先日、ようやく清正井(きよまさ の いど)に行くことができました。
大鳥居をくぐると都会の中にあるとは思えないほど壮大な森が広がり、
別世界に入ったようでした。
ゆっくり参道を歩いて約10分、
ぬけるような青空の中に
こんもりと大きな楠を両脇に抱えた立派な本殿で参拝。
そのあと御苑を散策しました。
人にもそんなに会うこともなく静かに一人でゆっくり歩くことができました。
清正井(きよまさのいど)に行きたくて小径を進みましたが、
どれくらいの距離を歩けばそこへ着くのかだんだん不安になりかけた時、
突然一匹のすずめが足元の熊笹から飛び出して私の少し前を歩き始めました。
数歩進んでは私の方を振り返り
また進んでは振り返り、
こっちだよとしばらく道案内をしてくれました。
そして、案内の看板を見つけた途端、そのスズメはいなくなりました。
そういえば10年くらい前に熱田神宮へお参りに行ったときにも、
摂社をお参りして回るときに
カラスが現れて道案内してくれたことを思い出しました。
清正井はとても人気のある場所なので並ぶのを覚悟で行きましたが、
その時は数人の人がいるだけですぐに近くに行くことができました。
井戸のそばに立った瞬間
その澄み切った泉に吸い込まれるような感覚になりました。
それは全身をスキャンされているような、
ドクンと全身が波打つような、
何かに心の奥まで見透かされているような、
妙な感覚。
背筋がピンと伸びたような気がしました。
その不思議な余韻にひたりながらしばらく木々の中を歩いていると、
ふと数日前に友人との会話の中でもらったメッセージを思い出しました。
「今を生きる」
人は何かをしていても心ここにあらずの状態で
頭の中は全く違うことを考えたりしていることが多く、
目の前の今を生きていないということでした。
目の前の現実と頭の中で考えていることとのギャップを無くし、
今を楽しむ、今を生きるということが心身のためにはいいことなのだと。
今見てきたあの泉は昔から毎日こんこんと湧き続けている、
常に今を生き続けているんだと納得した瞬間、
近くを歩いていた人や、話し声もピタッと無くなり誰もいなくなったので、
少しマスクを外して深呼吸してみました。
その日は葉っぱ一枚も揺れることないくらい無風だったのに、
どこからともなくザワザワと風の音がしてきて、
その風の中に巻き込まれてしまいました。
その瞬間、何か大きな存在を感じ、
ここに来ることができて良かったと感じました。
そう感じた瞬間、風はピタッとやみました。
一瞬どこか違う世界に行ってきたような感覚でした。










