「ワタシ、ちょっと愚痴聞いてくれるかな?」と
矢口さんから声をかけてきたのは、
火野さんが退院して復帰してから10日後くらいだったかな？
その1週間前くらいの午前中に火野さん宛に小さな小包みが届いたの。
たまたま事務室にいた綾瀬さんが、
「それなんですか?
」と聞いたのね。
そうしたら火野さんが、私達にお見舞い返しにあげたハンカチだよと教えてくれたんだって。
「小包みの中には、色違いのハンカチが10枚くらい入ってたよ」と綾瀬さん
スタッフ全員にハンカチを配ってくれたし、足りない訳ではないよねと綾瀬さんが見ていたら
「入院中、奥さんに色々心配させちゃったし、大変な気苦労かけたから、お詫びに種類と色違いのものをプレゼントしようと思ってさ。取り寄せたんだよ。スタッフにもこのハンカチ好評だったしな
」と火野さん。
えーっ
こんなにたくさん奥さんにあげる！？
いや、これは矢口さんにもあげるんだな
と
綾瀬さんは思ったらしいの。
でね、矢口さんに「火野さん、またハンカチを追加購入してたから、きっとプレゼントしてくれますよ!
」と伝えちゃったらしい
綾瀬さんに悪気はない。仕方ない。
しかし、1週間経過しても、矢口さんの手元には届かないハンカチ。
どうやら本当に奥さんに全てをプレゼントしたらしい。
矢口さんにしてみれば、
火野さんの入院中、
他のスタッフ達とは比べ物にならないくらい、
お金を使ってるのに、
お返しは、みんなと同じハンカチ一枚。
そりゃあ納得できないよね。
期待しちゃうよね。
でもね。奥さんには敵わないんだよ
残念ながら、火野さんは家族が【一番】なの。
そこは、絶対に曲げられないと前から言ってるでしょ。
「やはり奥さんには勝てないのかな?」と矢口さん。
お金をかけて高価な物を贈っても、家族には勝てないんだよ。
勝つとか負けとか、そんな次元じゃないと思うな。
私に反論されて、何を考えたのか知らないけど
後日、火野さんに
「私をあなたの最期の女にしてね
」と
わけのわからない宣言をした矢口さん。
脳内お花畑、いや自己陶酔型でしたか
つける薬はなかったようです