「やべえ授業遅刻する・・・いいか、休もう」
別に有名ではないが悪くもない大学の経済学部に通っている俺。
とりあえず親の勧めで大学に行くことにしたけど、学校のパンフレットにあるような楽しさ満点のキャンパスライフは今のところない。
そしてこれから先それが訪れるようにも思えない・・・
「あーなんかねえかなぁ。」
この言葉を何回言ったかわからないくらい言っているのにまた口に出す。
でも変わらない日常
普通が一番幸せ?俺は中の中だけど、別にこれと言った不幸が訪れた訳じゃないし、めっちゃ幸せを感じたことも最近は無い
大体普通のラインってどこにあるんだ?就職して家建てて35年ローンを組んで結婚して子供を生むことか?
ローンに追われながら毎日満員電車に揺られて帰ってからは上司の愚痴を言う父親を見て幸せそうと感じたことは無い
小さい頃に一緒にキャッチボールしてる時の父親の顔はうれしそうに見えたけど、たぶん会社では大変だったんだろう
父さんは誰から見ても普通の一般人だけど、誰から見ても幸せとは言えないだろう
ここから抜け出さないことにはどうにもならないな
とりあえず勉学に励んだところで俺の将来は知れてる
2.5流の大学に進んだ時点でまず3年になってから就職活動の嵐になり内定がなかなか貰えずに貰える金を減らして受かりやすいところに妥協をするか就職浪人するかしかない
こんな先見えない中で真面目に勉強したってたかが知れてる
なんか探してサクセスストーリー作るしかないでしょ?
俺ら世代の強みはやぱネットでしょ♪
とりあえず検索してみるか
「大金 稼げる仕事」
情報料を先に払う系はスルー。
アフェリエイト?
「ブログを開設してそこに集客して後は売れ筋商品を見つければいいだけ!!」
いやいや、簡単なのはブログを開設するだけでしょ?はい却下
「楽して稼ぐ 仕事」
なにやら胡散臭いサイトがワラワラ現れた。
並び屋代行
「前日から並んでチケットや新商品を代わりに並んで買うだけで5000円が貰える!!」
いやいや、時給換算したら最低時給割ってますよお客さん
はい却下
「なんかねぇかなー・・・お?」
テレアポ日給15000円
結構割りよさそうじゃない?なんだろ?闇金の集金の電話?
超怖いんですけど・・・
でも電話で聞くだけだったら大丈夫か
時間帯は朝8時半から夕方5時まで。
5時までだから闇金ではないのかな?わからんけど非通知で電話すれば大丈夫でしょ♪
「トゥルルガチャッ」
出るの早くないっすか?とりあえず心の中で浮かんだ思いはしまっとく
女の子「はいもしもしダブルシステムズです」
女の子の声だ。しかも結構若い?てか可愛い系の声じゃね?ちょと入りたくなっちゃったんすけど
俺「あ、すいません。ネットの募集を見て電話させて貰ったんですけど・・・」
可愛い女の子?「はい、お電話ありがとうございます。今担当の者に代わります。ので少々お待ちください」
保留音が流れる。松田聖子の歌だ。小さい頃母さんがカラオケで歌ってた曲かな?それともモノマネ系の番組で誰かが歌ってたか?
そんなことを考えてたら低めの声が電話口から聞こえてきた
男「はい電話変わりました。担当の棚橋と申します。応募の件で電話してくれたんですね?」
さっきそう言ったんですけど・・って思いはとりあえず心の奥へ
俺「はい。まだ学生なんで、毎日出るの無理なんですけど、ネットには週2からでもOKって書いてたので電話したんですけど」
男「大丈夫ですよ。いつ頃から来れそうですか?」
マジどういうこと?面接無し?やぱまずい?てかダブルシステムって名前何?何がダブル?考えてるとまた電話口から声が聞こえてきた
男「電波悪いですか?聞こえてますか?お兄さん?」
俺「あ、すいません。面接とか無いのかなぁ?って思ってちょと考えちゃいました」
男「うちの場合お客さんが多くてですね。慢性的に人が足りないんですよ。だからね、とりあえず人を入れて使えるかどうかを試してから決めるスタンスを取っているんですよね」
俺もびびってるから基本あなたを疑っているスタンスなんですよね。
とはもちろん言わない。ていうか言えない。
俺「わかりました。そういう理由があるんですね」
男「お兄さんのお名前教えて頂いてもいいですか?」
俺「あ、道元って言います。国道の道と元と取るとかの元って書きます」
男「道元さんね。じゃあ切りがいいとこで来月の頭からでいいかな?」
だんだんタメ口になってきたんですけどこの人・・マジ大丈夫?
俺「わかりました。じゃあ7月1日の8時半に行けばいいですか?」
男「最初はいろいろと教えることあるから8時前までには来てくれるかな?」
もう完璧にタメ口ですね・・・いいともとでも言ってしまおうか?まぁ言える訳ないけど
俺「わかりました。じゃあ4日後の7月1日の7時50分頃に伺います。」
男「あ、電話番号だけ教えてもらってもいいかな?」
もうタメ口だってことは気にしないことにしよう
俺「090ー××××ー××××です」
男「くれぐれも初日から遅刻しないようにね」
俺「はいわかりました。ではよろしくお願いいたします。失礼します」
男「はいどーもー♪」
「ガチャッツーツーツー」
社会人ってのは皆こんな感じか?俺ならもっと丁寧に対応するぞ?まだ社会人ですらないけど・・
親にすがりまくりだけど・・・
んー、番号教えちまったなー、非通知作戦意味なーし!!
でもまぁ電話しただけだし、最悪面倒なったら「ちょと怪我しまして」とか「単位が足りないんで」とか言えばいいか
緊張したらめっちゃ腹減ったなぁ。
誰か誘って飯行くか。
でも平日の11時半なんて誰かいるか?
19歳の俺の友達は進学してりゃこの時間思いっきり講義だろうし、働いているやつだって仕事まっしぐらな時間・・・
ん~、諦めモード突入か?
働いてないやつ誰かいなかったかな?
美羽は夜やってたからこの時間くらいに起きて丁度いいんじゃないか?
