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fuminの映画な日々

三度のメシより映画が好き。寝る時間を削って映画館でうとうとしてしまうことも…

fuminの映画な日々釜山で観てきた日本映画の第2弾、園子温監督の「恋の罪」英語タイトルGuilty of Romance
のんびりしているうちに、とうとう今週末公開になりましたあせる

<あらすじ>
どしゃぶりの雨が降りしきる中、ラブホテル街のアパートで女の死体が発見される。事件担当する女刑事・和子(水野美紀)は、仕事と幸せな家庭を持つにもかかわらず、愛人との関係を断てないでいた。謎の猟奇殺人事件を追ううちに、大学のエリート助教授・美津子(冨樫真)と、人気小説家を夫に持つ清楚で献身的な主婦・いずみ(神楽坂恵)の驚くべき秘密に触れ引き込まれていく和子。事件の裏に浮かび上がる真実とは……。3人の女たちの行き着く果て、誰も観たことのない愛の地獄が始まる……。



釜山報告で書いたように、他の映画のチケットがとれなかったので、とりあえず選んだのですが、GV付きなので園監督のコメントが聞けるかと期待したのに、GVはキャンセル…汗
でも、「カンヌでも絶賛」とあったし、「冷たい熱帯魚」以来、あのグロさは耐えられない!と思いつつクセになってしまった園子温ワールド… 期待してました。

結論から言えば、(あくまでも私の感想です)期待しすぎたってこともあるでしょうけど、「冷たい熱帯魚」ほどのインパクトはなかったような…
解説では水野美紀、冨樫真、神楽坂恵─3人の女優が役者生命をかけた渾身の演技で難役に立ち向かっている。充満する激しいエロス、過激なSEX描写もさる事ながら、3人の女優の身も心も剥き出しの演技バトルが見どころだ。
とあるけれど、たしかに熱演は認めるけれど、「頑張っている」が見えてしまって…。美津子も和子もっともっと怖さが出る役だと思うので、なんか物足りなさを感じてしまいました。(自分の演技力のなさは棚にあげて偉そうなこと言ってますが)

その後、神楽坂恵と園監督が婚約したと聞いて、「なんだかなぁ…」と思ってしまったわ。
彼女は「冷たい熱帯魚」の方がよかったと思う。でも、熱帯魚はやっぱり黒沢あすかが怖かったけど…。

1990年代、渋谷区円山町ラブホテル街で起きた実在の殺人事件からインスパイアされた話ですが、別名「東電OL殺人事件」と言われたこの事件、(今でこそ「東電」に関するニュースが毎日溢れていますが、地震前までは、関西在住の私には「東電」と言えばこの事件のことでした^^;;)
この下世話な想像力をかきたてる有名なこの事件からインスパイアされた作品は他にもいろいろあり、私も数作読んでいたりするのですが、何と言っても桐野夏生の「グロテスク」が秀逸!!「グロテスク」は妙に共感できる部分もあったりするのですが、この「恋の罪」では共感する部分があまりなくて…。
この事件が有名なのは、やはり「一部上場の大企業に勤めるエリート女性が何故怪しげな二重生活をして死に至るまで堕落したのか?」という、三面記事的興味です。
親から厳しく育てられた反動で「真面目な優等生」が性的に突出した行為に走ってしまうという話は、例えば記憶に新しい「ブラックスワン」がありますが、これはヒロインが壊れていくさまがしっかり描写されていて心理的にも怖かったけど、「恋の罪」でもお母様が出てきますが、「ブラックスワン」のママの方が恐ろしかったな~。
10年も前になってしまいますが、ミヒャエル・ハネケ監督の「ピアニスト」(2001)も凄まじかったです♪ 私も子供の頃は優等生だったので、結構こういうテーマ、身近に感じられて好きなんですが…
「ブラックスワン」でも思ったけど、同じテーマならなんと言っても山岸涼子の「天人唐草」がおすすめ!

