けっして学問は好きではないのだが、いつか機会があったら書いてみようと思っている題材に、国会における女性国会議員の役割の変遷というのがある。なんともマイナーなテーマだが、10年程前から暖めているテーマで、私でなくても誰かが書いてくれないかなと思っている。

古くは売春防止法から、児童買春・児童ポルノ禁止法、配偶者に対する暴力防止法まで、党派を超えて女性議員が協力し合ったからこそ出来た法案や、優生保護法改正時に女性議員ががんばって新法の名前を変えさせた話、またまた「女性国会」(懐かしい!)などについて、女性議員が国会で活躍してきた歴史を、引退された方々、堂本暁子さんや清水澄子さん、森山真弓さんあたり(女性国会のことなら小野清子さんも?)のインタビューも交えつつ、まとめたいとの思いがある。できれば、二大政党制や各国の女性コーカス(女性議員懇談会)との比較をしながら書けたらいいなぁと、構想は膨らむばかりだ。

前置きがえらく長くなってしまった。

で、なんでそれが、なでしこと関係があるのか。

大昔、私がまだ大学生だった頃のこと。英会話スクールの先生(女性)が自宅でパーティをやるというのに招かれ先生のお宅にお邪魔したことがある(外国人が共同で一軒家をシェアして暮らしてた・・・と思う)。その先生、出身のオーストラリアでは、ナショナルチーム(たぶん)でプレイしていたらしく、日本でもどこかの女子チームに所属しプレイしていた。で、そのパーティにも、先生とチームで一緒にプレイしている女の子たちが来ていたのだが、中には田舎からわざわざサッカーをするために神奈川まで出てきた子もいて、サッカーをしている女子がまわりにいなかった私にとって、大変ものめずらしく映った。なにしろ、女子サッカーチームがあるのも知らなかったし(今思うとどこかの企業チームだったんだろうか。どうも大昔過ぎて記憶があやふやだ)、そのために田舎から出てくるという子がいるのも驚きだった。女子サッカーって、真剣にやってる人がいるんだ、と。

当時大学生の私は今のように厚顔無恥ではなく、あまり聞きたいことも聞けなかったのだが、どうしてサッカーをやりはじめたのか、サッカーを続ける上で苦労がないのか、どんどん興味は膨らんでいった。しまいにはサッカー場を駆け抜ける彼女達を追ってルポを書いたら面白いんじゃないかと、けっこう真剣に考えたものだ。ま、当時も今も実行力がない私。単なる妄想で終わってしまったのだが。

その後、Number(知らない人のために-スポーツ・マガジンです)に女性スポーツ選手のことがちらほらと載りだし(私が読み始めた頃は、女性選手の記事はひとかけらもなかった)、女性選手の生理のときの苦労話が記事として掲載された時には、時代は変わったなぁと感動したものだ。・・・で、時は流れて先日のなでしこJAPANの活躍。(やっと来たか!)

彼女達の活躍を見て、本当に時代が変わったと実感すると共に、胸の中に、ちょっとした後悔も沸きあがってきた。

あの時、勇気を振り絞って練習を見に行ってルポなんか書いていたら、今頃スポーツライターとしてドイツでなでしこの追っかけでもしてたかなぁ。。と。

いやいや、一回の学生にルポが書けたとは思えないが、にわかに、すっかり忘れていたことが、なでしこの活躍を見てフッと思い出されたのであった。

で、冒頭の長い前振りである。

女子サッカーについて書くのはもう無理でも、まだ冒頭のネタは書けるかもしれない。
・・・とりあえず、忘れないためにブログにでも書いておくか。

サッカーは、小さい頃からの私の憧れの競技だった。

というのも、小学校の頃、体育は男子がサッカー、女子はドッヂボールと決められていたからだ。
ボールを投げるのが苦手な私は、手を使わないでいいサッカーをやれる男子が、うらやましくてたまらなかった。
(ドッヂボールは、弱いヤツにボールをぶつけるという、私の美学上、およそスポーツと呼べない代物である)

思うに、あれが私が初めて「ジェンダー」というものを意識したときであった。(男子ができるのに、なんで女子はできないの?―サッカーが苦手な男子は同じように考えていたに違いない。なんで、ドッヂボールができないのか、と)

その後、十数年経ち、留学先のアメリカで初めてサッカーボールを蹴ったのは、27歳のとき。なんとも遅いデビューである。

無料で配られている地元の情報誌で、「初心者歓迎」という女子草サッカーチームのお知らせを見つけて飛びついたのだ。子どもの頃からやっている経験者に交ざり、チームの足を引っ張りながらも試合に出させてもらえたりして、半年くらいの短い間だったが充実した日々だった。遅まきながら長年の夢をかなえた私は喜びでいっぱいだった。ああ、サッカーって楽しい!

