日本の大学で語学を専攻した私にとっては全くの未知の世界。 まだ右も左もろくにわかってない私のアメリカ生活で、果たしてこんな大それた仕事が務まるのでしょうか?
仕事の内容は簡単に説明すると、会社が持つ一軒家に6人の社会生活保護を受けている18才までの未成年者と一緒に生活をして、彼らにいわゆる 「家庭教育」を提供する、というものです。 これは日本ではあまり聞かれない福祉援助的な制度かもしれませんね。
指導対象の子供達は全員男児で最年少が8才、最年長が18才という幅の広い年齢層のグループでした。
彼らが親と離れてこうした生活保護を受けていた理由は様々ですが、親に見捨てられたり、親が理由があって子供の面倒を見られないといったケースが殆どでした。 中には物心ついた頃にはすでにストリートキッズをやっていた、というケースもありました。
はやく言うと、 「普通の幸福な家庭生活」 の味を知らない子供達です。 そして当時の私はそれがいったい何を意味するかを全く理解していませんでした。
まず私が直面した問題は言うまでもなく 「ことば 」 でした。
私が日本の大学で習った英語は標準語が殆どで、あとは古典英語を少々やった程度。 ストリートキッズイングリッシュを耳にするのはこれが初めてでした。
日本で出会った殆どの外国人はエリートの方達でとても綺麗な英語を話していました。 それさえも 「聞き取る」のは一苦労でした。 ましてや ストリートキッズイングリッシュを聞き取るのは至難の技というもの!!
「がぁ~ん、全然聞き取れなーい!!」 と最初の一週間は顔面蒼白状態でした。
子供達は早くもその私の心境を察知して、フル回転でこの不利な状況にいる私を利用し始めました。
子供達の中には黒人の子もいたので、このストリートキッズイングリッシュに加えて更に黒人訛りの英語も聞き取らなければならない、というかなり厳しい状況がそこにありました。
例えば、黒人の子供に "Dan gi' mart wiz me, ya F---ing punk! " と言われて全く聞き取れず、しかもその意味さえも不明で唖然とした私。 その私の顔を見て子供達は全員ゲラゲラ笑う・・・・・・そういった日々が初っ端から続いたのです。
この英語を正確に言うと次の通り:
Don't get smart with me, you f×××ing (済みません、お察し下さい!)punk!
get smart with someone とは誰とかに付け上がるという意味。
f×××ing は最高に汚く相手を罵る表現
punk は相手をバカにした呼び方 「このばかやろう」っていう感じ。
「人を誰だと思ってるんだ、つけあがるんじゃねぇよ、このバカ!」
って言われたんでした。 それなのに教育者である私が何も言えないでただそこに呆然と立ちすくんでいたわけですから、子供達にとっては楽しい「オモチャ」だったに違いありません。
普通だったら、子供が大人や教育者に対してこんな最低な暴言を吐けば 「ただでは済まない」 のですが、英語を理解しない私にはその対処ができませんでした。 全くお話にならない、とはこの事だなと実感した瞬間でした。
こうして私のアメリカ生活の厳しい 「現実」 が始まりました。
果たしてこの苦境をどのように乗り越えていったのでしょうか? それはまたのブログでお話する事にします。
家のキッチンで子供達と一緒に 「はい、チーズ!」。

