慟哭が伝わってくるようでした


折々の言の葉


強烈な絵巻に圧倒され庭にでました

茶室のほうへ上り、抹茶で一服、ほっとしますね


折々の言の葉


海を臨む庭もよく手入れされています、これは光悦垣

光琳屋敷が復元されていましたが、あの国宝[紅白梅図屏風」は

展示が終わっていて残念!

でも仁清の「色絵藤花文茶壺」があり、見事な絵柄を愉しみました

櫻につづいて藤見!にも行きたいですね


     「母子草 小鷹となりて蒼空にとび

           想いをとげしか 山中の宿」   みみ卯

折々の言の葉