【社会人地獄その3】

飲み会後、週明け出社したら
AさんBさんが「先に帰っちゃってごめんね、あの後大丈夫だった?」

と気遣ってくださいました

私は「いや~部長も酔ってらしたんで、結局タクシーで帰りました」と答えました

抱き着かれてキスされたことは言えませんでした

ここでAさんBさんに言っても罪悪感を抱かせてしまうし、誰も何もできないことは悟っていたからです

そう、誰も部長には物申すことはできないのです


飲み会中、部長には個人的な連絡先を聞かれ、教えてしまっていたので、ちょこちょこ食事に誘われたりしました

なんとか断ってはいたのですが、あまり誘いを断り続けるのも機嫌を損ないかねないと思い、2回ほど食事に行きました

もちろん2人で、です

2回目の食事の時に「変な意味じゃなくて、今度お休みの日にドライブとかしたいと思っているんだけど、誘ってもいい?」と言われました


流石に無理 てか変な意味ってなに?



もう流石に無理!



と思ったので「休みの日にお出かけするのは、彼氏もダメって言いますし難しいです」と断りました


食事のあと、ずっとモヤモヤした気分で、

今後ずっと部長と2人きりの食事に行かなくてはならないだろうか、また休みの日のお誘いがあるのではないだろうか、と悩みました


そもそも「彼氏とラブラブです」と言っているのになぜこんな誘ってくるのか理解できませんし、重役が新入社員に対して個人的に休みの日も会おうとしてくるのも常識的ではないと思いました



悩んだ結果、思わせぶりなのは良くないからキッチリ話をつけよう、と思い立ちました


と、思っていたら部長から電話がきました

「はなこさん?やっぱドライブ行かない?」

と断ったはずなのに、また誘ってきたのです

「ごめんなさい、やはり彼氏にも怒られてしまって行けないです。それにプライベートで部長と2人で会って特別な関係と思われてしまったら、お互い困ることになりますし、ちゃんと線引きした方がいいと思うんです。部長にご迷惑をお掛けしたくないです」

ということを、緊張しながらしどろもどろに伝えました
部長は明らかに声色が不機嫌になり

「ああそう、わかった」

と言い、電話を終えました


それから会社で話す機会があっても、あからさまに不機嫌な態度を取られたりしましたが、もともと部長は週の半分くらいしか出社してこないし、直接話す機会もそんなに多くは無かったので、気にせず仕事をしていました

ただ、部長から嫌われたのは明らかです
脳内では、Aさんの「この会社でうまくやっていくには、この部長に気に入られるかどうかで決まる」という言葉がリフレインします


その後、子どもじみた嫌がらせのような事がちょこちょこあったものの、私は淡々と自分の仕事をこなしていきました


率先して誰もやりたがらない細かい作業をしたり、やれることをやり、部長以外のスタッフとは何の問題もなく、和気あいあいと仕事をしていました

「仕事を失って、また辛い就活をするのだけは嫌!」と思いながら、気づけば入社して6年ほど経っていました



そして、すべてのやる気を削がれる出来事が起こりました


つづく