医学の進歩はすごいなと思った話 その4 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の抗原だけに反応する「モノクローナル抗体」の作製に成功

「モノクローナル抗体」とは?
がん細胞やウイルスに感染した細胞は正常な細胞にない特定の目印がある。抗体はその目印に対して1種類ずつ作られる。モノクローナル抗体とは、モノ=1種類、クローナル=混じりけのないクローンという意味。
「モノクローナル抗体」のつくり方
モノクローナル抗体は免疫細胞である「B細胞」からつくられるが、B細胞には寿命がありモノクローナル抗体を作る限界がある。このためB細胞にミエローマ細胞(無限に増え続ける能力を持っている)を掛け合わせてハイブリドーマ(融合細胞)を作り、この中からモノクローナル抗体が作れるものだけを選び出し、抗体を大量生産できるようにする。

横浜市立大学大学院・医学研究科グループでは新型コロナウイルスを構成するヌクレオカプシドタンパク質(NP)をマウスに投与し、このモノクローナル抗体を作り出すハイブリドーマを作ることに成功した。
さらにその中から新型コロナウイルス抗原のみに反応する抗体を作り出すハイブリドーマをふるい分けた。この中には免疫染色にも使用できるものもあり、これらは新型コロナウイルス以外の者には全く反応しなかった。
今後、このモノクローナル抗体を用いた簡易検査キット(イノクロマトキット:インフルエンザの検査キットや妊娠検査キットそして使用されているようなもの)の開発を進めていく予定とされている。

4月20日 横浜市立大学大学院医学研究科 梁明秀教授共同研究グループ