それってキャベツか?
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一度はこんな恋がして見たい。

      「卒業式、それは愛を伝える日」

 「なっ?頼むよ。」
 「な、なんでそんなことしなきゃならないのよ!」
 怒った表情で言う美奈子。
 「だから少しだけでいいんだってば。だからお願い、告白の練習させてください!」
 「もうっ、ほんっとに勝手なんだから。まっ、いいわよ、こうなったらビシッと決めてやるんだから。」
「まじで?やった!ありがとう!じゃぁさ俺が廊下にいて、そんで教室にいる由香里ちゃんを呼びでして、廊下で告白っていうシーンはどう?」
 少し考えて、美奈子はこう答えた。
 「それはちょっとムードないと思う。私だったら、教室にいる由香里ちゃんに手紙を渡すの。そして体育館裏に呼び出す。それでどう?」
 「ちょっと待った。手紙には何て内容を書くんだ?」
 「大事な話があるから、体育館裏に来てください。」
 「おいっ、めっちゃベタすぎるぞ!そんな分かりきったネタやめようぜ!」
 ため息をつきながら二人の意見を話し合い、告白の計画を立てる。だが俺たち二人とも恋愛経験無しでいい案なんか浮かびやしない。
 「はぁっ、やっぱり私じゃ役に立たないよね・・・」
 「いや、無理やり誘った俺が悪いんだし、そんな自分を責めないでくれよ。」
 この言葉に少し元気を取り戻したのだろうか、再び明るい美奈子に戻った。
 「じゃぁさ、研が最初に言った、廊下で告白のシーンでいいからやってみようよ。」
 「あぁ、そうだな。とりあえずやってみるか。」
 スタンバイをするため教室の由香里ちゃんの席に座る美奈子。それを確認した俺も、廊下に出ることにした。
 
 「研、ま~だ?」
 「もうちょっとまってくれ、セリフを確認中だ。」
 
 「ちょっと、遅いわよ。たかが練習でしょ?早くしてよ、私疲れちゃう。」
 「あっ、悪い悪い、じゃいくぞ。」
 コ ホン、っと軽い咳を払った俺は、気持ちを引き締め、ドアに手を掛けた。だが手が震えてなかなか思うように開かない。
 「くそっ、なんでこんなに緊張するんだよ。落ち着け、落ち着け俺。」
 心の中でそう叫びながら、再びドアを開けようと力を入れる。
 「ガラガラガラ」
 やっと開いた。あとはあのセリフを言うだけだ。
 「由香里ちゃん、ちょっと話があるんだ。廊下まで来てくれないかな?」
 落ち着いた表情を見せようと必死にがんばる俺。
 「え・・・うん・・・・・・。」
 美奈子も役になり切ろうとして、由香里ちゃんの真似をしてみる。
 廊下に来る、由香里。そして二人は見つめ合った。
 「あのな、美奈子!俺・・・俺・・・お前のことが、ずっと・・・ずっと前から好きでした!付き合ってください。」
 「こらー、私の名前言ってどうするのよ!由香里ちゃんでしょ。はい、もっかいやり直し。」
 そう言って再び教室に戻ろうとする美奈子。だが俺は美奈子の手をつかんでこういった。
 「俺、間違えてなんかねーよ!。だって、俺が好きなのは由香里ちゃんじ
ゃなくてお前なんだよ。」
 「はっ?な・・・なに言ってんのよ。冗談はよしてよ、あっ、さてはセリフ間違えたからって自分の罪を認めようとしないわけだなっ。」
 焦るように言う美奈子。そして、俺はさらに追い討ちを掛けるようにこう言
った。
 「本当にお前が好きなんだ。高校に入ってからお前と友達になる前からずっと、ずっと好きだったんだ。だから友達になったときはとても嬉しかった。でも、だからこそ友達になったことで好きになっちゃいけないような気もしたんだ。でも俺は我慢できなかった。だから今日、こうして卒業式ということで
俺の本当の気持ちを伝えたんだ。だから・・・俺と、付き合ってくれ!」
 「ほっ、ほんとなのね?・・・・・・うれしい、私も研のことずっと前から好きだ
ったのよ。ありがとう・・・・・・でも、なんでもっと早く言ってくれなかったのよ。
そしたら学校だって同じ所に選べたじゃない・・・・・・」
 「ごめん・・・・・・。」
 「でも、たとえ離れてても二人はいっしょだからね!浮気したら怒るよ!」
 「あぁ、ぜったいそんなことしないよ。よし、じゃぁ早速デートしよっか。」
 「うんっ」
                                   
