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【 テーマ「かこ」について 】
「かこ」では、私が2008年9月に経験した交通事故について綴っています。
私自身がこの貴重な経験を忘れてしまいたくないから。
毎日毎日起こり続ける交通事故、そのひとつひとつ痛み・重みを
少しでも多くの人に知ってもらいたいから。
そしてこの経験を踏まえたうえで、
毎日を楽しんでいる人がいるんだということを知ってもらいたいから。
主観とエゴのかたまりですが、お付き合いいただけたら幸いです。
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その日はいつものリハビリの先生が遅い夏休みを取得して、不在の日だった。
代わりに私を担当してくれたのは、
いつもの先生よりも少し年上でいつも笑顔の”おかあさん”のような先生だった。
代行の先生が行ったメニューはいくつかあったけれど、
そのなかでも特に記憶に残っているのは”座って足あげ”だ。
その言葉だけ聞くと簡単そうだけれど、
その頃まだベッドで横になってのリハビリしかしていなかった私にとっては
背もたれのないところで座る、というだけでも大変なものだった。
そこで、あがらない足を必死であげる。
あげると言っても、角度90度で座っている足を、ほんの数度あげるだけ。
それでも10回あげるだけでもへとへとに疲れて、
リハビリ中にはじめて音をあげた。
少し休ませてもらってから、もう10回。
角度をほんの数度あげる。
それだけだけれど、1回1回渾身の力を込めてあげていた。
渾身の力を込めないと、
その数度すらもあがらなかった。
異変が起きたのは、その日の午後になってからだった。