別に・・・気にしないで 女子
涙が自然と流れてくる・・・
その涙は止まらない・・・
今日は土砂降りの雨で良かった。
だって、こんなに濡れてたら、涙も化粧のひどさも雨のせいに言い訳出来るから。
一人・・・たった一人雨の中・・・ただ立ち尽くしている。
誰に見られたって気にしない。
たくさんの、たくさんの雨で、涙も一緒に流して。
思い出も一緒に流れていって・・・
激しく当たっていた雨が急に私を避けて地面に当たっている。
くしゃくしゃになった顔で空を見上げると、相変わらず土砂降りの雨は降っている。
ただ、私の頭の上にはみなれない真っ黒な傘があった。
傘の持ち手から、傘を持っている人に目線を動かすと、見たことある顔がそこにあった。
頭の中が真っ白な私にはすぐその状況が理解出来ていなかった。
その瞬間は数秒だったと思う。
見たことある顔は、私の体を抱きしめ、一緒にずぶ濡れになった。
その、雨の寒さで冷え切った私の体を温かくおおってくれた温もりに、また涙が止まらなくなった。
ひとしきり泣いて、泣いて、泣き疲れたところで、見知らぬ顔をなんとなく眺めた。
涙でぼんやりとしか見えていなかったけど、誰かはわかっていた。
こんな時に、気にされても迷惑なだけだから。
私の事はいいから・・・気にしないで。
なんでもないの・・・本当に・・・なんでもないの・・・
ただ、私が悪かっただけだから。
私のせいで、彼はどこかへ行ってしまった。
雨の中私を置いて、どこかへ行ってしまった。
追いかける事も出来ずに・・・
ただただ、雨に打たれることしか出来ない私。
本当に気にしないで・・・
こんな時に優しくされたら、もっと涙が流れて、体中の水分がなくなっちゃう。
体中の水分がなくなったら、少しは軽くなれるかな。
水分も思い出も、何もかもなくなってしまえばいいのに。
そうしたら、少しは楽になれるのかな。
気付くと、雨がやんでいた。
さっきまでの雨が嘘のように、空は晴れ晴れしている。
私の中の雨も、もう少ししたらやむのかな・・・
別に・・・気にしないで 男性
気にしないでと、僕の手をふりほどく彼女。
僕は、そんな彼女の涙の訳を知らない。
でも、これだけの土砂降りの中、傘もささずに呆然と立ち尽くす姿は、雨でかき消されていてもわかるほどの悲しみをまとっていた。
無言で傘を差し出す。
ただただ、彼女の横で彼女の流す涙を見つめながら。
彼女と知り合ったのは、最近の事だった。
初めて入ったコーヒーショップ。
そこで、彼女は注文を間違え僕の席へと持ってきた。
二人とも不思議そうな顔でお互いを見つめ、数秒後、彼女は顔を赤く染め深々と頭を下げ消えていった。
と思った直後後ろで大きな物音がした。
彼女は注文の先を間違え、挙げ句に、その手に持っていたお盆を派手にひっくり返していた。
哀れに思えてというと上から目線になるが、片づけるのを人助けと思い手を貸した。
彼女は穴があったら入りたいという気持ちだったのだろう。
それは偶然の出来事で、まるでマンガや小説にでも出てくるようなありふれた出会いだった。
その後も店に行くようになり、何度か話をする程度の関係になった。
恋心なんて洒落たモノではなかったが、彼女に好意は持っていた。
何度か顔を出すようになり気付いた事がある。
彼女には付き合っている彼氏がいるようだ。
見た目も可愛らしい彼女の事だ。
恋人がいてもおかしくはない。
恋人との関係に口を挟む程の関係ではなかったので、あまり気にとめず、どちらかというと応援している方だった。
おっちょこちょいの彼女には、幸せになってほしいいとも思うくらいだ。
そんな彼女が、街中で土砂降りの雨に濡れ、呆然と立ち尽くしている。
事情はよくわからなかったが、そんな彼女を放っておくことは出来なかった。
たぶん、男として。
いつも笑顔だった彼女に表情はなく、ただ、大きな瞳から流れるモノを雨で見えなくしている。
ただそれだけだった。
傘を片手に脇に立つ自分に視線を向けることなく立ち尽くす彼女。
気付くと、雨がやみ、そして彼女の涙もやんでいるようだった。
持っていたハンカチを手渡し、かける言葉もなくその場から離れた。
明日は、店にいるだろうか。
また、笑顔で迎えてくれるだろうか。
sunpey奏の妄想トキメキ日記
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