富士錦、宝錦、朝日殿
富士錦
静岡県産と聞いてます。戦前からの古い品種でゆったりと弧を描く姫葉と、地合の濃緑と白縞(環境や季節によりクリーム色にもなる)のコントラストの良さから縞が何本も入るととても綺麗です。また軸も他のものに比べ赤みが強く綺麗です。ただ、柄が暴れて安定した良柄になりにくいです。鳳(おおとりい)は中斑に変化したも、覆輪になると富士覆輪です。泥軸泥根で付けは扇型。
宝錦
黄色の縞で、比較的雄大な木です。宝錦が高価だった頃は金兜を宝錦と偽って売っていたことがありました。最近では、高千穂の縞が高価なので、宝錦を高千穂の縞(黄縞の天領、白黄縞の竜泉錦)と偽って売っています。結構、宝錦を天領や竜泉錦などの高千穂の縞として持っている方が多いんじゃないかと思います。濃い泥軸で泥根、付けは月形。
朝日殿
大阪で取れたとのことです。作っている環境や系統により萌黄から黄色の斑で、棒縞と呼ばれる太い縞を出します。幽霊地になっても僅かに葉緑素が残っているようで育つことがあります。覆輪も結構出やすいです。特に幽霊地になったものが古木になり葉の中芯に紺が乗ってきて覆輪になることが多いです。根は斑の部分から伸びると紫の強い赤根となります。泥軸泥根で付け月型。
富貴殿と駿河覆輪
100年以上前に発見された古くからの名品を2つ。
富貴殿と駿河覆輪ですが、富貴蘭を始めた当初はこの二つの区別が付きませんでした。こうして並べてみれば区別が付きそうなものですが、初心者だと分からないものです。
富貴殿:ほぼ天冴えの白斑大覆輪(季節や環境により薄いクリーム色にもなる)です。地合の緑と白い斑の境界がややぼやけているのが特徴です。子供は幽霊で出てくることが殆どです。葉肉はそこそこでゆったりとした姫葉です。若い木から出る子供は真ん中に紺が乗ってこずに幽霊のまま大きくなることがあります。泥軸、泥根で派手だとピンク根を出すことがありますが、ピンク根は伸びが悪いです。
発見は江戸時代に大分県でとのこと。昔から満月と共に覆輪品種の代表です。
駿河覆輪:完全な天冴えの白から薄いクリーム色の覆輪で、緑の地合との境界がはっきりしています。子供は、紺覆輪に出てくることがあります。紺覆輪の中透けの真鶴芸の子供が出ることが有りますが大きくなると幽霊となってしまいます。葉肉が薄く葉がよじれるように伸びることがあります。泥軸、泥根です。
発見は明治初頭に静岡県でとのこと。
斑の色が濃いクリームから黄色になると紫辰殿となります。丈夫で作りやすいです。日が弱かったり風通しが悪く伸びるとよじれががひどくなりますので、締めて作った方が綺麗に見えます。
翠宝と玉錦と紅扇
登録されている覆輪種です。
翠宝は奄美系の覆輪で、最近多い韓国で実生されたものではなく、自然選抜品です。芸は満月に似てると言いますが、色んなところが違います。まず、軸の汚れ具合が満月より少ないです。斑の色も満月より黄色が強いです。作ってみれば分かりますが、日に当てた場合の日焼けが満月は結構弱いですが、翠宝は強くガンガン日に当てても大丈夫です。同じように栽培すると満月より大きくなります。写真はまだ派手な子が付いていますが、翠宝の方が子供の紺の乗りが良く幽霊の子が出にくいです。泥軸泥根です。
玉錦は、西出都の変化したものです。小さくなり、葉の湾曲が強くなります。また付けも殆ど一文字で直線となります。子吹きは悪いとは思えませんが、紺覆輪の中透けの真鶴芸(玉鶴)が良く出ます。写真のも3本続続けて玉鶴が出た後でやっと本芸の子供が当たりました。泥軸泥根です。
紅扇は萌黄色の覆輪ですが、萌黄の部分に紫色の色素であるアントシアニン(ポリフェノールの一種)が強く出て、紅よりは茶色っぽい色の覆輪芸になります。特に秋に日を取ったものは強く出ます。葉幅も広く大型です。泥軸泥根。
引き続き「豆葉」
まずは、鈴虫。江戸時代末期の名鑑に「鈴むし」の文字があり、古ーい品種です。葉先が突起状になっていて、上から見ると鈴虫のおしりの生殖管が伸びているように見えることから名付けられたと考えられます。日が強いと直ぐに凝る(葉が小さくなる)ので、同じ長さの葉で揃えるのが難しい品種、軸は泥ですが根は僅かに汚れる程度で、青根に近いです。付けは波形。子供が当たるのですが、芯止まりになり伸びないことが多いです。根出しがやや悪いので根は大事にしたい種類です。
続いて、舞鶴です。登録品種の中でも最も小さい部類になると思われます。コロコロとしたスプーン状の葉をしてます。花はほんど咲きませんので私は見たことがないです。付けは山型で、泥軸泥根で根が細いです。葉持ちが良く片側10枚以上積み上げたのをちょくちょく見ます。ずーと豆葉として人気があったのですが、最近はちょっと落ち気味ですが、1鉢は是非持っていたい種類です。これも根出しが良いとは言えないので根は大事にしたい種類です。似たのに、小判宝が(「コバンホウ」と呼ばれているが「コバンダカラ」が正しいそうです)、舞鶴として売られていることがあります。ややこちらの方が大きくて、根もしっかりしていると思いますが、並べないとよく分からないかと思います。