サッカーもさることながら、練習で使っていたのが、ワシントンDCの、国会議事堂前のモールと呼ばれる広場だったというシチュエーションも、美しい思い出作りに役立っている。チームにはおのぼりさんも多かった。首都に出てきて、国会議事堂を背に夕日を浴びながらサッカーしてるなんて、私たちってなんて格好いいの?と冗談をいいながらボールを蹴っていた。

草サッカーといいながら、ちゃんとリーグもあったし、コーチもついていた。チームには子どもの頃からプレイしている人から、初心者でボールをドリブルしてと言われて手でボールを持ってドリブルしてしまった女の子(決して私ではない!)まで玉石混合。国籍も様々だったと思う。中にはお兄さん達と一緒にボールを蹴っていたというブラジルから来たと女の子もいた。

それが十数年前のこと。アメリカにはこんなチームがいっぱいあって、地元のリーグもたくさんあって、そういう厚い層の上に、女子のナショナルチームが成り立っている。

そんなアメリカ・チームに勝ったなでしこ達はえらい!今回の彼女達の活躍を見て、多くの女の子達がああいう風にボールを蹴ってみたいと思ったことだろう。もう学校で女子にはサッカーはやらせないというところはないだろう。これからはもっと自由に女の子がボールを蹴ることができるはずだ。

なでしこの活躍を見ながら、これからもっともっと日本の女子サッカーは強くなると思った。


ロンドンにも昨日あたりから、春がやってきた。
今日はポカポカ陽気が暖かく、昼時にはみんな外で日向ぼっこしていた。
お天気がよいと、街も輝いて見えるから不思議だ。陰鬱で色彩に欠けると思っていたロンドンも、とたんに素敵に見えてしまう。

地震、津波、原発被害で避難している日本にいる方々も、春の訪れとともに希望を感じられるようになればいいと思っている。

ロンドンでも各地で募金活動が行われていた。先日も、聖ポール寺院の前で、大きな日の丸の旗に寄せ書きを募っていた。白地にメッセージが書けるところが唯一の利点かな。

さて、こんな中でもリビアへの空爆など、なにやらこちらもきな臭くなってきたと思っていたら、こんなメールが在ロンドン日本総領事館から回ってきた。


在ロンドン日本国総領事館からのお知らせ ※このメールは在留届をご提出頂いた方にお送りしています。

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安全・テロ情報 ロンドン市中心部における大規模デモ行進等に対する注意喚起


2011年3月25日 3月26日(土)午前11時から英国労働組合会議(TUC)の主催する大規模なデモ行進及び集会が予定されています。デモ行進等の概要は以下の通りです が、参加者が10万人を超えると見込まれていることもあり、不測の事態を避けるためにも不必要にデモ行進等に近づかないよう十分にご注意下さい。


なお、デモ行進により周辺の道路が閉鎖される見込みです。最新情報は、ロンドン警視庁のHPにてご確認下さい。 http://www.met.police.uk/events/index.htm


○日時:3月26日(土)午前11時から午後6時

○目的:政府の緊縮財政に対する抗議行動

○デモ行進の経路:ビクトリア・エンバンクメント(Victoria Embankment)を出発し、次のルートを経由してハイドパーク(Hyde Park)まで。  Bridge Street, Parliament Square, Parliament Street, Whitehall, Trafalgar Square, Cockspur Street, Pall Mall, Waterloo Place, Regent Street, Piccadilly, Hyde Park Corner, Park Lane, South Carriage Drive.

○集会場所:ハイドパーク

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・・・なんじゃあ?というのが初めてこのメールを見たときの感想。

不測の事態って何だろう。デモに爆発物などが仕掛けられやすいから近づくなとかってこと?いっておくが、トロントでG20があったときも、事前に暴動の危険は言われていたが、こんなメールは流れてこなかった。ううむ。ロンドンでは、過去、街中で爆破事件のあった経験から、やはり危機管理の意識が違うのかもしれない。日本総領事館も、もうちょっと不測の事態がなんなのかを示してほしい。こちとらロンドン初心者でよく危険性がわからない。不測の事態っていったら、どこに行ってもその危険性はあるわけで、そんなことを気にしていたらどこにも行けなくなってしまう。特にこのデモに近づくのがなぜ危険なのか、教えてくれないとよくわからない。


ところで、TUCのサイトhttp://www.tuc.org.uk/  をチェックしたら、明日のデモは、「March for the Alternative:Jobs, Growth, Justice」 と書いてある。ふーん。面白そう。そもそも10万人を超えるデモってなかなかお目にかかれるものではない。参加者がどんな意識を持って参加しているのかも気になるところ。明日はお天気もよさそうだし、ちょっくら出かけてくるとしますか。


