この冬は東北地方の雪を眺めながら過ごしております。
ここ岩手県沿岸南部では 雪かきが必要なほどの積雪量はないものの
昨日も今日も今朝から舞って うっすら積もる純白の雪。
昨年から降り始めて
ここではもう珍しくもない雪。
年甲斐もなく雪が降るとウキウキ ルンルンしていた気持ちが
消失していることに気づいてしまいました。
でも
さすがに一面 ふかふかの真っ白な雪に覆われている景色には
心の底から歓びが溢れてきますが・・・。
昨年8月からこちらで暮らし、目に見える環境の変化は・・・
津波で潰された車やガードレールは
今日になっても所々で目に留まるものの 海から5キロ以上も
離れたところにあった瓦礫はほとんど片付けられています。
そして、津波で流されて何もなくなり
平地に整備された空き地スペースには
仮設店舗ができたり、震災前よりも規模を縮小し場所を変えて
オープンしたお店がぽつぽつと出来始めました。
昨年11月には、家の近所にケーキ屋さんがオープンしました。
店内に10人も入れば窮屈になりそうな小さなかわいらしいお店です。
ケーキのショーケースの後ろ側はガラス張りになっていて
お菓子の創作風景が見られます。
ケーキの創作はお父さんと娘さん、
レジはきっとお母さんだろうな・・・
と
そんな風に見受けられる(多分)家族経営のお店。
昨年、早速ケーキを買いに出かけました。
ケーキを選びお会計を済ませてお店を出る際には
創作場所にいらっしゃった(多分)ご主人と娘さんも
「ありがとうございました」
と
ガラス越しに軽く頭を下げて目で挨拶をしてくださいました。
そして、お店を出た瞬間、なんだかあたたかいものが
胸に込み上げてきて私の目には涙が溢れてきてしまいました。
後からわかったことですが、このお店「西洋菓子 ロレーヌ」さんは
震災前はもっと南側の海に近いほうに店舗を構えており
あの津波ですべて流されててしまったそうです。
その後、昨年11月に 場所を変えて再オープン。
このようなお店がけっこうあります。
先日は 同じように被災後お寿司屋さんを再オープンさせたご主人は
まだまだ(お店を)できるような状態ではないけれど
皆がお寿司を待っていてくれるから
お店をすることで 皆のためになる、
復興のお役に立てるから再開させた
とおっしゃっていました。
そういうお気持ちの方のお店へ入ると
無条件にあたたかい気持ちになって幸福になります。
でも、そういうお店ばかりではないのも確かです。
どんな形であれ、再オープンしたものの
まだまだ悲しみの中にいらっしゃる方も・・・。
今年は皆、明るく楽しい気持ちになれる瞬間が少しでも増えたらいいな
と思う新年の始まりです。