この国のタブー -12ページ目

この国のタブー

素人がタブーに挑戦します。
素人だけに、それみんな知ってるよ?ってこともあるかもしれませんが。
コメント、質問、大歓迎です。お手やわらかにお願いします。

唐突ですが久々に投下します。って言っても完全復活には程遠いんですけどね。


つい先日、99年に放映されたドラマ「ケイゾク」の最終回をふと思い出して、ネットの動画で視直したら、やっぱり記憶していた通り。ありましたよ、気になるセリフが。

それは、ひた向きにどこまでも真実を追い続けようとする柴田(中谷美紀)に対し、同僚の真山(渡部篤郎)が苦言を呈した、次のような一節です。

「日本で1年間に起こる殺人事件は、約一千数百件。その一方で「特異家出人」、つまり犯罪に絡んで行方不明になっている数が15,000人。仮に、殺されているのがその内の1割だとしても、1,500人の完全犯罪が成立しているって訳だ。俺達が知ってる真実なんてのはな、ほんの一部だ。」


最終回の山場シーンですので、ご記憶の方も多いと思います。

仮に、私達が暮らす社会の真実が真山の推定通りだとすれば、ちょっと怖い話ですよね。10年以上前のドラマとは言え、当てずっぽうで書かれた脚本とも思えません。
調べてみました。



【他殺件数は減っている】

最初に、殺人事件や傷害致死などの他殺死の実態です。
警察白書と厚労省統計資料ともに、他殺死は近年一貫して減少傾向にあります。年間1,000件を超えていたのは86年頃までで、直近では年間400件程です。
ちなみに引用元は、以前の記事でも参考にさせていただいた以下のサイトです。豊富な社会データを個人転載可という、データ好きには堪らないサイトです。
 参考:社会実情データ図録「他殺による死亡者数の推移」

他殺数と殺人死亡者数の比較


「ケイゾク」のセリフは、当時の統計資料(つまり99年より数年前)に基づきますから、恐らく80年代の数字を用いていたのではないかと推察できます。



【行方不明者も減っている、が】

次に、警察が受理した家出人捜索願の統計資料に目を向ければ、こちらも近年は減少傾向にあります。2001~2003年頃までは年間10万件を超えていましたが、その後は徐々に減少し、2008年は85,000件を下回っています。
しかし、「ケイゾク」で真山が語った特異家出人はと言えば、一貫して増加傾向にあります。特異家出人とは、自殺の可能性や、犯罪に巻き込まれた可能性(被害者のみならず加害者や容疑者も含む)を含む家出人のことです。NPO法人が掲載している資料に基づけば、2004~2008年の5年間でも30,000件から35,000件弱へと増加しています。
 参考:NPO法人日本行方不明者捜索・地域安全支援協会

家出人捜索願の受理件数の推移


家出人全体は減っているにもかかわらず、特異家出人だけ見れば急増しているんですね。ある意味では、社会に秘められた悲壮の実態が、この数字から見え隠れします。

ただしこれについて、また別のサイトの記事によれば、捜索願が出された人の多くは同年中に行方が判明しているそうです。少し長いですが、その実態を記事より引用します。

(以下、未解決事件・失踪/行方不明事件・印象に残った事件「行方不明者10万人の真実」(2011年03月07日)より引用)
「平成21年度で家出人捜索願が出された人数は81,644人であるが、同年中で所在が確認された家出人は79,936人にものぼっている。実に発見率は98%にも達し、この年の未発見者は1,708人しかいない。この所在確認者は過去に家出した人がこの年に発見された場合も含んでいるが、人数にして7,881人程であり、毎年ほぼ90%後半の発見率で推移してきているので、考慮せずともよいといえる。(←同年中に所在が判明した79,936人の1割に満たないという意味:筆者注)」
(中略)
「ただし、この所在確認には死亡した状態で発見された件数も含んでいる。21年度では4,558人が死亡状態で発見され、そのうち自殺が3,071人、不明が1,487人にのぼる。不明者や自殺者でも解剖がされないことで他殺誤認があることも、考慮に入れる必要はあるかもしれない。また、捜索願自体が提出されていない行方不明者が相当数いるであろうことも、同じく考慮しなければならない」
(引用ここまで)

つまり、家出人の多くは、生死はともかくほとんどの行方が判明しています。少し安心しました。とは言え、サイト作者が最後に言い含めている通り、捜索願が出されていない人々の実態はこの数字からは読み取れません。次はそこに光を当ててみましょう。



【行旅死亡人】

ここ数年、メディアで無縁死の急増が話題です。独居老人の孤独死が、死後かなり経ってから発見される報道も、もう日常的になってしまいました。こうした事態を受け、NHKが独自調査を行った結果は、驚くべきものでした。遺体の引き取り手が居ない「無縁死」が、年間32,000件も生じていると判明したのです。詳細が2010年にNHKスペシャルで報じられ、後に書籍化もされましたが、驚愕の内容に当時話題となりました。
 参考:NHKスペシャル「無縁社会 ~"無縁死" 3万2千人の衝撃~」

無縁社会 (文春文庫)/文藝春秋

¥660
Amazon.co.jp


さらに加えて、この無縁死うち、約1,000件は身元が判明しません。こうした身元不詳の遺体は、法令によって「行旅死亡人(こうりょしぼうにん)」と定められます。遺体は自治体の手によって荼毘に付され、官報に公示されて遺骨と遺品の引き取り手を待つことになります。しかしながら、火葬の代行費用や墓地取得などの負担が重く圧し掛かる等の事情から、引き取りを申し出るケースは極めて少ないとも言われます。
 参考:Wikipedia記事「行旅死亡人」

その実態については、「行旅死亡人データベース」というサイトを見れば良く分かります。平成24年10月で更新が停止してしまっているものの、ここでは各自治体が公示した官報記事を閲覧することができます。ひとつひとつ見ていくと、その中には死亡時期のみならず、死因すら不詳というケースが少なくありません。
 参考:行旅死亡人データベース



【まるで神隠し】

これら数字を私なりに読み解けば、犯罪等に関わったことで行方不明となった人のうち、身元も住所も不詳、捜索願の有無も不明、死因も不明という人が、実際には少なくないのではないかという考えに至ります。言わば現代の神隠しとも言うべき事案が、ひょっとすると毎日のように起こっているのかも知れませんよ。


真山のセリフを今風に言い換えれば、こんな感じでしょうか。

「日本で1年間に起こる殺人事件は、約400件。その一方で「特異家出人」、つまり犯罪に絡んで行方不明になっている数が35,000件で、全家出人の内の1,700人は結局行方知れず。加えて、無縁死32,000件のうち、1,000人は身元不詳の行旅死亡人で、1,400人が自殺か他殺かも不明だ。仮に数百から一千件の完全犯罪が成立しているとしても、何ら不思議はない。俺達が知ってる真実なんてのはな、ほんの一部だ。」


警察白書によれば、殺人事件の検挙率は毎年ほぼ100%です・・・がしかし。この数字は事件として認知された殺人事件のみです。
真実は誰にもわかりません。
あなたはこれら数字をどう読み解きますか?


今回も最後まで読んで下さりありがとうございました。



面白かったらランキング上げて下さい→