fuminの映画な日々

ここで感想を書く前に、「あらすじ」やら「解説」を調べるためにググッてみたのですが、「水野真紀、衝撃のオールヌード!」みたいない記事がワンサカ出てきましたあせる
ボケボケな私は、今頃『そういえば、カンヌの時に結構話題になってたっけ…』なんて…
冨樫真と神楽坂恵の2人の事件が本筋で、その担当刑事である水野真紀は話の中心ではないし…、話題になったオールヌードシーンも(「そんなアホな!」とお叱りを受けるかもしれないけれど)『そういえば、冒頭のベッドシーンは水野真紀なんやった…』と言われてやっと思い出す程度のインパクト…というか、その後の事件のインパクトの方が凄すぎたので、すっかり忘れていたのでした。
まぁ、水野真紀のオールヌードを見逃し(正確に言うと観てたけど認識してなかった)たって、韓国映画「豊山犬」の中のオダギリジョーのカメオ出演を気がつかないよりはよっぽどマシです^^(意味不明な方はスルーして下さい!)

なんかマイナスなことばかり書いていますが、期待しすぎていたからかもしれませんね、結構面白かったです。
予告編にもある、冒頭のいずみが自宅でご主人を出迎えるシーン、ほんの短いシーンで「この夫婦、一見幸せそうだけど変!」というのがすぐにわかります。「冷たい熱帯魚」でも、冒頭のスーパーでのお買物シーンだけで、この家庭が壊れている様子がすぐにわかったし、その辺、園監督は凄いなぁと思う。「紀子の食卓」でも、一見仲よく見えるけど壊れかかっている家族だったし、そういう「家族の崩壊」描写はさすがです。

釜山映画祭ではロッテシネマの大きなスクリーンの前から2番目の席で見上げながらみたので、満員だったし、隣はがっしりした白人のお兄さんあせるほとんどが男性だったので、いつもとは違う異様な雰囲気で観たのもなんだか貴重な経験でした^^
「冷たい熱帯魚」ほどグロいシーンはたくさんないけど、やっぱり大スクリーンで観るよりは、ミニシアターのスクリーンで(それも満員ではなく半分以下くらいで)観るくらいがいい感じの映画かな?と思います。でも、グロはマシでもエロは満開なので、隣に日本人のオジサンなどが座っていたら妙に恥ずかしくなってしまうかも…。(なんで白人なら恥ずかしくないのか?意味不明ですが…)

結局、観終わった後にはエロもグロも消えて、何度も繰り返される詩人田村隆一の「帰途」の一部(「言葉のない世界」より )が心に残りました。

          言葉なんか覚えるんじゃなかった
          日本語とほんのすこしの外国語を
          おぼえたおかげで
          ぼくはあなたの涙のなかに立ちどまる


(11/13 追記)
日本でも公開したから、ちょっとだけ付け加えておきます。
釜山で観客が笑ったのは、お母様が「ところで、売春の方はうまくいっているの?」とお上品に言うシーンでしたあせる
欧米人も、日本人も関係なく皆笑っていたような…ニコニコ
上映後は拍手でした!!
それでは、釜山で観てきた韓国映画を少しずつ紹介していきます。

夜便で釜山に着いて宿に荷物置いて、とりあえず一般公開のレイトショーに直行!!
宿が海雲台のメガボックスまで歩いて5分程度という立地条件なので、(映画「TSUNAMI」では波にのまれて浸かっていましたが…^^;;)とても便利でした♪
fuminの映画な日々-るつぼ 韓国で大ヒット中の「도가니(るつぼ)」
信じられない事実だが、これはある聴覚障害児の学校で実際に起きた事件だ。
2000年から5年間、聴覚障害児を相手に校長と教師たちは、非人間的な性暴行と虐待を犯した。認めたくないがこの話は事実だ。
今や、この惨い事実に向き合わなければならない時間だ。

「るつぼ」とは、「金属を溶かす器」と「興奮や感激などで沸き立つ状態を比喩した言葉」で、小説と映画では後者を意味する。(innnolifeより)

渡韓前はバタバタしていてゆっくりネットを観ていなかったので、単に「コンユ主演の映画」という認識しかなくて観たので、本当にショックでした。これが実話だなんて…。
校長と教頭(?)が双子のオッサンなんですが、もう鬼畜のようで教育者なんて信じられません!それに、周りの教師、役人、警察まで黙認しているというのだから救いようがない。
9月に「ホームランが聞こえた夏」という、同じく聾唖学校が舞台で実話を元にした「ちょっといい話」を観たばかりだっただけに、そのギャップにただただ唖然…。
双子のオッサンの片割れが、逃げ回る女子生徒をトイレまで追い詰めるシーンがあるんですが、必死で女子トイレの個室に駆け込んで震えていると、個室の仕切りの上から先生の顔が…目 スティーブン・キングの「シャイニング」のジャック・ニコルソンと同じくらい怖かった~~~叫び叫び