電話してみるか。
「うっ!?」
いきなり携帯から大音量でクラブミュージックが掛かる
待ち歌だ。
大体自分が聞けない曲になんで月額300円とか払うんだ?
電話掛ける奴が好きじゃなかったらどうすんだ?
自分の趣味はこれですって言いたいのか?
ていうか電話出ろよ。
はい来ました留守電のアナウンス。
あなたがどこの誰か知りませんけどね。
俺はあなたの声はもう聞き飽きたんですよ。
母さんがバイブにしたまま鞄の中に閉まって買い物するから電話しても全く気づかずいつもこの見知らぬ女性の声を聞く羽目になる。
よく物を無くす俺は鍵を持たせてもらえず学校から帰ってきて母さんがいないと自分の家なのに入れないという意味のわからん状態に何回も出くわした。
そして母さんに電話出てよと愚痴るといつも出てくる言葉がある。
「あなたが物無くすから鍵渡せないんでしょ?お母さんだって時間が無い中買い物行ってるんだからちょっとぐらい待ってなさいよ」
あなたのちょっとぐらいはは2時間を越えることあるんですけど・・・
じゃあだいぶ過ぎるは次の日ですか?
今ならそうやって言い返せる。
でも小学生の頃の俺にできることは黙るという選択肢のみ。
正論を言ったことがない訳じゃない。
でも正論を言った場合に返ってくる言葉もいつも一緒だ。
「ここはお母さんの家なの。いやなら出て行っていいんだから出て行きなさいよ」
ね?黙るしかないでしょ?
働けない小学生にその言葉はもうリアル版家なき子になるしかない
ホームレス中学生だって中学生なのに、小学生は無理でしょ?のたれ死ぬかさらわれるかですよ?
とりあえず美和は電話に出る気配も折り返してくる気配も無い。
しょうがなく1人で行くことにする。
コンビニで済ますのは気分じゃない。
ファミレスに1人で行く勇気も無い。
友達いないと思われたくない。
深読みしすぎとか受け付けてません。
カフェか?
カフェなら読書とかしながら食えばなんかお洒落っぽく見える気がする。
カフェにしよう♪
とりあえず見られても大丈夫な格好にしないとな。
買ったはいいけど女のいない俺にはあんまり着るチャンスが無い5万円のディーゼルのジャケットをとりあえず着る。
下はリーバイスのアカミミでこれも3万した。
でも言わないと気づいてもらえない。
女は服装とか髪型とか変わる度に言わないと「なんで何も言ってくれないの?」とか言うのに男がそれを言うと「女みたい」とか言われる。
それを言うことが女の特権って誰が決めたんだ?
でもそんなこと気にしても意味ないって2秒で気づいたからもう髪をセットすることを考えてた。
セットし終わってとりあえず外に出る。
出る間際母さんが「学校に行くの?」と聞いてきたから「行ってきます」とだけ言った。
7月だと言うのにまだ寒い。
東京でこれだと北海道だとどうなるんだ?
路上の温度計に目をやる。
15度。
氷河期でも始まるんすか?
ジャケットの下がTシャツじゃ足りなかったな。
ちゃっちゃとカフェに行こう。
全国チェーンのカフェの自動ドアを開ける
勢いよく「いらっしゃいませー。お決まりでしたら右側から並んでお待ちください」の声が飛んで来る。
入った瞬間決まってるほど俺は即決できるタイプじゃない。
でも「まだ決まってない」といえるほど意思表示を出来るタイプじゃない。
絶対損失が多い。
今までの人生は確実に赤字。
借金しまくりですね。確実に、はい・・・
全然決まってないのに自分の番が来る。
店員は「お決まりですか?」って当たり前の台詞を言う。
俺「アイスコーヒーとハムサンドひとつで、砂糖とミルクはひとつずつ」
本当は砂糖は2つ欲しいけど言わない。
言えない。でした、はい・・・
大体19歳の俺がハムサンドだけで足りるわけないでしょ?
そこらへん気を使ってくれよ店員さん
勿論、心の中で言うだけ。
本当は他にも食いたい。
でもあの短い時間の中で全力で優柔不断のトップを駆け抜けれる俺が決断出来る訳が無い。
でもケーキを食べるほど女子力は無い。
それを女子力というのか知らんけど。
カフェの後に結局コンビニでなんか買って食うしかないな、とか思いつつ喫煙席で空いてるとこを探す。
奥の方から聞き覚えのある高い声が聞こえる。
「てゆーかさぁ、こないだヒサピーとやったんだけどぉ、すぐ「イキそー」とか言って超早すぎてさぁ、心の中で「超早いんですけど!!」って1万回は言ったんですけど!!」
美羽だ。てかあなた1万回をやってる間に言うってさ、1秒間に3回言えたとしても3333秒ですよ?
1時間が3600秒だから、55分ちょい掛かる計算なるんですけど?
十分長くないっすか?俺そんなに持たないっすけど。
1人で考えてたら美輪がこっちを向いた。
美和「あ!!ピロシー♪何やってんのー?学校わー?」
俺の名前はヒロシ。
宙って書いてヒロシって読む。
父さんが俺を宇宙飛行士にしたくてつけたらしい。
でも物心ついた時点で俺には無理な話。
だって高所恐怖症ですから。
飛行機なんて勿論NG。
東京タワーなんて、建てた奴を孫の代まで恨めるレベル。
高層マンションの窓際にも立てない。
そんな奴が宇宙飛行士になれる訳ない。
地球が滅亡しそうで違う惑星に移らないとならないとなっても俺は残ることを選択するだろう。
どうしても無理って言うなら睡眠薬を飲ませてから乗せてくれと頼むな。
そのためになら土下座だって余裕で出来る。
俺「お前さ、別に男とやった話するなとは言わないけど、もうちょっと小さい声で喋れよ?」
美羽「ちょっと人の話勝手に聞こえないでくれる?」
いや、それはあなたの声量次第、俺にどうこう出来る問題じゃないんですけど・・・
俺「日本語もうまく喋れないのか?言われても無いのにどうやって聞こえないように出来るんだよ?」
美羽「は?どゆこと?」
俺「勝手に聞こえないでくれる?ってお前は言ったんだよ」
美羽「ピロシ難聴過ぎでしょー。超ウケるんですけどー!!」
2人はまた大声で爆笑してる。
そしてなぜだか俺が間違ってる雰囲気に・・・
いやいや、こいつのペースにはまったら終わりだ。
俺「美羽、お前さ、なんで起きてるんなら携帯出ないんだよ?折り返しくらいしろよ」
美羽「だってピロシここに来るって分かってたから折り返さなくてもいいかなって思ったんだもん」
え?俺がここに来るの分かってた?俺の行動範囲ばれてる?てかここだってまだ3回目だし、しかも決めたのだってさっきだし・・・え?え?