もちろん、暴動が起きたら素早く逃げる。変な容疑をかけられたら、十分に反証もできないまま、軟禁され、強制送還されるからだ。そのあたり、イギリス政府の怖いところ。日本総領事館もそういうことが言いたいのだろうか。まあ、意味のよくわからないメールだが、そのおかげで面白そうなデモを発見できた。日本総領事館さん、ありがとうと、今日のところは言っておこう。





どうも最近目がかゆいなぁ、身体がだるいなぁと思っていたら、なんのことはない、花粉症がロンドンでも始まったことが発覚!ロンドンではマスクはできないだろうし、さて、どうやって対処するかなと思いつつ、とりあえず去年日本をたつ前にかき集めてきた薬を服用してみる。使用期限に若干の不安はあるが、しょうがない。つい先日、週刊金曜日に掲載されたインドの児童労働の記事では、子どもたちが使用期限済みの薬を服用し病気になるという話しを書いたばかりなのに、何の教訓も学んでいない私。

この前までロンドンに春が来たことを喜んでいたのに、今日を境にいっきに春が憂鬱な季節となった。はぁ・・・。

話は変わるが、先日、学生が主催する勉強会に参加。コソボで他民族融和活動をされている日本人のお話を聞く機会を得た。

コソボ・・・バルカン半島。あれだけ話題になりながら、歴史的経緯、民族的確執などちっともわかっていない私。この地域を知るきっかけとなればとスタコラ出かけていった。お話しで印象的だったのは、日本ブランドの使い方。コソボのような日本から離れた地域で他民族融和を日本人が働きかけることが現地の人にどう受け止められるのか興味があったが、逆に日本が地理的に離れたところにあって、国としてはよくわかんないけど、経済的に成功しているというよいイメージがあるから、むしろ中立的な立場で働きかけることができたということ。プロジェクトを遂行するのに、日本ブランドは意外と役に立つと聞いたのは新鮮な驚きだった。また国際機関や政府がやる押し付け(消化的)プロジェクトではなく、NGOとして、現地のニーズに合わせて活動しているので、現地の人々の自立心を養い、その後の自発的な活動につながる場合が多いという。

世界のどこかで、こうした、とある日本人の豊かな発想が身を結んでいく。ひとつひとつの活動、与える影響は小さいかもしれないけれど、やりかた次第でいろんな国際貢献の仕方があるんだと知ることができて有意義なひとときであった。

バルカン半島はヨーロッパの火種だと、そういえば中学の歴史の授業で習ったっけ?バルカンがくしゃみをするとヨーロッパが風邪を引くって諺はなかったかなと、むりやり冒頭の花粉症にひっかけてみる。

有効な処方箋はないかもしれない。でも、うまく付き合っていく方法があるはず・・・



expat(エクスパット) = expatriate エクスパットとは、国外在住者の略である。

先日、滞在4ヶ月が過ぎようとしていて、初めてパブらしきところに行った。飲めない(飲まない)私にはめったにない機会であった。パブらしき・・・というのは、行こうとしていたレストランがいっぱいで席があくまで併設のバーで飲んだだけなので、正確にはパブではないから。しかし、パブカルチャーはここでもお目にかかれた。(と思う。なにしろ本物のパブに行ったことがないからわからない)

驚くのは、英国人の忍耐強さ。2時間以上平気で立ったまま、ビール片手に何もおなかに入れずに、騒がしくて隣の人の声もよく聞こえないところで、声を張り上げながら会話をしつつ、ひたすら飲む。よく急性アルコール中毒で倒れないものだと感心する。飲めない上に、こんな騒がしいところでは英語もよく聞き取れない。この先もパブカルチャーとは縁がなく過ごしそうである。

英国人・・・と書いたが、この前、スパニッシュ・タパスを食べようと集まった9人のうち、実は英国人は1人もいなかった。米国人3人、カナダ人2人、スペイン人1人、ベルギー人1人、フランス人1人、日本人1人という内訳。すべてエクスパットである。

ううむ。私がなかなかブリティッシュ・イングリッシュに慣れないのは、周りの環境に英国人が少ないからではないか。

しかし私ばかりではなく、気づいてみるとエクスパットの知り合いしかいなかったという人はよく聞く。本物の(?)英国人はどこにいるのか。今年は早いうちに英国人の友人を作ることを目標としよう。

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ところで、英国にいると国の概念がよくわからなくなる。EU加盟国の人たちは、就職、就学において英国人とほぼ同様の扱いを受けているようだし、逆に、スコットランドでは、スコットランドとEU出身の人は大学が無料なのに、イギリス人は授業料を払わなければならないという。もちろん、海を越えればもっと人の出入りは激しくなるわけで・・・

国、地域、民族が交差するヨーロッパ。北米にいたら味わえない感覚ー常に流動的な時代の中にいるという居心地の悪さは、歴史と時代を作っている一部をなしているという優越感とともに、不思議な感覚を私にもたらしている。