                                             終。
 

初めて最後まで作った小説。

           「あの時、俺は――」

 「・・・であるから、小泉総理は我々日本の首相になっただけではなく――」
 教卓に肘をつき、手にはなんだかよくわからない本を持ち、時折、腕にある時計を気にしながらダルそうに読む教師。
 周りをよく見るとほとんどの奴が寝ていた。
 「つまんねぇな・・・」
 そんな言葉を呟きながら俺は限りある時間を有効活用するべく睡眠学習に入った――。
 
 「はぁぁぁあああっ」
 そのあまりに大きなアクビを聞いた俺は眠っていた目が一瞬で覚めてしまった。
 「ったく誰だよ?俺の睡眠を邪魔する奴は。あ~ぁ、かわいい女の子と遊んでた夢だったんだけどなぁ~くそぅっ。」
 わざと嫌味らしく周りに聞こえるような声で言う俺。だけども周りを見渡してみても犯人らしき人物は見当たらない。
 「ぬっ・・・これは事情聴取しかなさそうだな。」
 などとアホなことを抜かしながらももう一度回りを見渡してみた。
 「あ・・・犯人は・・・・・・お前だったのか!」
 教卓に再び目を向けるとそこには大きくアクビをし終わった教師がいた。目には大粒の涙を溜めながら、教師は次の瞬間とんで

もない言葉を口にした。
 「あぁ、だりぃ。よし今日は外も晴れてることだし授業を終わりにする。」
 そう口にした教師は再び大きなアクビをし教室を去った。
 「なんだありゃ・・・。」
 「あぁ、あの教師ぜってー教員免許もってないだろうな」
 「いや、まずこの学校にあんな教師いたっけ?」
 ・・・ん?なんかおかしいぞ。
 「ってなんでお前がっ、てか、いつ俺の横に来た?」
 「なに言ってんだよ。お前の隣の席だろうが。」
 「まじかっ!それは初耳やなぁ~。所でアンタ誰?」
 「おいっ。親友の名前を忘れる奴が居るか!一樹だ一樹!」
 「分かってたって。軽いジョークだろ?」
 「いや、お前のジョークは分かり辛いんだよっ」
 「あのっ、一樹くん。ちょっといいかな?」
 話の途中に入り込んできた相手は、我がクラス のアイドル川下由梨架ちゃんではないか。
 「ん?何っ?どうしたの?」
何が起こるか分かってる。奴はそんな表情で改めて聞き返した。
 「あっ、はいっ。コレよかったら食べて。」
 そう言って渡された物、チョコレートだ。そういえば今日はバレンタインデーだったんだな、っと今更気づく俺だった。
 「俺にもチョコレート無いの?」
 「えっ、もちろん有るよ。ちょっと待っててね」
 そう言って彼女は自分の席に戻り、鞄の中を探り始めた。
 「・・・まじで有るんすか。冗談で言ったんですけどね・・・・・・。」
 と、しばし硬直状態になりながらも、いざ貰えるとなるとワクワクして仕方ない俺だった。
 「おまたせー。」
 帰ってきた彼女の手には大きな白い袋があった。
 「ぬっ、これは奴よりも良いのが貰えるんじゃないのか?」
 などと心躍らせながら、そう思い込む俺。
 「はい、コレね。」
 そう言って渡された物はチロルチョコ 一個だった。
 「んっ?コレは何かのジョーダンなのかな?」
 笑いながらそう答える俺。
 「ごめんねー。安い物しかあげれなくて」
 なんだコレって義理チョコってことか・・・・・・。ちょっとショック。
 「あのー。ところで、その袋には他に何が入ってるんすか?」
 「んっ、コレ?」
 そう言いながら彼女は俺の目の前まで来て袋の口を開いて見せてくれた。
 「ぬぉ!チロルチョコ ばっかりやん!」
 中には想像を絶する数のチロルチョコ が入っていた。
 「50・・・60・・・90・・・100!ぬぉ、買いすぎだろ。」
 「えへへ、まだ他にも色んな人にあげるんだ。」
 一体何人にあげるんだ。そう疑問を抱く俺だった。
 「由梨架、ありがとな」
 奴は透かした笑顔でそう言った。
 「いいえ。それじゃまたね。」
 手に大きな袋を抱えた彼女が今度は他の男子に一つ、また一つとチョコを手渡していく。
 「え?俺に・・・?」
 俺と同じように皆驚いていたが、渡された物を見るや否や、ガッカリした表情でチョコ を食べた。それでも中には大事にする

