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【 テーマ「かこ」について 】
「かこ」では、私が2008年9月に経験した交通事故について綴っています。
私自身がこの貴重な経験を忘れてしまいたくないから。
毎日毎日起こり続ける交通事故、そのひとつひとつ痛み・重みを
少しでも多くの人に知ってもらいたいから。
そしてこの経験を踏まえたうえで、
毎日を楽しんでいる人がいるんだということを知ってもらいたいから。
主観とエゴのかたまりですが、お付き合いいただけたら幸いです。
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9月14日。
私はきっと、一生この日付を忘れない。
***
「ありがとうございましたー!」
全員で声をそろえてお礼を言う。
夏の一大イベント、サークルの合宿が終わった。
いや、正確には終わっていない。
「おうちに着くまでが旅行」だからね。
「事故だけはないように、気をつけて帰ってね。」
民宿のおじさんが言う。
「はーい」と答えた私たちは、あらかじめクジで決めてあった車へ乗り込む。
40人弱、車の数は7~8台。
県内とはいえ長い新潟県の端から端までの大移動だ。
私が乗ったのはサークル長の車で、
1つ年下の彼とバカみたいな話をいっぱいしながら道中を過ぎて行った。
免許を取ってまだ1年もたたない彼は「運転こえー。フユさん代わってくださいよー。」と言う。
私は「まじー?代わっちゃうー?」と笑いつつも、
「ダメだよ。この車は私は保険入ってないんだから、万が一事故ったら大変でしょー。」と答える。
この合宿のこと、彼の彼女の話、これからのサークルのこと、
いろんなことを話しているとあっという間に休憩地点に着いた。
休憩地点は全部で4~5点あって、その都度遅れている車がないか確認する。
2度目の休憩地点で、もう一度クジを引くことになった。
旅の道中、車内でいろんな人と会話できるようにという計らいだ。
ドキドキしながら、運転手たちがクジを引くのを待った。
私の名前を引くのは誰だろうか?
運転手の一人である彼氏・ヤスがやってきたので「誰ひいた?」と聞くと、
彼は笑いながら自分が引いた2枚の紙を見せた。
1枚には1年生の女の子の名前が書かれている。
もう1枚に書かれている名前は、私。
「なんだぁーいつもと同じ車じゃん!」
なんて言いながらも、笑って彼の乗る軽自動車に向かう。
後輩の女の子に「じゃんけんで助手席決めようか」と言うと、
彼女は「いやいや!そんな私フユさんを差し置いて隣になんて座れませんよー!」
と答えたので、まぁ、そうか、と私は助手席に乗り込んだ。
当時、ちょっとコンビニに行くくらいではシートベルトをしていなかった私たちも
「長距離運転だし、後輩を乗せてるし」と、しっかりシートベルトを締めた。
数年前にサークル長を務めていたヤスは、
「事故だけはないように」と皆に安全運転を心掛けるよう話していた。
車内では「数年前のこのサークルではね」なんて思い出話に花が咲いた。
後輩にもわかるように、今いる先輩の昔話なんかを混ぜながら。
全体の前から2番目を走っていた私たちはあわてる必要もなく、
ゆっくりゆっくりドライブを楽しんでいた。
間に知らない車は数台走っているが、その後方には同じサークルの人の車が見えている。
とても天気のよい日だった。
トンネルを抜けると左手に海岸が見えた。
「わぁー海!綺麗だねー!」
青い海と、光る太陽。
絶景に思わず私は歓声をあげた。
前方に視線を戻す。
あ。
車の顔が、視界いっぱいに、広がった。