彼には夢が有った。
10年先
誰かが昔を懐かしみ
当時の風景を思い描いた時
自分の姿がそこに在ること。
----
彼のいた世界は、人間関係がとても希薄な世界。
お互い、私生活や連絡先はおろか真名さえも分からない。
そして、世界を去った者とは
もう、二度と会う事も無い。
「ありがとう、さようなら。
運が良ければまた何処かで…」
----
彼はそんな世界で
多くの者が去り逝くのを見届けた。
最初は寂しくては仕方無かったが
そのうち、それが世界の在るべき姿と
本当の意味で理解した。
未来へ繋がる事の無い、ただ終わるだけの世界。
だがしかし、彼はこの世界を愛している。
故に、この世界に存在し続ける為の意味と
この世界に残す事が出来る価値を考えた。
そして、一つの答えに辿り着く。
自分は、思い出を得るために在り続けるのだと
そして、同じだけ皆の記憶に自分の姿を刻むのだと。
----
遂に彼にも、世界から去り逝く日が来た。
無念は多分に在った。
けれど懸命に生き抜いた誇りも有った。
様々な感情を抱き残したたまま消えゆく
彼らしい、落とし処に落とした最後だった。
----
もう彼は居ない。
けれど、彼が存在した時間は紛れもない真実であり
彼の夢もまた、在り続ける。
10年の歳月を要し
叶ったか否か確かめる術もない淡い夢を
彼は草葉の陰より想い続ける。
「あなたの記憶の中に
私の姿が在りますように…」
10年先
誰かが昔を懐かしみ
当時の風景を思い描いた時
自分の姿がそこに在ること。
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彼のいた世界は、人間関係がとても希薄な世界。
お互い、私生活や連絡先はおろか真名さえも分からない。
そして、世界を去った者とは
もう、二度と会う事も無い。
「ありがとう、さようなら。
運が良ければまた何処かで…」
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彼はそんな世界で
多くの者が去り逝くのを見届けた。
最初は寂しくては仕方無かったが
そのうち、それが世界の在るべき姿と
本当の意味で理解した。
未来へ繋がる事の無い、ただ終わるだけの世界。
だがしかし、彼はこの世界を愛している。
故に、この世界に存在し続ける為の意味と
この世界に残す事が出来る価値を考えた。
そして、一つの答えに辿り着く。
自分は、思い出を得るために在り続けるのだと
そして、同じだけ皆の記憶に自分の姿を刻むのだと。
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遂に彼にも、世界から去り逝く日が来た。
無念は多分に在った。
けれど懸命に生き抜いた誇りも有った。
様々な感情を抱き残したたまま消えゆく
彼らしい、落とし処に落とした最後だった。
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もう彼は居ない。
けれど、彼が存在した時間は紛れもない真実であり
彼の夢もまた、在り続ける。
10年の歳月を要し
叶ったか否か確かめる術もない淡い夢を
彼は草葉の陰より想い続ける。
「あなたの記憶の中に
私の姿が在りますように…」