かのように自分のお守りの中に入れる変人もいた。
「それにしてもさ~一樹ってモテるよな~」
 もはやコイツにかなう奴はいないだろう。
 「そんなこと無いって。」
 クールに言う一樹。
 「どーせ、他の女の子からも沢山もらってるんだろ?」
 「あぁ、さっきの時間だけでも10個はもらっちゃったな」
 満面の笑顔を見せられてマジでブチ殺したくなった。
 「くそぅ、なんで俺はこんなにモテないんだよ!神様なんで俺はこんなに不幸な少年なんでしょうか。」
 祈る気持ちで天井を見つめる俺。
 「まぁアレだろ。お前ってさ、なんつーか変わってるじゃん?お前も普通にしとけばモテると思うぜ?」
 もはやコレは慰めでもなんでもない。
 「俺のどこが変わってるんだよ!ぜんぜん普通じゃねーかよ」
 「いや・・・授業中に突然、おまえのポルシェが校長と張り合うなんて10年早いんだよ!とか寝言言ってるし、飯食ってると

きも、うわぁ、俺の弁当に刺身が入ってる。すげー、みんな珍しくてほしいんだろ?ん?でもやんねーぞ。とか言ってたよね。あ

れってすんげー変だぞ?」
 「ばかっ、なにいってんだよ、所詮寝言と自慢話だろ?なにも変わってねーじゃん」
 奴は俺を軽蔑するような眼差しで見ていた。
 「まっ、そういうお前が好きなんだけどな。」
 「うわっ、めっちゃ恥ずかしいこと言うなよ。」
 「あっ、そうだ次の時間体育じゃん。やべー間に合わねーよ」
 よく見ると周りは全員着替えを済ましていて、みんな教室を出て行っていた。
 「・・・・・・あ、俺、体操服忘れた。」
 「なにしてんだよ。もう時間ねーからほら早くいくぞ。」


                    「体育館」

 「せんせい。体操服をクリーニング屋に取られたので、忘れました!」
 体育館に入ると、俺は真っ先に先生の下に走り、足を揃え手をまっすぐしこう言った。
 「バチンッ!」
 「あほかっ!クリーニング屋から奪い返せないほどお前は弱いのか?」
 後頭部にジンジンとくる痛さ耐えながら俺は必死に抵抗した。
 「いえ、あのオバサンは普通のオバサンじゃないんです。なんていうか・・・・・・
鬼なんですよ鬼!棍棒を振り回して抵抗してくるんですよ。」
 「言い訳するなバカモン!お前はずっとそこで正座だ!」
 俺は仕方なくその場に座り込んだ。周りは俺のほうを見て笑っている。
 「よーし、じゃぁ他の者は今からバスケをやってもらう。チームは適当に組んでいいから女子と男子に別れて試合をやってくれ

