無関心への恐怖と怒り | この国のタブー

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素人がタブーに挑戦します。
素人だけに、それみんな知ってるよ?ってこともあるかもしれませんが。
コメント、質問、大歓迎です。お手やわらかにお願いします。

以前の道徳のテーマに関連した戯言を書きます。
私が日頃、こんな小難しいテーマを妄想している背景を、少しお分かり頂けるのではとも思いますが、ちょっと愚痴っぽいです。また、その場の情景を表現するだけの文才もありませんので、口語体が多くて読み辛いです。適当に流し読みしていただければ幸いです。



先日、駅の喫茶店でタバコを吸っている時、背中に誰かがぶつかりました。振り返ってみると、そこに白い杖を持った視覚障害の男性の姿。出口が分からなくなってしまったとのこと。とっさに私は、「お手伝いしましょう」と声をかけて、右手に手を添え出口へ案内しました。その様子に気付いた女性店員の方が、「ありがとうございます、こちらでお手伝いいたします」と手伝ってくれたので、私も助かりました。

人助けをすると、お互いにちょっと気分が良いです。しかし、席に戻ってしばらくして、ある失敗に気付きました。

「視覚障害の方をサポートする時は、むやみに手を引いてはいけない。」

すっかり忘れていました。これは以前、医療関係との仕事の機会で知った専門技術です。目を瞑って手を引っ張られれば、誰でも怖いですから。にもかかわらず、私は杖を持っている右手に手を添えてしまいました。反省です。
改めて調べてみたところ、あれは白杖(はくじょう)という道具なのだそうです。良く見かけますよね。ちなみに、使い方にも色々とテクニックがあるそうですが、杖を高く上げて振るサインは「助けて」の意味なのだそうです。知りませんでした。覚えておきます。
 参考:OKweve投稿質問「目の不自由な人と白い杖」

というだけのエピソードなのですが、気になったことがもうひとつ。私が座っていたのは店舗のかなり奥にある喫煙席です。・・・白杖持っている人がここへ来るまで、店員もお客もどうして気づかなかったのかな・・・?



ところで、私は困っている人に遭遇することがなぜか多いです。
例えばこんな事もありました。

昨秋の寒い日の夕暮時、歩いていると道路脇のマンション駐車場からうめき声が聞こえてきました。空耳?オカルト?と思いつつ駐車場へ立ち入ると、車の陰に座り込むお婆さんの姿を発見。見れば、とても足腰が悪く、壁伝いに体を支えてやっと歩けるような状態でした。もうすぐ仕事から帰る息子のために、食材を買いに出たものの、途中で転倒し立ち上がれなくなっていたのだそうです。

かなり気温も下がり始めた季節で、日も落ちてましたから、万が一を想像するとちょっと怖かったです。少し押しつけがましいのは承知の上で、
「寒いですし、息子さんが帰宅されるまでは、なるべくお一人で出歩かれない方が良いですよ。たまたま私が通りがかったから良かったですけど。」
と言うと、お婆さんは「それは違う」と言うのです。

「車の陰に座り込んでる間、何人もが道路を通り過ぎた。話し声が聞こえる度、何度も助けを呼んだが素通りされてしまった。声が若かったので学生さんだね。こちらの声が聞こえないのかと思って、(杖代わりの)棒で何度も壁を叩いたりしてみたけど、誰も助けてくれなかった。私のうめき声があんたに聞こえたんなら、他の人達にも聞こえてたはずだ。あんたみたいな優しい人もいるけど、本当に酷い世の中になったね。」
と、涙を溜めながら言うのです。

大袈裟かもしれませんが、背筋が凍るとはこのことだ、と思いました。それが事実とは思いたくありません。たまたま聞こえなかった、探したけど姿が見えなかったのだと思いたいですが、果たしてどうでしょうか。。。


人の無関心とは時に恐ろしいものです。場合によっては命をも脅かします。正義や道徳の話題に無関心というのはまだ許せますが、どう見ても困っている人を平気で放っておける社会というのには、心から腹が立ちます。その極めつけに、こんな事もありました。



ちょうど一年前、酔っぱらって帰宅する途中の、電車内での出来事です。終電の1時間前で、座席はひとつ空けて座れる程度、わずかに立っている人がいるという状況です。
気持ちよく酒の余韻に浸っていると、私の斜め向かいに座り寝ていた女子大生が、突然嘔吐。ちょっと想像してみてください(いや、やっぱりやめて下さい!)。電車通勤の方なら一度はご経験と思いますが、これは強烈な破壊力です。こちらも酔っぱらっているだけに、周りは皆つられそうになるのを必死で堪えます。

とは言え、私も一応大人です。嫁入り前のうら若き女子大生が、公衆の面前で醜態を晒し続けるのはあまりに不幸です。ちょっと助けてあげた方がいいな、と決心しつつも、まずは自分がつられそうになるのを抑えます。・・・別に容姿が可愛らしいからではありませんよ。(いやホントですって!)

するとここで、ちょっと驚くことが起こりました。女子大生から一人分空けて座っていた30代くらいの女性が、一旦席から立ち上がると、さらに席を二人分ほど空けて避けるように座り直したのです。
びっくりしました。次いで、怒りが湧いてきました。
そりゃ、私も含めオヤジ臭と酒臭さの立ち込める車内ですし、加えてこの状況ですから、わからなくもありません。しかし、さも露骨にその態度はないでしょう。助けるでも説教するでもなく、あからさまに無視して避けるってのは人としてどうですか。同じ女性として、人生の先輩として、正しい振る舞いとは到底思えません。

説教してやろうかとも思ったのですが、女子大生に惨めな思いをさせてしまうので、やめました。怒りの勢いも手伝って、「大丈夫?ちょっと次の駅で降りようか?」と言って、抱えてやりながら電車を降りました。救急車というほどでもなさそうでしたので、駅のベンチで水を飲ませ、ハンカチとティッシュで汚れを拭いてあげました。
聞けば、大学サークルの新歓コンパで飲まされてしまったのだそうです。泣きながらも、懸命に笑顔でお礼を言うのを見ながら、怒りとともに、こう言わずにいられませんでした。
「全然気にしなくて大丈夫。若いんだから一度や二度は当たり前。それより、あれだけ沢山いても誰も助けてくれない方が酷いんだよ。でも、世の中そんなやつばかりじゃないからさ。助けたのが若いイケメンじゃなかったのは勘弁してね。」

ズボンの裾を汚してしまい、翌朝、妻に怒られたのはご愛嬌。自分がやったと思えば同じことですし。人助けすれば気分は良いですし、怒りも一応収まりましたので、可愛い女子大生と会話できただけ、まぁ得したかなという程度です。(いや、断じて下心などこれっぽっちもあろう筈もありませんので!)



日々生きていると時々、この無関心というものに出会ってしまいます。無関心は時に恐怖であり、時に怒りを覚えます。なるべくなら出会いたくありません。困っている人にお互いが手を差し伸べるのは、そんなに難しいことではないはずです。車内での携帯通話を注意して刺される、というような複雑な話ではありません。社会のためというような大それたことでもなく、ちょっと気分が良くなる程度のことです。それで動機は十分だと思うのですが。



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