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【 テーマ「かこ」について 】

「かこ」では、私が2008年9月に経験した交通事故について綴っています。

 私自身がこの貴重な経験を忘れてしまいたくないから。

 毎日毎日起こり続ける交通事故、そのひとつひとつ痛み・重みを
 少しでも多くの人に知ってもらいたいから。

 そしてこの経験を踏まえたうえで、
 毎日を楽しんでいる人がいるんだということを知ってもらいたいから。

主観とエゴのかたまりかもしれませんが、
お付き合いいただけたら幸いです。

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ヤスはうつむいたまま、
「ごめんね…」とつぶやいた。




「俺だって、退院なんてしたくないよ。

 一緒にいたいよ。



 ごめんね。俺のせいで…。



 なんで俺のほうが先に退院なんだろう。

 なんでフユの怪我が、俺じゃなかったんだろう。



 代われるなら、代わりたいよ…。」




ヤスは泣きながら、ごめん、ごめんねと言った。



事故後、ヤスが涙を流したのは初めてだった。


どんなに痛くても、どんなにつらいリハビリでも
決して涙は流さなかったのに。





「ごめんね。

 俺のせいで…

 つらい想いをさせて、ごめんね…。」





責めるつもりなんてなかったのに、
あんな言葉を放ってしまった自分の愚かさを呪った。


不用意に傷つけてしまった自分が情けなくて

私もまた、ごめんねと謝った。



「ごめんね。ごめんね。


 ヤスのせいじゃないよ。



 私は、この傷が自分で良かったよ。


 だって、私にはヤスがいるもんね。ヤスが助けてくれるもんね。

 逆だったら、私、ヤスの大きなからだなんて支えられなかったよ?




 だからね、これでよかったんだよ。


 バカなこと言って、ごめんね。」




いつもいつも、私以上に前向きで、私以上に私の味方をしてくれるヤスが

事故後初めて見せた涙。





改めて、私にはない、ヤスの抱えている”重み”を知った。



それと同時に、

この人だけは悲しませちゃいけない、と思った。



2人で一緒に

乗り越えていくんだ。