これは、無銘豆葉で購入したもので、親木が積み上げ良く育ってたので、根1本を承知で購入しましたが、根が出てきません。5年くらい経つのですが、未だに根が2本。根を出すために葉を毟りましたが、だめですね。舞鶴や小判宝よりやや大きいかなと思いますが、よく分かりません。
今日の最後は未登録の緑宝の実生です。緑宝は青軸青根と呼ばれてますが、軸に僅かに泥が混じっていて、実生をしたら親と同じようなのと泥軸泥根ができました。これは親と同じ見た目には青軸青根の方です。根も太く素直に葉重ねが良く軸も太くな整然とした豆葉なので好きです。
青海タイプの豆葉
青海タイプを3つ。
まずはオリジナル青海です。古くからある模様の青海波に葉の形が似ることから名付けられたと聞きます。古く明治初頭には名鑑に青海浪の文字が確認できますので、江戸末期か明治初頭には発見されていたものと思われます。花はピンクの変わり花です。付けは山型。
姫青海は韓国で普通の風蘭の実生をしていたら現れたものだそうです。十年以上前にできており、そこそこの数があると思われます。大きくなると殆ど青海と区別が付かないと思います。花はどうだったか確認してませんが、たぶん青海と似た花でしょう。
樹海は姫青海の中に青根青軸がありそれを選別したと聞いてます。花は白の変わり花ですがまだ開花例は少ないと思います。うちではまだ咲いてませんので、早くみたいです。
秋に冴える虎斑特集:瑞晃、白山吹、夕月、霊峰、白鳥
今日は暑かったです、32℃ぐらい?、夏に逆戻り。
夏に冴えてくる虎斑特集ですここに載せた以外にもまだまだ有ると思いますが、写真の撮れるのがこの程度。(写真の綺麗な方から並べてます。)
瑞晃:和歌山産で白が冴えますが暗みも早く翌年まで殆ど虎は残らないようです。秋に伸びる根は綺麗なルビー色。
白山吹:四国・徳島?産で白が冴えますが暗みも早く翌年まで殆ど虎は残らないようです。秋に伸びる根は綺麗なルビー色。以前、雑誌に「白牡丹芸」なんて出てましたが「霊峰芸」の方が正しいと思います。この写真の木は、ある専門店のもの。
夕月:産地は知りません。クリーム色の虎斑が出て来ます。古い葉も緑が薄くなりますので、色がやや出てないように見えますがそれなりの虎斑だと思います。秋に伸びた葉の虎斑は日を取ると結構残ります。秋に伸びる根は綺麗な赤色。もうちょっと根の色が良ければ言うことなしなんですが。
霊峰:四国産で秋に白が冴えますが木に勢いがないと斑が冴えないと言うのが私の経験から言えること。後に出てくる「白鳥」(「白鳥殿」とも表現される)と区別されずに売られていることもあります。翌年まで虎が残るのは少ないです。秋に伸びる根は綺麗なルビー色、これが白鳥との違いだと思います。白鳥は年中ルビー根ですが、霊峰は秋だけルビー根。
霊峰:霊峰と同じ地域で取れたとのこと。成長期に斑がボヤッと出ますが、あまり冴えません。伸びる根はいつも綺麗なルビー色。
縞ものの株
Chisekoさんの富貴蘭のホームページ の掲示板に載っけた写真です。
大江丸縞:そんなに特別に葉幅が広いとは言えませんが、葉が長くならないのでどっしりとした感じの種類で、戦前からの古くから有る品種ですが、名鑑のTOPに並んでます。泥根、泥軸で付けは一文字です。
織姫:これも古い品種です。散斑なので派手でも結構育つので派手程良い柄とされています。麩の切れも良く派手になると、綺麗だと実感できます。青根、青軸で付けは一般的な弓形です。青根と分類されてますが、斑の部分から伸びる根はクリーム色です。
富士峰ですが、由来はよく分かりません。戦前に似たような縞を「羅因の光」に統一したが、富士錦に似ているようなのを富士峰としたらしいです。富士錦より葉重ねがややゆるく、軸の赤みが少なく、斑の色も富士錦よりやや白さが少なく黄色とクリーム色の中間でしょうか。泥根泥軸、弓形の付けです。
玉川錦:「錦糸笹」として入手したものですが、同一品の異名だと思います。斑の色は黄色が強く綺麗なのですが、葉幅が狭く流行から言うと人気のないタイプですかね。柄が凄く暴れて葉幅が狭いので櫛目の最上柄は殆どお目にかかったことがありません。泥根泥軸、弓形の付けです。
金兜:古くからの品種で、覆輪が出て金甲覆輪となりますが、覆輪の子供は幽霊になることが多く覆輪の株立ちはまれです。斑の色は特に秋の黄色が強いです。櫛目の最上柄も出るのですが安定しません。泥根泥軸、弓形の付けです。






























