日本語の論理と英語の論理 | 東京大学村上文緒愛好会

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一つ一つの言葉にこめられた作者の思いがわかったとき、古典は本当に面白いと思った。古典を楽しみたい。その思いが古い言葉の意味を求めるきっかけにもなった。

比喩には様々な種類があることを確認したが、その中でも空間の比喩と擬人の比喩が重要である。さらに言えば、空間の比喩の中でもとくに容器の比喩が重要である。比喩の形式が論理であるから、したがって、論理においても、空間の論理と主体の論理と容器の論理が重要である。
ここから、日本語の論理について、数々の言説で論理的とされている西欧の言語の一つである英語の論理と比較しながら、考察したい。

英語の論理は主体の論理
英語の論理が主体の論理であることを、英語圏から生まれた二つの文法理論、生成文法と認知言語学を通して、見てみよう。認知言語学より生成文法のほうが歴史的には古いので、最初に生成文法について簡単に説明する。

生成文法とはどのような理論か
言語に関する考え方はいろいろたくさんあり、様々な言語理論が存在する。現在もっとも対極にあり、対立関係にある二つの大きな言語理論は生成文法と認知言語学であろう。
生成文法は、近年では政治の論客として有名なチョムスキーが提唱した言語理論である。「生成言語学」とはいわずに、生成文法と呼ばれることからもわかるように、文法重視の言語理論である。この理論では、基本的に言語機能は、認知機能等の人間の他の機能から自律していると考える。そして、言葉の形式的な側面である文法が研究の中心になる。
生成文法の考え方を具体的に見てみよう。以下の英語の文を読んでもらいたい。
A tall man opened the door.
この文を眺めているだけでは、構造はわからない。そこで、生成文法では、
A tall man opened the door.
┗A tall man (名詞句)
 ┣A (冠詞)
 ┣tall (形容詞)
 ┗man (名詞)
A tall man opened the door.
┗opened the door (動詞句)  
 ┗opened (動詞) ┗the door
          ┣the (冠詞)
          ┗door (名詞)
"A tall man"は名詞ではないが、名詞と同じような働きをする。これを名詞句という。"opened the door"も同様に、と動詞句という。
図の例からもわかるように、英語の文は、名詞句の次に動詞句が続く、という規則に従っている。これを数式風に書くと次のようになる。

文=名詞句+動詞句

このような句の構造に関する規則を句構造規則という。このような句構造に従っている表現のみが文であり、従っていない表現は文として成立していないとする (これを「非文」と言う)。
生成文法は、その後何度も理論的修正を行って現在に至っているが、文法中心主義は変わっていない。また、生成文法は、人間は生まれながらにして言語能力を持っていると主張する。より具体的にいえば、人間は生まれながらにして、脳の中に言語の獲得を可能にしている普遍文法を持っている、と主張する。
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