。時間は一試合15分だ。それじゃ解散。」
 男女ともバラバラに別れ、男子の所には一樹の所にみんな集まり、女子の方には 由梨架 の所に集まっていた。
 「二人ともバスケ強いもんな~」
 などとブツブツ言いながらもお似合いのカップルである事は言うまでもなかった。
 「俺もなんか才能ないのかな。」
 「あるじゃないか、人を笑わせる才能が。」
 誰だ?と思いながら声のある方に振り向いた。
 「誰?」
 「おい、俺だよ。弘樹だよ。」
 「じょーだんだって、分かってたに決まってるじゃんかよ。」
 「そそ、そういうところにお前の才能があるんだよ。」
 「そーいうもんかな~。」
 などと呟きながら俺は一樹の方を見ていた。無駄の無い動き、綺麗なパス、完璧なシュート。どれを見ても奴に隙などなかった


 「やっぱすげーは。アイツ・・・・・・。」
 「だよなっ。だから女にモテるのもしかたない事なのさ。」
 そして今度は由梨架の方も見てみた。やはり一樹と引けを取らない上手さだった――。
                
             
                「次の朝」
 
 「優。早くしなさい!遅刻するわよ。」
 ドアを開け、布団を取り、大声で言う母親。
 「うるさいなー。別に少しぐらい遅刻したって問題ないってば。」
 「なに言ってんの!あんた、今日試験って言ってたでしょ?」
 「え?母上それマジっすか?」
 「はっ?あんた、そんなことも忘れてたの?何してんの!早くもう行きなさい」
 バターを付けたトーストパンを口に加えながら俺は急いで家を飛び出した。
 
                「再び学校」

 「すっ、すいません!はぁっ、はぁっ、母親が危篤だったんで、はぁっ、遅れました。」
 目には涙を浮かべ、真面目にそう答える俺。
 「まぁいい、早く座りたまえ。ったく、ほんとにお前はダメなやつだな。勉強はできないわ、運動もできない、特にとりえもな

いからなぁ。あっ、あったあった、その口で人を騙すことが特技か。」
 「あはははははっ」
 試験を受けてるにも関わらず、皆が俺の方を見て笑う。普段ならここで笑っていつものように席に戻る自分なのに今日はそんな

気分にはなれなかった。
 「とりえがない、人を騙す口。」
 この二つの言葉が俺には聞き捨てならなかった。自分自身が気にしてることを自分だけじゃまだしも他人に言われるとなると相

当頭にくる。しかも俺は普段からジョークで言ってることをアイツはなんだ?その口で人を騙す?ふざけんじゃねーよ。しかも、

それをみんなで笑っちゃってるんだからさらに頭にきた。でも落ち着け、たしかに遅刻したのは俺が悪いんだ。耐えろ、耐えるん

だ。
 「すみません。」
 もう一度、今度は小さな声で言い、軽く頭を下げ自分の席に戻ることにした。
 さぁ、気分を変えて、俺の実力を見せるべく、本気で問題に取り掛かろうと必死にペンを走らせることにした。

 「よーし、テスト回収しろー」
 後ろの席から序所に1枚1枚と回答用紙が回収されていく。そして俺の席まで来て、解答用紙を取ろうとした奴が俺にこういっ

た。
 「お前、ぜったいカンニングしただろ?」
 なっ、なんつーことを言うんだコイツは?マジでそう思った。なんで俺をそこまで信用しないんだよ。
 「してねーよ」
 俺は正直にそういった。奴は「どうせうそだろ?」って感じの顔をし、俺のプリントを奪い取って去って行った。
 「よし、これで全部だな?じゃぁ終わりにしよう。」
 「起立」
 「礼」
 「ありがとうございました。」
 こうしてこの時間が終わった。

