自宅を出たら、駅まで歩く体力は
ある。

電車を降りても、不意にナイフを刺してくる人はいない。

職場で突然、会社の倒産を告げられることはない。

立ち寄る居酒屋に、酒が納品されていないことはない。

自宅に戻って、突然旧友が立ち寄っていることもない。



大体の方は、そうした認識を固定化させて毎日を送られているはずです。

では不測の事態の際に、最善の挙動が取れるかというと、まず無理でしょう。



突如として不可抗力が働いても、悪い影響が及ぶことがない人、

あるいは未曾有の災害の渦中に巻き込まれても実害を被ることがない人、

そうした人は、日常のどのシーンにも “当然” は存在していません。


マクドナルドの看板を初めて見たかのように眺め、信号のカラーも新鮮。

吸い込んでいる空気の臭いも、馴れた知人の表情への好奇心も絶えません。


そうした感性を備えた人には、『先に構える何か』は存在しません。

よって事前も事後もなく、息を引き取る瞬間から生まれた瞬間まで自身を俯瞰しています。



そんな人は、ごくまれにですが、います。

僕自身は、そのトバ口を垣間見ている程度ですけれど。





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