今でも、時々駅や会社のトイレに入るとあのシーンがフラッシュバックして、「決して上を見上げない」ようにしていますあせるあせるあせる 家のトイレやホテルやデパートのトイレなら大丈夫なんですけど…、「学校のトイレ」っぽいのがイカンのです~~~。

それ以外の暴力シーンもホントにリアル。でも、職員室で殴る蹴るのひどい有様よりも、それを黙認している様が恐ろしかったです。

裁判シーンになると、私のヒアリング能力ではかなりしんどかったのですが、手話通訳を禁止されたり、訴訟を取り下げるように恩師までかり出されたりで、結局執行猶予付きの軽い判決で、腹の立つことばかり!

しかし、この映画の公開でこの実際の事件がクローズアップされ、国会でも取り上げられ、当時の教師が暴露発言をしたり(当時は「いろんな国家機関に陳情書と嘆願書を提出したが、解決されなかった。生徒たちを守れず申し訳ない」と証言し涙ぐんだそうです)警察が再捜査を初めたり、このインファ聾唖学校以外でも同様の事件が起こっているというおぞましい事実も発覚し、大きな社会現象を巻き起こしているようです。このインファ聾唖学校は認可が取り消されたそうです。

映画の原作となった小説「るつぼ」が発表された当時はそこまで大きな反響はなかったそうで、まさに、映画が社会に与える影響力の大きさを実感できます。

*日本語でも、「るつぼ 映画 裁判」くらいのキーワードで検索するといろいろ出てきますので、詳しく知りたい方はどうぞ!

fuminの映画な日々日本では、どちらかというとこういった社会派の映画は、新聞の文化欄で取り上げられたりニュースで少し取り上げられたりして話題にはなっても、社会現象にまではまぁならないし、映画が大ヒットすることなんてないと思うのです。
朝鮮日報の人気コラム「萬物相」でも、10/9に「映画の力」というタイトルで取り上げられました。

ギロチンによる死刑を描いたフランス映画「暗黒街のふたり」(1973)は死刑制度廃止論を呼び起こした。「キリング・フィールド」(1984)はクメール・ルージュが行ったカンボジアでの大虐殺を世界中に知らしめた。大ヒットした「シルミド」(2004)によって国防部は部隊の存在を公式に認めた。「梨泰院殺人事件」(2009)の上映を機に、検察は1997年ソウルの梨泰院で起こった大学生殺害事件の再捜査を行うことを発表した。今年2月公開された「子供たち」は韓国で3大未解決事件の1つとされるカエル取り少年失踪事件を描いた映画だが、大きな反響をよんで再捜査を求める世論が起こった。
 そして公開初日から5日間で100万人以上の観客を動員した「るつぼ」。障害者生徒への性的暴行を繰り返していた教職員が裁判で軽い刑を宣告されたり、数人は復職して同校に勤務している等の事実が広く知れわたり、非難の声が殺到した。こうした世論を受け、警察はついに昨日、該当する教職員に余罪がないかどうか捜査することを発表した。
 大法院の梁承泰長官、「今は量刑の基準がかなり高くなった」と世論を鎮めようとしたが、映画によって扇動された「公憤のるつぼ」は簡単には落ち着きそうにない。映画が大衆の心を吸いこむ吸引力を改めて実感する。映画が現実を反映するのではなく、現実が映画のメッセージを反映する世の中だ。


いや~。韓国社会の底力っていうんでしょうか?それとも日本社会が情けなすぎるのか?よくわかりませんが。とにかく、韓国で観ることができてよかった~。

コンユのラストのナレーション、私は聞き取れていなかったのですが、innolifeによると
「私たちが戦う理由は世の中を変えるためではなく、世の中が私たちを変えないようにするためだ」
と言っていたそうです。
日本で公開されることがあれば、是非観にいきたいです。