フリーランスのエンジニアにとっても大きくかかわるものとして、業務委託契約というものがあります。この業務委託契約とは、委託者が業務や成果物を受託者に委託し、その対価として報酬を払う契約のことを言います。フリーランスのエンジニアであれば、企業からホームページの作成といった仕事を依頼されて、成果物(作成したホームページなど)を納品することで報酬を受け取るといった契約になります。

ちなみに業務委託契約という言葉は一般的に使われていますが、実は民法上には「業務委託契約」という言葉は出てきません。この業務委託契約に該当するものとして、民法には「委任契約(準委任契約)」と「請負契約」というものがあり、あくまで業務委託契約という言葉はこの二つの契約を総称する慣例的な言葉なのです。

冒頭に挙げた成果物を納品するという契約は請負契約になります。もう一方の委任契約(準委任契約)は、成果物を納品するのではなく契約書に書かれた業務を遂行することで報酬を受け取ることができる契約になります。委任契約と準委任契約との違いは、業務内容が法律行為であるかどうかの違いで、遺言作成などの弁護士に依頼する業務は委任契約で、それ以外の法律行為を含まない業務依頼が準委任契約となります。

また雇用契約とは違い、業務委託では企業がフリーランスに対して業務のやり方を指揮命令することはできません。雇用契約では労働者は企業からの指揮命令に従う必要が出てきますが、業務委託契約ではフリーランスと企業の関係は対等の立場であり、そういった拘束性がないのが特徴でもあります。

自由な働き方ができて収入がアップするなどメリットばかりが強調されるフリーランスですが、実はデメリットも存在するので、両方知っておくことは大切です。これから独立してフリーランスになるエンジニアは、デメリットからも目を背けず、対策しておきましょう。

フリーランスのデメリットの1つは労働基準法が適用されないことです。
雇用関係にある労働者は、労働時間が決まっており、報酬も確実に受け取れる。残業すれば残業代が、休日出勤すれば休日手当が支払われます。
確かにブラック企業はまだありますが働き方改革関連法が施行され、労働者の労働時間はきちんと法律で制限されています。

その反面、フリーランスのエンジニアは、労働時間を自分で自由に設定することが可能です。
「週に3日しか働かない」「午前中しか仕事をしない」など自分で自由に決めることもできますが、仕事量が多くブラック企業並みに働かなければならないフリーランスもいます。
契約書を作成してもらえない、納期や報酬を一方的に変えられる、決められた通りの報酬が支払われない、あるいは、納品を拒否されるなどのトラブルが起きやすいというのも実情です。

これから独立するエンジニアは、これらのリスクを予期しておくべきです。
労働基準法の代わりにフリーランスを保護してくれる独占禁止法や下請法に精通しておくといいでしょう。
難しい法律書を読む必要はありません。YouTubeには、分かりやすくこれらの法律を説明した動画がたくさんアップされているので参考にすることができます。

聞き馴染みのない労働基準法ですが、まずがこちらのサイトに目を通すと理解しやすくなると思います。