山  私は山奥に住んでいる。

家の裏には山がある。

赤土の土壌で、雑草もボウボウ生えてくる・・・。

色々な意味で、大変な所である。

田舎ゆえの困りごとは数限りなくあるのだが、

その中でも、一番大変なのがむし 『虫』である。

虫は遠慮会釈なしに家に侵入してくる。

テントウムシぐらいなら可愛いが、巨大な蜂や

アブ、カメムシ等イライラさせられる者ばかりが

入ってくる。

きゃつらの中でも一番前線での戦いになる虫が

『ムカデ』君である。

形はグロテスクだわ、足はモニョモニョしてるし、

噛まれたり、刺されたりしたら最悪な方々なのだ!

冬は出てこないが、暖かくなってくると、突然家に

侵入してくる!

それも、夫婦や親子で乱入してくる。

夜遅くに家に帰ると出迎えるのは、ムカデ君だっ

たりする。

特に今年は多く、毎日のように現れた。

イライライライライライラ・・・・・・が段々たまって

いった。

そんなある夜、家に帰りつくと、大きなヒムカデ

が、玄関の扉の所でウネウネしていた。

もーーーーーーれつに腹が立った私は、火箸

でそのムカデを掴み、こう叫んだ!!

『二度とうちに来ないで!来たら殺

すしかないの!解かった!?逃が

してあげるから、仲間にもよく伝え

ておいて!』

私は鼻息も荒く言い捨て、ぽいっと庭先にムカ

デ君を投げ捨てた。

うねうねと逃げていくムカデ君を見ながら・・・・

・・・・・せいせいしました!私!・・・怒り 



 でも、不思議なことに、それから一度もムカデは

家に入ってきていないのです・・・。

ムカデさん、理解してくれるみたい・・・。

嘘のようなホントの話です。