彼には夢が有った。


10年先
誰かが昔を懐かしみ
当時の風景を思い描いた時
自分の姿がそこに在ること。



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彼のいた世界は、人間関係がとても希薄な世界。

お互い、私生活や連絡先はおろか真名さえも分からない。

そして、世界を去った者とは
もう、二度と会う事も無い。

「ありがとう、さようなら。
運が良ければまた何処かで…」



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彼はそんな世界で
多くの者が去り逝くのを見届けた。

最初は寂しくては仕方無かったが
そのうち、それが世界の在るべき姿と
本当の意味で理解した。



未来へ繋がる事の無い、ただ終わるだけの世界。



だがしかし、彼はこの世界を愛している。

故に、この世界に存在し続ける為の意味と
この世界に残す事が出来る価値を考えた。


そして、一つの答えに辿り着く。


自分は、思い出を得るために在り続けるのだと
そして、同じだけ皆の記憶に自分の姿を刻むのだと。



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遂に彼にも、世界から去り逝く日が来た。

無念は多分に在った。

けれど懸命に生き抜いた誇りも有った。

様々な感情を抱き残したたまま消えゆく
彼らしい、落とし処に落とした最後だった。



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もう彼は居ない。

けれど、彼が存在した時間は紛れもない真実であり
彼の夢もまた、在り続ける。



10年の歳月を要し
叶ったか否か確かめる術もない淡い夢を

彼は草葉の陰より想い続ける。




「あなたの記憶の中に
私の姿が在りますように…」
確か、今年は4/22-23が極大だったでしょうか?

こと座流星群は、かつて私の居場所だった仲間達と
初めて観測した天文現象なので良く覚えています。


先輩に『流星を見に行こう』と誘われて
期待に胸を膨らませながら電車に揺られ
街頭もない暗い道をワイワイ歩き
たどり着いた地で見上げた空は
人生で始めて見た満天の星空でした。


そして、私達が見上げる夜空を
切り裂く光跡。
揚がる歓声。

あの時の事は一生忘れません。


しかし、気がつけばもう長い間
流星を見ていません

久しぶりに、流星を見たいものです。