ヤスの手術は無事に終わったそうだ。

姉が来てくれたり、ヤスの家族が来てくれたりもしたけれど、詳しいことは何も覚えていない。

とにかく大半の時間は眠っていた。




2番目の姉が来てくれた次の日のお昼に、一般病棟に移れることになった。

ここがどこかもよくわからないまま、ベッドごと移動していった。

部屋に入ると綺麗な個室で、驚いた。

小学生のころに入院したときの病室のイメージとはずいぶん違う。

そうか、もうあれから10年経ったのか、なんて考える。


一般病棟に移動してほどなく、上の姉が札幌に帰る時間となった。

ここからは空港に行くだけでも約3時間かかる。

空港から札幌までの時間を考えても5時間はかかる、大移動だった。

今から帰っても自宅に着くのは夜中になる。次の日は朝から仕事だ。

私は何度も「ありがとう」と言った。

最初に目を覚ましたときからみていてくれた姉。その姉が帰ればさみしくなってしまう。

けれど今は2番目の姉がいる。

みんな仕事があるのに、少しずつ期間をずらして、私がひとりにならないようにしてくれていた。

その気遣いが素直にありがたかった。