 
            「俺の好きな人」
  「なぁ、お前好きな人いるだろ?」
 突然一樹がそんなことを口にしてきた。
 「なっ、なんだよ突然。」
 俺はちょっと焦りながらそう答えた。
 「わかってるんだよ、広子ちゃんのことが好きなんだろ?」
 なっ、なんでコイツ俺が広子ちゃん好きなことしってるんだよ。
 「かわいいもんな~広子ちゃん。そうだ、俺、お前が告白できるようにセッティングしてやろうか?」
 「まっ、まじで?」
 「あぁ、広子ちゃんとは部活がいっしょなんだ。だから、そうだな・・・・・・明日にでもいいか?」
 「ああ!構わないよ。まじでありがとう」
 やったー。これで念願の広子ちゃんと付き合うことができるかも!。そう思いながらワクワクして今日は眠れなかったのであっ

た――。

 
                「真実」

 「おっ、めずらしいな。お前が今日早く来るなんて」
 「いえっ、今日から俺は更生することに決めたんですよ」
 「まっ、3日坊主で終わらなきゃいいけどな」
 教師はアッサリそういうと、話を切り替えた。
 「よーしじゃぁ、授業を始める前に、坂下先生から預かったテストを返すぞ」
 いつもなら、テストはどうでもいい俺だったが、この前受けたあのテストだけは自信があった。
 序所に名前が呼ばれていく。まだか俺の番はまだか?ドキドキしながら待ち望んだ。
 「優」
 でた、俺の名前。
 「はいはーい!」
 自分の席から猛ダッシュして先生の下に行く俺。
 「何々・・・・・・はっ89点!?」
 先生がおもいっきり大きな声で叫んだ。
 「うそだろ!?」
 それと同時にみんなからも「有り得ないだろ?」って感じの声で俺のところに集まってきた。
 「おいっ、お前カンニングしてないだろうな?」
 疑うような目で俺を見る教師。
 「してないっすよ!実力っす」
 俺はありのままの真実を述べた。
 「うそだろ!お前がそんな点数取れるわけねーだろ。」
 クラスの何人かは口々にそう言った。
 「俺はなっ、いつも寝てるかもしんないけどな、坂下先生の授業だけはたまたまその時に眠たくなかったから勉強聞いてたんだ

よ!」
 「聞いてるだけで89点も取れるか?しかも、他の先生ならまだしも相手は坂下先生だぞ?あんな難しいのそんな点数取れるわ

けないだろ!」
 なんで信用してくれない。なんで誰もかばってくれないんだ。素直にそう思った。一樹は?そう思って一樹の方に目を向けてみ

た。見ると、疑いの目はしていなかったものの、俺のことなんかどうでもいいように席に座って自分の解答用紙を見ていた。
 「なんでだよ・・・なんで誰も信じてくれないんだよ・・・俺、嘘なんかついてないんだよ・・・・・・」
 ついに俺は泣いてしまった。
 「俺が誰かに迷惑かけたか?俺がみんなに何かしたのかよ?なぁ・・・なあ答えてくれよ!」
 「・・・・・・」
 教室は一瞬のうちに静かになった。そして教師は、生徒に対して有るまじき言葉を口にした。
 「そこまでして点数がほしかったのか?カンニングまでして、自分を偽るためにわざと演技か。もういい、お前という存在がそ

れほどまで腐っていたなんて思ってなかったぞ。」
 そう言うと教師は生徒をみな机に戻るように言うと生徒達は俺の方を睨み自分の席へと戻って行った。 
 
 
                  「親友」
  
 「なんで俺を助けてくれなかったんだよ!」
 俺はあの後、一樹に対してそう言った。
 「いや、だってさ、本当に演技だと思ったんだもん。お前ってさ、いっつもジョーダンばっか言ってるからさ、やっぱ区別がつ

