僕は、大学生の時にAT限定の自動車運転免許を取得したものの、結局、車を乗りこなすということに成功しているわけではない。特に、「一度、通ったことのある道」を覚えて、その道順をカーナビを使わずに、その「経験と記憶」を頼りに、もう一度、同じコースで車を走らせる...といったことや、駐車場に数多く駐車された車の合間を縫って、バックを使いながら上手に駐車するといった運転技術など、一度、自動車教習所で習った運転技術でさえも、なかなか自分の思い通りに、車体の動くイメージと、実際に、自分が動かしている車の動き方のイメージが、合致しない...ということがあり、正直、悪戦苦闘していた。一応、自動車教習所の卒業試験では、一回目こそ、落ちてしまったものの、二回目に満点を取って卒試をクリアしたため、全くセンスがないのとは違うとは思うのだけれども、ただ単純に自動車の運転の練習が足りないというのだけでは、説明がつかない部分というのが、ふんだんにあるような気がしてならなかった。

 そして、これと同じようなことが、僕が一番、長い時間、費やしてきた職種である「経理職」における「経理実務」においても、ある程度、言えるような気がしていて、要は、「実務経験の勘所」というか、「ここさえ押さえておけば間違いない」みたいなものが、長年、ルーティーンを回しているにも関わらず、勉強して得られる知識面で言うのであるならばまだしも、知識面以外の「勘所」の部分、特に、予算編成などの際の「落としどころ」などを、各部署と連携して調整していくような作業というのが、なかなかprogress(上達)するどころか、戦力にすらなれなかった...という、過去の実績がある。一応、同じ「経理業務(経理実務)」においても、その経理実務を行う会社が違うと、一応は通用する...という経験もしていることから、経理実務については、必ずしも、自分に「実務経験の勘所」を把握、察知する能力がまったくない...というわけではないのだけれども、あくまでも、体系的な会計理論の理解が求められてくる側面が強い経理実務であったうえに、経理実務としての作業ボリュームそれ自体は、昔、所属していた会社と比較すると、少なくて済んだ...といった側面が、非常に大きかったように思う。

 したがって、経理実務にしても、すべての会社での「経理実務」が通用しない...というわけではないとおもうのだけれども、同じ経理実務などでも、より「ディフェンシブ」な運用が求められてくるようなポジション...たとえば、与信管理や資金繰り、買掛金管理などについては、それ相応のポテンシャルがあること自体は、認められなくもないが、一方で、「オフェンシブ」な運用が求められてくるようなポジション...たとえば、予算編成、売掛金管理、予実管理などについては、正直、ポテンシャルとして、本職にして良いほどのポテンシャルを秘めているわけではないということが言えるかと思われる。