貿易を支える地方港~平本智章

貿易を支える地方港~平本智章

地方の貿易港を紹介します。(平本智章)

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北海道の室蘭港(むろらんこう)は、北海道における取扱貨物量1位の座は1975年に苫小牧港(とまこまいこう)に明け渡しました。1990年代に最大5本あったフェリー航路も2008年の青森航路廃止でゼロになりました。しかし、鉄鋼や化学製品などの原料を運び込み製品にして積み出す役割は大きく、工業都市・室蘭を支えています。地元のみなさんは「噴火湾の中でさらに三方を囲まれた北日本屈指の良港」と自負しています。

明治以降整備が進み、第2次世界大戦後、東北、北海道初の特定重要港湾(現国際拠点港湾)になりました。取扱貨物量の最盛期は1996年の5385万トン。その後のフェリー廃止などで13年は3243万トンと苫小牧、函館に次ぐ道内3位です。フェリーを除く一般貨物に限ると道内2位となります。

船の停泊場所は北海道内最多の105バースです。このうち62バースが企業が所有する専用埠頭(ふとう)です。取扱貨物量の93%をこうした民間埠頭が占めます。20万トン級の大型貨物船に対応する水深16.5メートルの岸壁もある。海面が穏やかなため、台風が来ると苫小牧などから船が避難してくるほどです。

ただ、JX日鉱日石エネルギー室蘭製油所(現・製造所)が原油処理を停止した影響で2014年は貨物取扱量が減少しました。

貨物需要開拓のため室蘭市などが室蘭港貨物等輸送研究会を2012年に設立しました。鉄道引き込み線を生かし、日本独自規格の長さ約3.6メートルの鉄道コンテナを3個連結し、長さ12メートルが国際規格の海上コンテナ輸送で扱えるかどうか研究中です。市港湾部によると、道産食品の小口輸出に有効だといいます。

観光面の期待も。14年に寄港したクルーズ客船は16隻と過去最多でした。港の自然景観や工場夜景、白鳥大橋などと観光資源は多く、港の美しさを生かす戦略も問われます。


平本智章