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映写室の奇跡:30キロの雨道を越えて、推しと亡き夫が繋いだ「しあわせの数式」


今年に入り3度目の映画鑑賞。今回は妻の強い誘い、否、半ば強引な連れ出しに渋々付き合う形となった。目的は、妻の“推し”である**JO1の豆原一成(豆ちゃん)**が出演する作品だ。

上映場所は橋本。生憎の雨模様に、電車ではなく車を選択したのが、この日の小さなドラマの始まりだった。午後1時30分からの上映に合わせ、午前11時30分に家を出たものの、なんと距離は約30キロ。到着したのは上映開始30分前の午後1時。早めの出発が功を奏した形となった。


孫と祖母、そして亡き夫の「秘密」


映画の主役は、来年結婚35周年を迎える我が家にとって、遠いようでいて、実は身近なテーマを抱えていた。

主人が亡くなり寂しい日々を送る妻・文子(市毛良枝)のもとに、思いがけない「大学入学」のプレゼントが届く。それは、生前叶えられなかった夢を託した、亡き夫(長塚京三)からの最後のサプライズだった。

そして、妻の孫であり、我が妻の推しであるJO1の豆原一成演じる**大学生の拓磨(豆ちゃん)**が、その物語の重要な鍵を握る。拓磨は、祖母と同じ大学に通い、カフェでのアルバイトをしながら、自身の将来と夢の実現にもがき苦しむ日々を送っている。

拓磨は、亡き祖父の書斎で「大学の入学案内」を発見し、祖母を新たな生きがいへと導く。さらに、富士山を愛した祖父が遺した**「不思議な数式」**を巡り、拓磨は祖母を富士山へと誘う、重要なナビゲーターの役割を果たす。夢に自信が持てない拓磨と、新たな学びの喜びに目覚める祖母。二人は互いに影響を与え合い、絆を深めていく。


感動のクライマックスと、響き渡るJO1の調べ


長塚京三が演じた亡き夫の、日常の些細な家事に対する感謝。言葉では「ありがとう」を言えない、“シャイ”な一面がクライマックスの伏線。亡き夫からの妻へのアドバイス「ちょとは褒めてあげたら」は、娘との和解に繋がる

そして、50年の結婚記念を迎える夫婦の愛の物語。ラストの絵葉書が導くクライマックスで、亡き夫の想いが時を超えて届いた瞬間、拓磨の成長と祖母の輝く笑顔が重なり、思わず号泣してしまった。

その感動の余韻を包み込むように、エンドロールで流れ出したのが、JO1のエンディングテーマ『ひらく』。温かくも力強い歌声が、涙でぼやけた視界に沁みわたり、感動はひとしおとなった。

雨の中の30キロのドライブも、妻の推しに付き合う時間も、全てがこの映画に繋がっていたのかもしれない。スクリーンの中で繰り広げられる、時を超えた愛と夢の物語は、言葉にできない感謝と、未来への「しあわせの数式」を、静かに心に刻み込む、忘れがたい一日となった。