美羽「ピロシ思いっきり信じちゃってるしぃ。マジウケるんですけど~。ピロシってほんとピュアだよね~♪」
また2人で大爆笑してる・・・
どうにかこいつを黙らせてやりたいけど、今の俺には出来る気がしない。
てか未来の俺に出来るのか?
出来る俺が想像出来ないんですけど・・・
美羽「立ってないで座りなよ。わたしの隣に座りたいんでしょ?」
俺「別に座りたいとか言ってねえし」
美羽「じゃあ他に座るの?」
俺「・・・」
美羽「でしょ?座りたいんでしょ?いいからさっさと座るのピロシ」
やっぱこいつには一生勝てない気がしてきた。
喫茶店で美羽の「マジぃ」「超ウケるんですけどぉ」「てかパネェっすそれ」を来世の分まで聞いてハムサンドどころかアイスコーヒーの味すら覚えてない状態になりつつ開放されたのが3時半・・・・
昼飯を食いに午前中に家を出たはずなんですけど。
大学に進学すると決まって母さんが買ってくれた鞄の中には喫茶店で読むはずだった買って読まれないままに半年を過ぎた小説が寂しそうに佇んでる。
本に心があったとしたら「まだ読んでくれないの?」とか言ってるところか?
いや、男だったら「いい加減読めよお前」とか言ってるか?
だめだ、妄想が友達いない奴バージョンに陥ってる。
男「お前講義サボって何してたんだよ?」
俺「おー、啓二か。講義終わったのか?」
こいつは小学校の頃からの腐れ縁で、まぁ遊び相手っていうか遊ばれてるっていうか・・・
とにかく悪い。
いや、良い奴なんだけど、素行が悪い、そして笑えないことにこいつと同じ大学に行っている時点で俺は頭が悪い・・・
啓二「お前いないと結局講義中もひたすらに椅子の上で揺られてるしかなくなるんだよなー」
俺「ノート取れよ。てか勉強すれよ。でも高校も単位ぎりぎりのお前がなんで大学に受かるんだか今でも不思議でしょうがないよ」
啓二「ばぁか。俺はやれば出来るんだよ♪まぁさすがに大学に関しては俺も受かると思ってなかったけどな。ハハッ」
そんなあなたと同じ大学の俺に明るい未来があるとも思えない・・・
啓二「つーかよ?結局お前何してたの?」
美羽は元々啓二の元カノだから美輪と会ってたとは言いたくない。
元々美羽のこと先に好きだったのは俺なのに、結局美羽は学校で一番悪くて有名な啓二と付き合った。
啓二と付き合わなかったからって俺と付き合ってたかって言ったらどんなに贔屓目に見ても0%
贔屓目に見ても0%なんだから贔屓しなけりゃ・・・
0に何を掛けても0%なのはわかるけど期待値を吊り上げても0%の場合はどういう計算方式になるんだ?
答えを出したところで自分の悲しさをさらに増す結果がイコールに付随してくるからその件に関しては思考を停止した。
俺「ん~、何したいって訳じゃないんだけど金欲しかったからバイト先探してたんだよ」
啓二「それって楽しい?てかめんどくない?金になんの?」
浮かんだ疑問を矢継ぎ早にぶつけてくる。
だからいつも俺はまじめに答える。
でも答えを言い終わる頃には興味が無い顔になる。
でも言わないと言わないで「肩パンすんぞ」とか言ってくるからタチが悪い
俺「楽しいとかじゃなくて金が欲しいからだよ。今言っただろ?めんどくさいかどうかはやってみないと分か・・・」
啓二「よし!!俺もやる!!いつからやんの?ヒロシお前はいくらでやんの?お前より時給低かったら時給決めた奴肩パンしてもいいと思わない?」
いや、もう全然意味わかりませんこの人・・・
てか何をやるかもまだ言ってないのにやるとかいうこの人の育て方を教えてください。
人の話に割り込んでる時点で内容絶対把握してないし、時給は高いほうが良いという一般人の思考は持ち合わせているが、上司の肩にパンチしても良いと本気で思える思考回路はどこから拾ってきたんだろうか?
啓二「で?俺は何をすればいいのよ?私服しかもってねぇけど勿論制服は支給だよな?」
俺「いや、てか本気で言ってんの?まだなんの仕事かも言ってないんだけど・・・」
啓二「馬鹿かお前?なんの仕事かなんて金を稼ぐ仕事に決まってるだろ?そんなのもわかんねえのか?」
お金を稼がないことで仕事と呼べるものってなんですか?結果稼げなかったなら分かる。
でもお金を稼がないのが仕事なんて仕事あるんだろうか?
駄目だ。啓二の言うことで真剣になったって意味が無い。
俺「いや、そりゃそうだけどさ、内容も聞かないでよく決めれるよなぁって思ってさ」
啓二「だったらお前が早く言えよ。こっちはさっきからずっと待ってるんだぞ!!」
まさかの待ってました宣言出ました・・・
今までの会話のやり取りで俺が待たせた瞬間はどれだけあったんすか?
俺の会話の途中にやるとか言い出したのあなたなんですけど?
