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【 テーマ「かこ」について 】
「かこ」では、私が2008年9月に経験した交通事故について綴っています。
私自身がこの貴重な経験を忘れてしまいたくないから。
毎日毎日起こり続ける交通事故、そのひとつひとつ痛み・重みを
少しでも多くの人に知ってもらいたいから。
そしてこの経験を踏まえたうえで、
毎日を楽しんでいる人がいるんだということを知ってもらいたいから。
主観とエゴのかたまりですが、お付き合いいただけたら幸いです。
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姉が北海道に帰ると、いよいよ家族のいない入院生活が始まった。
けれど、ヤスがいる。
病院のスタッフのみんなはとても気のいい人たちだし、
友人や、ヤスのご両親もお見舞いに来てくれる。
不自由といえば、洗濯くらいなものだった。
車椅子の私には、洗濯機から衣類を取り出す、ということができない。
1回200円くらいで洗濯を病院に頼むこともできたけれど、
やはり着替えも下着も全部を知らない人に預けるというのは、ちょっと気が引ける。
しかしそれも、ヤスが手伝ってくれたおかげで解消した。
ヤスは松葉杖、私は車椅子で、一緒にコインランドリーに行く。
洗濯機から脱水機へ移動したり、脱水機から洗濯物を取り出すのはヤスがしてくれる。
そんなこんなで、
ヤスに力を借りながら私たちは毎日を楽しく過ごしていた。
看護師さんの提案で、朝ごはんは談話室で一緒に食べるようになった。
窓から見える山々を眺めながら
「これ、昨日のおかずと同じだねー」と笑いながら食べる食事は
どんなものであれ、最高においしい。
昼間は一緒にリハビリに行って、
消灯時間になると私は勉強を始めた。
卒業するために、少しでも卒業論文を進めておかなくてはならなかったから。
アパートからパソコンと本を送ってくれた友人に感謝をし、
少ない体力のなかで、
一日1~2時間程度だけれど卒論のための研究を進めていった。
たくさんの小さな幸福に囲まれて、
心穏やかな日々が続いていた。