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千葉房総でソルトウォーターフライフィッシング

趣味のブログです。千葉市在住。普通にフライで魚が釣りたい。フカセやルアーなどの磯釣りも好きです。

各地の投げ縄釣りとおおなわ


以前平砂浦で聞いた同様の釣りは「おっぽり」と呼ばれていました。


また大原、御宿エリアで似た釣りとして「たたき釣り」が有名だと思います。


釣り方の名称は釣り方や道具立ての様態を描写するのでしょう。


「おっぽり」は「ほっぽり」の房州弁で「たたき釣り」はまさにフライのラインストレッチで何回も水面を叩くのと同様の様子を示していると言えそうです。


浦曳は内湾の引釣りという意味で、沖曳に対する意味でしようか。


「尻下がり」、「ぶり返し」、「ソシ釣り」など呼称は日本全国、また同一エリアでも様々で、雑誌もテレビも増してやネットも無い時代に、文字通り津々浦々隔絶した地域で独自の名で呼ばれていたのでしょう。


このような様態の釣りの中で最も知られているのは「おおなわ」釣りではないでしょうか。



おおなわ釣りに関しては、古い本の中でいくつか解説が見られます。


昭和6年発行の鈴木新著 「釣百態」では

「竿の全長は42(6.6m)乃至5(7.5m)

「つり糸は〜野州麻糸長さ12尋乃至18尋で、これに天蚕糸3尋半を接続する」とあります。


また昭和62年発行の永田一脩著 「江戸時代からの釣り」では

「ロッドは3間半(6.36m)のノベ竿で〜ナワの長さは大体が竿の四倍、ハリスを加えると四倍半になる。」とあります。


大縄釣りは湘南、小田原エリアで行われるこの釣りの呼称で、擬似針は弓角を使います。



永田氏は昭和25年頃実際におおなわ釣りを行い、また衰退を観察した方で、上の道具だてはおおなわ釣りの最終形態と言えます。


おおなわ釣りの最古の文献記録は文政年間の「釣客伝」(181529)ということでそれより古い釣りということになります。


おおなわ釣りは非常に盛んに行われていた釣りで、かの赤星鉄馬氏も愛好し、以前古山輝男氏のお話しを聞けた際も実際にこの釣りを体験したことが有るというお話しでした。


一方の浦曳釣りの特徴としては、竿の長さは8.25m前後、縄は30m以上という長さに一つ特徴が有ります。これは手前から割と深い湘南、小田原に対して房総は遠浅でポイントが遠い事に理由が求められそうです。


また湘南の弓角に対して、バケ(毛鉤)を使うことも一つの特徴です。浦曳ではバケを「ツノ」と呼ぶと伺った時に、自分の中で、この釣りはおおなわが伝播して変容したことが理解されました。


前述、永田一脩著 「江戸時代からの釣り」

の中でもこうあります。

「千葉県の安房鴨川では「浦曳」と呼ばれている。ただし鴨川では角は使わずにカブラ、バケを用いている。これは鴨川に角を作る者がいなかったからで明らかに小田原からの移入であろう。」


写真はおおなわ釣りの様子をお伝えするため、

永田一脩著 カラーブックス101)海釣り昭和41年発行から転載しています。