勿論今回も心の中でしか言わない
この先もその予定しかないけど・・・
俺「テレアポの仕事だよ」
啓二「テレアポ?テレってアポるの? 何それ?頭悪い奴専用の仕事?」
俺「・・・・」
あなた専用の仕事に名前をつけるとしたらそんな名前でもいいかも知れないね。
どうして啓二が大学に入れたんだろう?まさかの裏口入学?いやいや、こいつんち金無いし
啓二「結局何の仕事なんだよ?早く言えよ!!ヒロシお前肩パンすんぞ?」
もう答えをすでに言ったのに、まだ言ってないと言われる。
なぞなぞですか?
上は洪水下は火事、さあなんでしょう的な?
俺「風呂」
啓二「はぁ?風呂?」
俺「いや、なんでもない。」
啓二「お前意味わかんねぇな。頭おかしくなっちゃんたんじゃねえのか?」
あなたは初めて会った時から色々な意味でおかしかったですけどね。
俺「電話して仕事を取ったり説明したりする仕事だよ。まだ仕事の内容とか詳しく聞いてないからどういう電話するのか分かってないんだけどさ」
啓二「俺そういうのパスしてきたタイプだから、違う仕事一緒にやるわ」
誰か助けてください。
この人の思考回路マジ壊れてますって。
俺がする仕事をやらないのはわかる。
でも啓二がしたくないからって理由で違う仕事を俺も道連れにして良いって考え方はどこから来たものですか?
俺「いやいや、もう7月1日から仕事するって決まったから無理だよ」
啓二「じゃあ俺の仕事はどうするんだよ?お前がいなきゃ始まらないじゃねえかよ」
あなたが仕事をするって会話を今さっき聞いたばかりの人間にどうすれと?
そして俺ありきの仕事じゃない路線に変更願いますよぶっとび気味の車掌さん。
俺「別々でやればいいだけじゃん」
啓二「俺そういうのやってないから」
誰か助けてくださいパート2
俺「でも俺はもう決まったから変えること出来ないよ」
啓二「それはお前が決めることじゃないだろ?」
誰か助けてくださいパート3
俺「え?だって俺の仕事だよ?」
啓二「俺の仕事でもあるだろ?」
誰か助けてくださいパート・・・って言っても誰も助けてくれないから完結しないまま不人気で終了
俺「じゃあ啓二が俺の仕事やるしかないよ」
なんでか啓二が一緒という路線で固まって行きそうなんですけど。
啓二「じゃあこうするわ。とりあえずお前と一緒にそのテレアポだかっていう特殊な仕事場に行く。そして俺は違うことをしてお金を貰う。OK?」
まずテレアポは特殊ではない。
そしてあなたがそこで違うことをしてお金が貰えるかの判断が俺には出来ない。
俺がここでOKと言ったらたぶんこいつはそれで本当にお金が貰えると決めつけるのだろう。
それだけはまずい。
だって絶対初日でクビになるし。
俺「違うことをさせてくれる保障なんて無いよ?」
啓二「よし、決まったんだから前日おまえんち泊まりに行くからな。ウイニングイレブンと布団セットしとけよ。」
あれ?いつの間にか俺がOKって言ったことになってません?
どゆこと?人の会話を1分でいいから聞く癖つけませんか?
俺「いや、啓二・・・」
啓二「決まったこといつまでも言ったってしょうがないだろ?俺は忙しいんだからあんまり止めてくれるなよ?人気者は多忙なのよ♪」
決まってはいない。
そして止めたのはあなた。
多忙って言葉知ってるならテレアポも覚えておいてください。
・・・・・・あーあーあーあー!!ヾ(。`Д´。)ノあー!!
結局啓二と話すといつもこうなる・・・
でもこういう会話を1人でいる時に思い出すと、なんて馬鹿なんだろうか?とか思いつつ思い出し笑いしてしまう。
啓二の将来を見ていたいと思ってしまう。
でも出来れば俺の存在には気づかれないままで。
さっきまで来月が待ち遠しかったけど一瞬で来ないで欲しい未来に変わったんですけど。
怖気づいたら断りの電話を入れようと思ったのに啓二が前日からまさかの泊まりで来ることになったから断りを入れることも出来ない。
今のうちに電話して無かったことにしようか?
いや、結局啓二が意味のわからんバイト話を持ってくるだけだ。
高校の時に「めっちゃ金になるバイトがある」と啓二から言われ、夏休みを殆ど削ってやったバイトがバイトでは無く、カブトムシ捕りだった。
啓二の兄ちゃんのバイクを勝手に借りて無免許のまま隣の県の山まで行って2人で木に蜜を塗って1日中待たされた。
俺が啓二に「これって蜜を塗っといて夜に捕りに来るもんじゃないの?」って言ったら啓二が「お前は馬鹿か?蜜を塗ってもし俺らがいない間にカブトムシが来て蜜だけ吸って帰ったらどうするんだよ?そうなったら俺らはカブトムシをヒモにしてるのと一緒だぞ?」
カブトムシさえタダで蜜をくれてやるのが嫌だということか
てかカブトムシに限らずペットとかを家で飼う場合、もれなく皆様ヒモになると思うのですけど。
専業ペットでしょ?稼ぎある奴いるの?
あ、いるか。
たまにテレビに出てるのいるもんな。
いやいや、そこじゃない。
そういう会話をしつつ、インターネットで蜜を塗って数時間後に見に行けばいいという情報を一緒に見てやっと納得してくれた啓二だったが、夏休みを殆ど費やしてカブトムシを数え切れないほど採ったのに、啓二が餌と水を全く与えないという愚行をやらかしたせいで、生存率は急激に下がり生き残ったのは最後の方に採った14匹だけ。
しかも俺が「それをどこに売るの?いくらになるの?」と聞いたら啓二が切れ気味に「お前あんだけ死なせといてよく売るとか言えるな。命の尊さをわかんねぇのか?これは近所の子供達に配って少しでも長生きさせてやるんだよ。わかったか?」
はいおかしいです。
だいぶおかしいことなってます。
あんだけ死なせたのは啓二。
命の尊さを分かってないのも啓二。
近所の子に配る理由は長生きさせたいからじゃなく、自分では面倒見れないのと売ることが面倒になっただけ。
同じ面倒という言葉なのに前後で意味合いが違う。
国語の先生。
これ問題に出来そうな気がするんですけど?