かないんだよね。でっ、ほんとはやっぱカンニングしたんだろ?」
 こいつも他の奴と同じ――。やっぱり信じてくれないんだ。
 「ばかやろう!俺はカンニングとか卑怯な真似なんかしない!」
 なんで俺が何回も真実を言ってるのに分かってくれないんだ。そう本気で思った。
 「まじでカンニングしてないのか?わっ、悪い。本当にごめん!」
 やっと分かってくれたのだろう。何回も何回も頭を下げた。
 「もういいって・・・わかってくれたならそれでいいんだ。」
 俺もさっきよりも落ち着きを取り戻し、今日の大イベントを再び思い出した。
 「ところでさ、今日広子ちゃんにいつ合えるんだ?」
 「ああ、放課後図書室の入り口の所でまってるってさ。がんばれよ!」
 そういって肩を叩かれ、改めて気持ちを切り替える俺。
 「やっぱお前っていい奴だな。」
 「そんなことないよ。」
 そんな会話をしながら、放課後を待ち望むのであった。

 
            「裏切り、そして――。」

 時計の時刻を気にしながら俺は図書室の前で待っていた。たしか予定では4時ぐらいに来ると言っていた。
 「あと3分か・・・・・・・。」
 胸がドキドキする。早く、早くこの気持ちを君に伝えたい。そう思った。
 「あっ、来た!」
 図書室の向こう側からゆっくりと俺の方に向かってくる彼女がそこにいた。
 「こんにちはっ」
 お互いに挨拶をし、俺は今まで言えなかった言葉を言うことにした。
 「あのさっ、俺・・・君のことが前から好きだったんだ!だから付き合ってください」
 言えた。やっと言えた。後はこの気持ちが君に伝わるか伝わらないかのどっちかだ。
 「・・・・・・」
 しばし、二人の間に沈黙が流れる。
 「あのっ」
 彼女の口が動いた。さぁ・・・どっちなんだ・・・。
 「ごめんなさい。私、一樹くんと付き合ってるの。」
 そうか、だめだったか・・・・・・。は??なんだって???
 「なっ・・・今誰と付き合ってるって言ったの?」
 「一樹君だよ・・・」
  はぁ?マジで意味が分からなかった。なんでアイツなんだよ。俺が広子ちゃん好きなことしってて、わざわざセッティングも

してくれたはずのアイツがなんで広子ちゃんと付き合ってるんだよ。マジで意味がわからなくなっていた。それと同時に激しい怒

りと、殺意を覚えた。
 
 「殺してやる!」

 俺はその場にいる広子にさよならも言わずその場を飛び出した。
 奴はどこだ?
 そう考えながら、俺は学校の隅々まで探しまくった。
 ・・・いない。
 そして次は外を探すことにした。
 上履きを脱いで、靴に履き替える。そして走るように飛び出す。
 ――居た。
 「おいっ、一樹いいいいいいいいいいい!!!!」
 お腹の底から大声を上げた。周りの人間までもがこちらを振り向く。
 だが俺はそんなことはお構いなしに、一樹の胸倉をつかみあげた。
 「てめー、なにかってに付き合ってんだよ?ああ??俺をおちょくってんのか!お前もやっぱ他の奴と同じで結局は俺を裏切る

んだな!」
 そう言って俺はズボンのポケットに入ってあったカッターナイフを手にとって一樹の顔に向けた。
 「まっ、まて!アレには分けがあるんだよ!なっ??お願いだから、そっ、そんな危ないもの下ろせよ」
 「うるせー!!!!!!」
 
 「グサッ」
 俺は、ナイフで一樹の首を思いっきり切った。
 「うわああああああああああああああああああああああ」
 その場に崩れるように倒れる一樹。
 「うわああああああああああ・・・・・」
 しばらく叫んでいたその声もやがて弱くなり、ついには泣き止んだ。

 「お前が悪いんだ。」
 怒りながら、今は無き一樹に向かってそう言った。
 「グサッ」
 そして、俺も同じように首を切ってその場に倒れた。

 「もう、誰も信用できない――。」
                                          終。