幼馴染Oから明かされたアイツの真実の話を
する前に。
こんなことがあった。
アイツはよく大袈裟な言い方で、脚色してエピソードを話す。
まぁ、芸人が話すすべらない話だって、脚色して面白おかしく話すわけだし、その場楽しければ良いわけだし、細かいことは誰も気にせず話を聞いていた。
ある日。
たまたまレストランBARにて居合わせたアイツと2人で飲むことがあった。
楽しく最後まで飲めて、
私も気が緩んで歩いて帰るにはフラフラな状態になってしまった。
そう、アイツは、2人きりで飲むと凄くいい奴なのだ。
それがわかっていたから、
複数人で飲んでて深酒になった時のアイツの粗暴な言動は、どんなに腹が立っても流していたし、
さほど深く考えてもなかった。
あの頃、他人のことよりも自分の人生、仕事で、皆精一杯だったから、他人の噂話など酒のツマミに過ぎなかったし、細かい事情を疑ってかかるような嫌な奴もいなかった。
私もすごく酔ったとはいえ、家は割と近くだし、
正直歩いて帰ろうと思えば帰れる状態ではあった。
なんだかんだそういう優しさがある奴なのだ。
駅で自転車を回収して、
自分で自転車を押しながら歩いていたのだが、
途中からアイツが俺の腕を掴んでくれたのだ。
正直、不要ではあったのだが、まぁ、
アイツから見たら危なっかしく見えたのだろう。
当時、私が住んでいたのは、木造アパートの2階。
アパートの前まで歩いて、
もう大丈夫。ありがとう
とお礼を言い、
1人で階段を登って帰った。
数日経ち、
同級生Sの店でアイツと会ったとき、
その時のエピソードを大袈裟に話していた。
こいつ酔い潰れて歩けなくなってさー
しかも自転車だったからさー
こいつおんぶしながら自転車押してってやったんだよー
すげー大変だったよー
しかも階段でさー、2階までおんぶしたまま登って家の中まで入れてやったんだよー
と。。。
同級生Sは、
マジで!?こいつおんぶして階段登るとか!?
お前も酔ってたんだろ!?
本人目の前にとんでもない作り話をするアイツ。
正気か?と、衝撃を受けた。
明らかな嘘だが、真実を話すと、その場の楽しい雰囲気に水を差すことになる。
もしかしたら、アイツは俺が記憶をなくすほど酔っていたと思っていてかましているのだろうか?
どんなに酔っていても記憶は無くさない私。
中途半端な優しさしか持てていない私には、
どうしても、
そうだね、おんぶしてくれたね
とか、
覚えてないなーおんぶしてくれてたのかー
なんて気を利かした嘘を言えず。
思いがけないアイツの大嘘に動揺してしまった私は、
あれ?
おんぶっていうか肩を貸してくれたよね。自転車は自分で押して帰ったよ。
階段も1人で登ったよ?
と、つい。笑
アイツは、あれ?そうだっけ?と、
ゴニョゴニョっと何か言って、はぐらかして、変な空気になってしまった。
その後も、別の店でも顔を合わした時はその話題を同じように話していて。。。
空気を読むことの大切さを学習した私は、
うんうん、あははははっ
と笑って流した。
アイツが面白おかしく話している元ヤンキーカリスマ店長のエピソードのベンツの話があるのだが、
最初は、どこかで聞いたことあるような、、、と気づかなかったが、
人志松本のすべらない話にて、
三又又三氏が話したビートたけしのベンツの話丸パクリだった。
話し方まで一緒。笑
三又又三「殿〜!」
アイツ「店長〜!」
ってな感じで笑
その話ってさー三又又三のすべらない話じゃない?
って言っちゃうと、
アイツも、今までの地元の関係性も全てが壊れてしまいそうで、
言えなかった。
裏ではどうとか、経営が本当はどうなってるのかなど、
どうでも良かったし、さほど気にもしなかった。
だって、私たちが認知していた本当のアイツは、
優しくていい奴だったからだ。
だから、時折見せる目に余る暴言はあっても、みんなアイツのことが嫌いになれなかった。
しかし、
幼馴染Oから明かされたアイツの話で、
全てが崩れ去った。