別に有名ではないが悪くもない大学の経済学部に通っている俺。
とりあえず親の勧めで大学に行くことにしたけど、学校のパンフレットにあるような楽しさ満点のキャンパスライフは今のところない。
そしてこれから先それが訪れるようにも思えない・・・
「あーなんかねえかなぁ。」
この言葉を何回言ったかわからないくらい言っているのにまた口に出す。
でも変わらない日常
普通が一番幸せ?俺は中の中だけど、別にこれと言った不幸が訪れた訳じゃないし、めっちゃ幸せを感じたことも最近は無い
大体普通のラインってどこにあるんだ?就職して家建てて35年ローンを組んで結婚して子供を生むことか?
ローンに追われながら毎日満員電車に揺られて帰ってからは上司の愚痴を言う父親を見て幸せそうと感じたことは無い
小さい頃に一緒にキャッチボールしてる時の父親の顔はうれしそうに見えたけど、たぶん会社では大変だったんだろう
父さんは誰から見ても普通の一般人だけど、誰から見ても幸せとは言えないだろう
ここから抜け出さないことにはどうにもならないな
とりあえず勉学に励んだところで俺の将来は知れてる
2.5流の大学に進んだ時点でまず3年になってから就職活動の嵐になり内定がなかなか貰えずに貰える金を減らして受かりやすいところに妥協をするか就職浪人するかしかない
こんな先見えない中で真面目に勉強したってたかが知れてる
なんか探してサクセスストーリー作るしかないでしょ?
俺ら世代の強みはやぱネットでしょ♪
とりあえず検索してみるか
「大金 稼げる仕事」
情報料を先に払う系はスルー。
アフェリエイト?
「ブログを開設してそこに集客して後は売れ筋商品を見つければいいだけ!!」
いやいや、簡単なのはブログを開設するだけでしょ?はい却下
「楽して稼ぐ 仕事」
なにやら胡散臭いサイトがワラワラ現れた。
並び屋代行
「前日から並んでチケットや新商品を代わりに並んで買うだけで5000円が貰える!!」
いやいや、時給換算したら最低時給割ってますよお客さん
はい却下
「なんかねぇかなー・・・お?」
テレアポ日給15000円
結構割りよさそうじゃない?なんだろ?闇金の集金の電話?
超怖いんですけど・・・
でも電話で聞くだけだったら大丈夫か
時間帯は朝8時半から夕方5時まで。
5時までだから闇金ではないのかな?わからんけど非通知で電話すれば大丈夫でしょ♪
「トゥルルガチャッ」
出るの早くないっすか?とりあえず心の中で浮かんだ思いはしまっとく
女の子「はいもしもしダブルシステムズです」
女の子の声だ。しかも結構若い?てか可愛い系の声じゃね?ちょと入りたくなっちゃったんすけど
俺「あ、すいません。ネットの募集を見て電話させて貰ったんですけど・・・」
可愛い女の子?「はい、お電話ありがとうございます。今担当の者に代わります。ので少々お待ちください」
保留音が流れる。松田聖子の歌だ。小さい頃母さんがカラオケで歌ってた曲かな?それともモノマネ系の番組で誰かが歌ってたか?
そんなことを考えてたら低めの声が電話口から聞こえてきた
男「はい電話変わりました。担当の棚橋と申します。応募の件で電話してくれたんですね?」
さっきそう言ったんですけど・・って思いはとりあえず心の奥へ
俺「はい。まだ学生なんで、毎日出るの無理なんですけど、ネットには週2からでもOKって書いてたので電話したんですけど」
男「大丈夫ですよ。いつ頃から来れそうですか?」
マジどういうこと?面接無し?やぱまずい?てかダブルシステムって名前何?何がダブル?考えてるとまた電話口から声が聞こえてきた
男「電波悪いですか?聞こえてますか?お兄さん?」
俺「あ、すいません。面接とか無いのかなぁ?って思ってちょと考えちゃいました」
男「うちの場合お客さんが多くてですね。慢性的に人が足りないんですよ。だからね、とりあえず人を入れて使えるかどうかを試してから決めるスタンスを取っているんですよね」
俺もびびってるから基本あなたを疑っているスタンスなんですよね。
とはもちろん言わない。ていうか言えない。
俺「わかりました。そういう理由があるんですね」
男「お兄さんのお名前教えて頂いてもいいですか?」
俺「あ、道元って言います。国道の道と元と取るとかの元って書きます」
男「道元さんね。じゃあ切りがいいとこで来月の頭からでいいかな?」
だんだんタメ口になってきたんですけどこの人・・マジ大丈夫?
俺「わかりました。じゃあ7月1日の8時半に行けばいいですか?」
男「最初はいろいろと教えることあるから8時前までには来てくれるかな?」
もう完璧にタメ口ですね・・・いいともとでも言ってしまおうか?まぁ言える訳ないけど
俺「わかりました。じゃあ4日後の7月1日の7時50分頃に伺います。」
男「あ、電話番号だけ教えてもらってもいいかな?」
もうタメ口だってことは気にしないことにしよう
俺「090ー××××ー××××です」
男「くれぐれも初日から遅刻しないようにね」
俺「はいわかりました。ではよろしくお願いいたします。失礼します」
男「はいどーもー♪」
「ガチャッツーツーツー」
社会人ってのは皆こんな感じか?俺ならもっと丁寧に対応するぞ?まだ社会人ですらないけど・・
親にすがりまくりだけど・・・
んー、番号教えちまったなー、非通知作戦意味なーし!!
でもまぁ電話しただけだし、最悪面倒なったら「ちょと怪我しまして」とか「単位が足りないんで」とか言えばいいか
緊張したらめっちゃ腹減ったなぁ。
誰か誘って飯行くか。
でも平日の11時半なんて誰かいるか?
19歳の俺の友達は進学してりゃこの時間思いっきり講義だろうし、働いているやつだって仕事まっしぐらな時間・・・
ん~、諦めモード突入か?
働いてないやつ誰かいなかったかな?
美羽は夜やってたからこの時間くらいに起きて丁度いいんじゃないか?
