入社日


所長から1日の流れや仕入先、得意先の説明。

システムの説明などをしていただく。


仕事の話であれば普通の所長だ。

ちょっと細かい感じがするぐらいだろうか。


隣の席には入社2年目の先輩、亀川さん。

まだ、転勤で来られているのを知らなかったが、言葉の語尾が

関西に近かったので関東の人間じゃないのはわかった。


「よろしくお願いします。」と挨拶をした。

「よろしく。」と気さくな感じでとても人のよさそうな方でホッとした。


所内は何かギクシャクした感じが否めない。


するといくつかのことに気づく。


1、亀川さんと軽野さんは話すことが無い。

2、所長と田部さんも話すことが無い。

3、軽野さんはキーボードを叩くのが強い(音が半端じゃない)


1日で何が分かるという感じだが、明らかにお互いを避けている。

むしろ見ていておもしろい。


そのわけは後に分かることなのだがとにかく自分自身は当たり障りの無いように

勤めることを心がけた。


業務についての質問はしばらくの間、玉川さんに聞くようにと指示を受けるも

何をしたら良いかわからないので逐一聞くことで時間をつぶしていった。


隣の倉庫で亀川さんと話す機会があった。

「所内っていつもこんなピリピリな感じなんですか?」と聞くと

「まーね。その内わかるペーペー君も」と意味深な言葉。

「そうですよね。その内、色々と教えてください」と言い

今日は定時で帰ることに。


初日にしては色々な情報を入手できた。

人と仲良くするにはその人の内情や、性格をいち早く察知したくてはと

思っていたのでまずまずの入社初日であった。


続く







ここは北関東に位置する小さな会社の小さな営業所。

そんなところに俺は入社した。


給料は少ないが土日休みが魅力ということだけで選択した。

入社までに何度か面接や二次面接の段取りで訪問したが、そのときに

既に俺の直感は当たっていた。


社員は俺を含む計7名。パートさんが3名の合計10名の小さな営業所。

では登場人物を紹介する。


滝谷所長 45歳(男) 関西から単身赴任 バリバリの営業マン

田部主任 35歳(男) 中途入社で5年目 滝谷所長の右腕的存在

亀川さん  38歳(男) 中途入社 熊本から転勤で入社2年目

俺      28歳(男) 中途入社 入社半年のペーペー

玉村さん  38歳(女) 社歴は所長を除き一番長い大ベテラン

軽野さん  29歳(女) 田部主任と同期入社で経理担当

森さん   28歳(女) 亀川さんと同期入社の2年目


パートさんはAさん、Bさん、Cさんとします。


基本的に男性が営業、女性は営業サポート兼事務員です。


俺が二次面接で本社の広島へ行った際に交通費をもらっていない箇所があったため

二次面接後に営業所へ出向き精算を依頼。その際、滝谷所長から指示を受け軽野が

会社の現金を所長へ手渡す。そんなどこにでもありそうな風景だが俺の直感は冴えていた。


俺も数々の仕事をしてきた経験で、男女が恋愛をしているという独特の雰囲気を捕らえる

ことには優れていると自負している。スピリチュアルに近いオーラが見える気がする。


その風景を見た俺は所長と軽野の独特のオーラが微かに見えていた。

だからまだ確信ではなかった。


続く