電話してみるか。
「うっ!?」
いきなり携帯から大音量でクラブミュージックが掛かる
待ち歌だ。
大体自分が聞けない曲になんで月額300円とか払うんだ?
電話掛ける奴が好きじゃなかったらどうすんだ?
自分の趣味はこれですって言いたいのか?
ていうか電話出ろよ。
はい来ました留守電のアナウンス。
あなたがどこの誰か知りませんけどね。
俺はあなたの声はもう聞き飽きたんですよ。
母さんがバイブにしたまま鞄の中に閉まって買い物するから電話しても全く気づかずいつもこの見知らぬ女性の声を聞く羽目になる。
よく物を無くす俺は鍵を持たせてもらえず学校から帰ってきて母さんがいないと自分の家なのに入れないという意味のわからん状態に何回も出くわした。
そして母さんに電話出てよと愚痴るといつも出てくる言葉がある。
「あなたが物無くすから鍵渡せないんでしょ?お母さんだって時間が無い中買い物行ってるんだからちょっとぐらい待ってなさいよ」
あなたのちょっとぐらいはは2時間を越えることあるんですけど・・・
じゃあだいぶ過ぎるは次の日ですか?
今ならそうやって言い返せる。
でも小学生の頃の俺にできることは黙るという選択肢のみ。
正論を言ったことがない訳じゃない。
でも正論を言った場合に返ってくる言葉もいつも一緒だ。
「ここはお母さんの家なの。いやなら出て行っていいんだから出て行きなさいよ」
ね?黙るしかないでしょ?
働けない小学生にその言葉はもうリアル版家なき子になるしかない
ホームレス中学生だって中学生なのに、小学生は無理でしょ?のたれ死ぬかさらわれるかですよ?
とりあえず美和は電話に出る気配も折り返してくる気配も無い。
しょうがなく1人で行くことにする。
コンビニで済ますのは気分じゃない。
ファミレスに1人で行く勇気も無い。
友達いないと思われたくない。
深読みしすぎとか受け付けてません。
カフェか?
カフェなら読書とかしながら食えばなんかお洒落っぽく見える気がする。
カフェにしよう♪
とりあえず見られても大丈夫な格好にしないとな。
買ったはいいけど女のいない俺にはあんまり着るチャンスが無い5万円のディーゼルのジャケットをとりあえず着る。
下はリーバイスのアカミミでこれも3万した。
でも言わないと気づいてもらえない。
女は服装とか髪型とか変わる度に言わないと「なんで何も言ってくれないの?」とか言うのに男がそれを言うと「女みたい」とか言われる。
それを言うことが女の特権って誰が決めたんだ?
でもそんなこと気にしても意味ないって2秒で気づいたからもう髪をセットすることを考えてた。
セットし終わってとりあえず外に出る。
出る間際母さんが「学校に行くの?」と聞いてきたから「行ってきます」とだけ言った。
7月だと言うのにまだ寒い。
東京でこれだと北海道だとどうなるんだ?
路上の温度計に目をやる。
15度。
氷河期でも始まるんすか?
ジャケットの下がTシャツじゃ足りなかったな。
ちゃっちゃとカフェに行こう。
全国チェーンのカフェの自動ドアを開ける
勢いよく「いらっしゃいませー。お決まりでしたら右側から並んでお待ちください」の声が飛んで来る。
入った瞬間決まってるほど俺は即決できるタイプじゃない。
でも「まだ決まってない」といえるほど意思表示を出来るタイプじゃない。
絶対損失が多い。
今までの人生は確実に赤字。
借金しまくりですね。確実に、はい・・・
全然決まってないのに自分の番が来る。
店員は「お決まりですか?」って当たり前の台詞を言う。
俺「アイスコーヒーとハムサンドひとつで、砂糖とミルクはひとつずつ」
本当は砂糖は2つ欲しいけど言わない。
言えない。でした、はい・・・
大体19歳の俺がハムサンドだけで足りるわけないでしょ?
そこらへん気を使ってくれよ店員さん
勿論、心の中で言うだけ。
本当は他にも食いたい。
でもあの短い時間の中で全力で優柔不断のトップを駆け抜けれる俺が決断出来る訳が無い。
でもケーキを食べるほど女子力は無い。
それを女子力というのか知らんけど。
カフェの後に結局コンビニでなんか買って食うしかないな、とか思いつつ喫煙席で空いてるとこを探す。
奥の方から聞き覚えのある高い声が聞こえる。
「てゆーかさぁ、こないだヒサピーとやったんだけどぉ、すぐ「イキそー」とか言って超早すぎてさぁ、心の中で「超早いんですけど!!」って1万回は言ったんですけど!!」
美羽だ。てかあなた1万回をやってる間に言うってさ、1秒間に3回言えたとしても3333秒ですよ?
1時間が3600秒だから、55分ちょい掛かる計算なるんですけど?
十分長くないっすか?俺そんなに持たないっすけど。
1人で考えてたら美輪がこっちを向いた。
美和「あ!!ピロシー♪何やってんのー?学校わー?」
俺の名前はヒロシ。
宙って書いてヒロシって読む。
父さんが俺を宇宙飛行士にしたくてつけたらしい。
でも物心ついた時点で俺には無理な話。
だって高所恐怖症ですから。
飛行機なんて勿論NG。
東京タワーなんて、建てた奴を孫の代まで恨めるレベル。
高層マンションの窓際にも立てない。
そんな奴が宇宙飛行士になれる訳ない。
地球が滅亡しそうで違う惑星に移らないとならないとなっても俺は残ることを選択するだろう。
どうしても無理って言うなら睡眠薬を飲ませてから乗せてくれと頼むな。
そのためになら土下座だって余裕で出来る。
俺「お前さ、別に男とやった話するなとは言わないけど、もうちょっと小さい声で喋れよ?」
美羽「ちょっと人の話勝手に聞こえないでくれる?」
いや、それはあなたの声量次第、俺にどうこう出来る問題じゃないんですけど・・・
俺「日本語もうまく喋れないのか?言われても無いのにどうやって聞こえないように出来るんだよ?」
美羽「は?どゆこと?」
俺「勝手に聞こえないでくれる?ってお前は言ったんだよ」
美羽「ピロシ難聴過ぎでしょー。超ウケるんですけどー!!」
2人はまた大声で爆笑してる。
そしてなぜだか俺が間違ってる雰囲気に・・・
いやいや、こいつのペースにはまったら終わりだ。
俺「美羽、お前さ、なんで起きてるんなら携帯出ないんだよ?折り返しくらいしろよ」
美羽「だってピロシここに来るって分かってたから折り返さなくてもいいかなって思ったんだもん」
え?俺がここに来るの分かってた?俺の行動範囲ばれてる?てかここだってまだ3回目だし、しかも決めたのだってさっきだし・・・え?え?
美羽「ピロシ思いっきり信じちゃってるしぃ。マジウケるんですけど~。ピロシってほんとピュアだよね~♪」
また2人で大爆笑してる・・・
どうにかこいつを黙らせてやりたいけど、今の俺には出来る気がしない。
てか未来の俺に出来るのか?
出来る俺が想像出来ないんですけど・・・
美羽「立ってないで座りなよ。わたしの隣に座りたいんでしょ?」
俺「別に座りたいとか言ってねえし」
美羽「じゃあ他に座るの?」
俺「・・・」
美羽「でしょ?座りたいんでしょ?いいからさっさと座るのピロシ」
やっぱこいつには一生勝てない気がしてきた。
喫茶店で美羽の「マジぃ」「超ウケるんですけどぉ」「てかパネェっすそれ」を来世の分まで聞いてハムサンドどころかアイスコーヒーの味すら覚えてない状態になりつつ開放されたのが3時半・・・・
昼飯を食いに午前中に家を出たはずなんですけど。
大学に進学すると決まって母さんが買ってくれた鞄の中には喫茶店で読むはずだった買って読まれないままに半年を過ぎた小説が寂しそうに佇んでる。
本に心があったとしたら「まだ読んでくれないの?」とか言ってるところか?
いや、男だったら「いい加減読めよお前」とか言ってるか?
だめだ、妄想が友達いない奴バージョンに陥ってる。
男「お前講義サボって何してたんだよ?」
俺「おー、啓二か。講義終わったのか?」
こいつは小学校の頃からの腐れ縁で、まぁ遊び相手っていうか遊ばれてるっていうか・・・
とにかく悪い。
いや、良い奴なんだけど、素行が悪い、そして笑えないことにこいつと同じ大学に行っている時点で俺は頭が悪い・・・
啓二「お前いないと結局講義中もひたすらに椅子の上で揺られてるしかなくなるんだよなー」
俺「ノート取れよ。てか勉強すれよ。でも高校も単位ぎりぎりのお前がなんで大学に受かるんだか今でも不思議でしょうがないよ」
啓二「ばぁか。俺はやれば出来るんだよ♪まぁさすがに大学に関しては俺も受かると思ってなかったけどな。ハハッ」
そんなあなたと同じ大学の俺に明るい未来があるとも思えない・・・
啓二「つーかよ?結局お前何してたの?」
美羽は元々啓二の元カノだから美輪と会ってたとは言いたくない。
元々美羽のこと先に好きだったのは俺なのに、結局美羽は学校で一番悪くて有名な啓二と付き合った。
啓二と付き合わなかったからって俺と付き合ってたかって言ったらどんなに贔屓目に見ても0%
贔屓目に見ても0%なんだから贔屓しなけりゃ・・・
0に何を掛けても0%なのはわかるけど期待値を吊り上げても0%の場合はどういう計算方式になるんだ?
答えを出したところで自分の悲しさをさらに増す結果がイコールに付随してくるからその件に関しては思考を停止した。
俺「ん~、何したいって訳じゃないんだけど金欲しかったからバイト先探してたんだよ」
啓二「それって楽しい?てかめんどくない?金になんの?」
浮かんだ疑問を矢継ぎ早にぶつけてくる。
だからいつも俺はまじめに答える。
でも答えを言い終わる頃には興味が無い顔になる。
でも言わないと言わないで「肩パンすんぞ」とか言ってくるからタチが悪い
俺「楽しいとかじゃなくて金が欲しいからだよ。今言っただろ?めんどくさいかどうかはやってみないと分か・・・」
啓二「よし!!俺もやる!!いつからやんの?ヒロシお前はいくらでやんの?お前より時給低かったら時給決めた奴肩パンしてもいいと思わない?」
いや、もう全然意味わかりませんこの人・・・
てか何をやるかもまだ言ってないのにやるとかいうこの人の育て方を教えてください。
人の話に割り込んでる時点で内容絶対把握してないし、時給は高いほうが良いという一般人の思考は持ち合わせているが、上司の肩にパンチしても良いと本気で思える思考回路はどこから拾ってきたんだろうか?
啓二「で?俺は何をすればいいのよ?私服しかもってねぇけど勿論制服は支給だよな?」
俺「いや、てか本気で言ってんの?まだなんの仕事かも言ってないんだけど・・・」
啓二「馬鹿かお前?なんの仕事かなんて金を稼ぐ仕事に決まってるだろ?そんなのもわかんねえのか?」
お金を稼がないことで仕事と呼べるものってなんですか?結果稼げなかったなら分かる。
でもお金を稼がないのが仕事なんて仕事あるんだろうか?
駄目だ。啓二の言うことで真剣になったって意味が無い。
俺「いや、そりゃそうだけどさ、内容も聞かないでよく決めれるよなぁって思ってさ」
啓二「だったらお前が早く言えよ。こっちはさっきからずっと待ってるんだぞ!!」
まさかの待ってました宣言出ました・・・
今までの会話のやり取りで俺が待たせた瞬間はどれだけあったんすか?
俺の会話の途中にやるとか言い出したのあなたなんですけど?
勿論今回も心の中でしか言わない
この先もその予定しかないけど・・・
俺「テレアポの仕事だよ」
啓二「テレアポ?テレってアポるの? 何それ?頭悪い奴専用の仕事?」
俺「・・・・」
あなた専用の仕事に名前をつけるとしたらそんな名前でもいいかも知れないね。
どうして啓二が大学に入れたんだろう?まさかの裏口入学?いやいや、こいつんち金無いし
啓二「結局何の仕事なんだよ?早く言えよ!!ヒロシお前肩パンすんぞ?」
もう答えをすでに言ったのに、まだ言ってないと言われる。
なぞなぞですか?
上は洪水下は火事、さあなんでしょう的な?
俺「風呂」
啓二「はぁ?風呂?」
俺「いや、なんでもない。」
啓二「お前意味わかんねぇな。頭おかしくなっちゃんたんじゃねえのか?」
あなたは初めて会った時から色々な意味でおかしかったですけどね。
俺「電話して仕事を取ったり説明したりする仕事だよ。まだ仕事の内容とか詳しく聞いてないからどういう電話するのか分かってないんだけどさ」
啓二「俺そういうのパスしてきたタイプだから、違う仕事一緒にやるわ」
誰か助けてください。
この人の思考回路マジ壊れてますって。
俺がする仕事をやらないのはわかる。
でも啓二がしたくないからって理由で違う仕事を俺も道連れにして良いって考え方はどこから来たものですか?
俺「いやいや、もう7月1日から仕事するって決まったから無理だよ」
啓二「じゃあ俺の仕事はどうするんだよ?お前がいなきゃ始まらないじゃねえかよ」
あなたが仕事をするって会話を今さっき聞いたばかりの人間にどうすれと?
そして俺ありきの仕事じゃない路線に変更願いますよぶっとび気味の車掌さん。
俺「別々でやればいいだけじゃん」
啓二「俺そういうのやってないから」
誰か助けてくださいパート2
俺「でも俺はもう決まったから変えること出来ないよ」
啓二「それはお前が決めることじゃないだろ?」
誰か助けてくださいパート3
俺「え?だって俺の仕事だよ?」
啓二「俺の仕事でもあるだろ?」
誰か助けてくださいパート・・・って言っても誰も助けてくれないから完結しないまま不人気で終了
俺「じゃあ啓二が俺の仕事やるしかないよ」
なんでか啓二が一緒という路線で固まって行きそうなんですけど。
啓二「じゃあこうするわ。とりあえずお前と一緒にそのテレアポだかっていう特殊な仕事場に行く。そして俺は違うことをしてお金を貰う。OK?」
まずテレアポは特殊ではない。
そしてあなたがそこで違うことをしてお金が貰えるかの判断が俺には出来ない。
俺がここでOKと言ったらたぶんこいつはそれで本当にお金が貰えると決めつけるのだろう。
それだけはまずい。
だって絶対初日でクビになるし。
俺「違うことをさせてくれる保障なんて無いよ?」
啓二「よし、決まったんだから前日おまえんち泊まりに行くからな。ウイニングイレブンと布団セットしとけよ。」
あれ?いつの間にか俺がOKって言ったことになってません?
どゆこと?人の会話を1分でいいから聞く癖つけませんか?
俺「いや、啓二・・・」
啓二「決まったこといつまでも言ったってしょうがないだろ?俺は忙しいんだからあんまり止めてくれるなよ?人気者は多忙なのよ♪」
決まってはいない。
そして止めたのはあなた。
多忙って言葉知ってるならテレアポも覚えておいてください。
・・・・・・あーあーあーあー!!ヾ(。`Д´。)ノあー!!
結局啓二と話すといつもこうなる・・・
でもこういう会話を1人でいる時に思い出すと、なんて馬鹿なんだろうか?とか思いつつ思い出し笑いしてしまう。
啓二の将来を見ていたいと思ってしまう。
でも出来れば俺の存在には気づかれないままで。
さっきまで来月が待ち遠しかったけど一瞬で来ないで欲しい未来に変わったんですけど。
怖気づいたら断りの電話を入れようと思ったのに啓二が前日からまさかの泊まりで来ることになったから断りを入れることも出来ない。
今のうちに電話して無かったことにしようか?
いや、結局啓二が意味のわからんバイト話を持ってくるだけだ。
高校の時に「めっちゃ金になるバイトがある」と啓二から言われ、夏休みを殆ど削ってやったバイトがバイトでは無く、カブトムシ捕りだった。
啓二の兄ちゃんのバイクを勝手に借りて無免許のまま隣の県の山まで行って2人で木に蜜を塗って1日中待たされた。
俺が啓二に「これって蜜を塗っといて夜に捕りに来るもんじゃないの?」って言ったら啓二が「お前は馬鹿か?蜜を塗ってもし俺らがいない間にカブトムシが来て蜜だけ吸って帰ったらどうするんだよ?そうなったら俺らはカブトムシをヒモにしてるのと一緒だぞ?」
カブトムシさえタダで蜜をくれてやるのが嫌だということか
てかカブトムシに限らずペットとかを家で飼う場合、もれなく皆様ヒモになると思うのですけど。
専業ペットでしょ?稼ぎある奴いるの?
あ、いるか。
たまにテレビに出てるのいるもんな。
いやいや、そこじゃない。
そういう会話をしつつ、インターネットで蜜を塗って数時間後に見に行けばいいという情報を一緒に見てやっと納得してくれた啓二だったが、夏休みを殆ど費やしてカブトムシを数え切れないほど採ったのに、啓二が餌と水を全く与えないという愚行をやらかしたせいで、生存率は急激に下がり生き残ったのは最後の方に採った14匹だけ。
しかも俺が「それをどこに売るの?いくらになるの?」と聞いたら啓二が切れ気味に「お前あんだけ死なせといてよく売るとか言えるな。命の尊さをわかんねぇのか?これは近所の子供達に配って少しでも長生きさせてやるんだよ。わかったか?」
はいおかしいです。
だいぶおかしいことなってます。
あんだけ死なせたのは啓二。
命の尊さを分かってないのも啓二。
近所の子に配る理由は長生きさせたいからじゃなく、自分では面倒見れないのと売ることが面倒になっただけ。
同じ面倒という言葉なのに前後で意味合いが違う。
国語の先生。
これ問題に出来そうな気がするんですけど?