こんにちは!
ふくドラ@中小企業診断士です。
なんの脈絡もなく、
唐突な話題で恐縮ですが——
実はワタシ、
腕時計にだけは、
少しこだわりがあります。
いわゆる、
超高級ブランドではないもの、
一般的に高級時計と称されるものを、
シチュエーションで使い分けています。
ただし!
それ以外の、
身につけるものは、
驚くほど「質素」です(笑)
スーツも靴も、
カバンもネクタイも、
すべて総合スーパー等で揃えるのが常。
むろん、
自家用車も国産です。
いわゆる「大衆車」に乗っています。
かつて、
経営者のはしくれとして、
それなりの高収入を得ていた頃でも、
ず〜っとそんな感じでした。
毎月の小遣いだけは、
少し多めに女房から受け取りつつも——
でもそれは、
部下に奢る食事代のため。
自分の贅沢に使うことはほぼ「皆無」。
何も知らない人が見れば、
外見は普通のサラリーマン。
私のいでたちからは、
バブルのかけらも感じないはずです(笑)
当時の、
経営者仲間からは、
奇行に映っていたでしょう。
私自身も、
その自覚はありました。
だって確信犯でやっていたのですから。
では一体、
なぜそうしていたのでしょうか?
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■質素であることの必然性
むろん――
単に「節約のため」ではありません。
もともと、
少し貧乏性の傾向はありますが、
決してケチンボウではない(つもり)。
質素に生きることには、
中小企業の経営に携わる上で、
ふたつの必然性があったからです。
ひとつ目は――
小売業を営んでいたから。
ビジネスにおいて、
コンシューマを顧客としているなら、
「一般人の感覚」
それを失うことは致命的です。
自分の生活水準を、
むやみに上げていけば、
無意識のうちに「当たり前」は変わる。
すると、
商品の値ごろ感や、
価値に対する経営判断がズレてくる。
小売業に携わるリーダーは、
■庶民感覚から逸脱してはならないのです。
~~~~~
ふたつ目は――
代理店・下請けとしての事業部を、
いくつか担当していたからです。
企業同士は、
建前上は「対等の立場」です。
でも実際には、
発注側と受注側では、
「厳然たる力関係」
というものが存在します。
それが当たり前でしょう。
もしも、
発注側の担当者さんに、
「儲かってそうだね?」
「調子にのってるんじゃないの?」
そんな印象を、
与えかねないブランド品を、
不用意に身にまとえば何が起きるか?
値下げ圧力を強められるかもしれない――
やっかみで仕事を干されるかもしれない――
いずれにせよ、
余計な「摩擦」を生みだしかねない。
代理店・下請けの事業を行うなら、
■発注元を刺激する贅沢はご法度なのです。
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■従業員は「階層意識」を嗅ぎ取る
この原理原則は――
従業員に対してだって同じでしょう。
どの企業でも、
給与は役職に応じて上がっていきます。
それ自体は当然のことです。
しかし、
給料の上昇にあわせて、
不用意に生活レベルを引き上げていくと、
自分の中に階層意識が芽生えてくる。
厄介なことに、
そうした感覚は空気として伝わります。
従業員というものは、
上司から漂う「その手の臭い」を、
驚くほど正確に嗅ぎ取るものです。
その結果、
ドラッカー流に言えば、
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・「われわれ」という一体感から、
・「あいつら」という分断に変化する
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私自身――
自分のキャリアを、
「月給16万円台の販売員」
そんな最下層からスタートしたので、
ドラッカーの指摘はよく分かるのです。
だからこそ、
質素であり続けることは、
彼らと共に働く上での大前提でした。
それは、
たんなる「美徳」というよりも——
関係性を壊さないための、
必然的な行動規範だと言えます。
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■メザシの土光さんと清貧
みなさんは、
「メザシの土光さん」
そんな風に呼ばれた、
土光敏夫氏をご存知でしょうか?
かつて、
危機に陥った東芝の再建を果たし、
経団連会長も務めた名経営者です。
その私生活は、
驚くほど質素だったことで有名です。
メザシと玄米の食事――
古く小さな自宅――
自分の経費は極力安く済ませる――
仏教徒でもあった彼は、
リーダーのとるべき姿勢として、
「清貧」
と称する経営思想を掲げました。
そして、実際に率先垂範したのです。
なぜ彼は、
質素な生活に、
こだわり続けたのでしょうか?
~~~~~
メザシの土光さんは、
徹底した現場主義を掲げ、
社員との腹を割った対話を重視しました。
労働争議が激しかった時代――
たった一人で、
喧嘩腰の組合に乗り込み、
経営の実情を率直に語り続けました。
また、
社長室のドアを開けたままにし、
意見がある社員の出入りを自由にしました。
もし彼が、
豪奢な生活を送り、
遠い存在のままであったなら——
同じ言葉を、
熱心に語ったとしても、
「社員から信頼は得られなかった」
そう言えるのではないでしょうか?
清貧にこだわる、
日々の振る舞いそのものが、
言葉の説得力を支えていたのだと思います。
~~~~~
むろん——
メザシの土光さんの、
清貧な生活へのこだわりは、
「変わり者」
と映る場合も多かったでしょう。
新聞で揶揄されたこともあったようです。
彼の経営思想について、
受け止め方は人それぞれだと思う。
でも私は――
額面通りに受け止めました。
たしかに、
小さな中小企業においてこそ、
「従業員からの信頼」
それを得るために、
絶対に必要なことだと思ったのです。
そして実際に――
課長時代から、
取締役を退任するまでの間、
従業員目線での生活を維持し続けました。
――――――――――――――
■贅沢は「文脈」で価値が決まる
では——
中小企業の経営者は、
一切、贅沢すべきではないのでしょうか?
むろん、
そうは思いません。
冒頭で触れた通り、
私は「腕時計」にだけは、
少しこだわりをもっています。
精巧な部品のムーブメント――
匠の技が光る文字盤――
熟練工による手作業での組立――
小さな機械の中に、
詰め込まれた技術と美しさには、
ロマンを感じてしまいます(笑)
〜〜〜〜〜
仕事で疲れたとき、
ふと左手首に目を落とすと――
ほんの少し、
踏ん張る力が湧いてくる。
私にとって腕時計は、
単なる装飾品ではなく、
気持ちをアゲてくれるツールです。
おそらくですが
重要なことは、
それが「何であるか」ではなく、
「どう持つか」にかかっている――
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■贅沢は「文脈」で価値が決まる(続)
「単に高級ブランドを身につける」
そんな振る舞いは、
あまりスマートとはいえないでしょう。
往々にして、
「成金趣味」
と受け止められるのがせいぜいです。
だからこそ、
庶民にとっての贅沢品には、
・必然性なかで、
・嗜みとして手に入れ、
・こだわりをもって愛用する
そんな成熟が必要なのだと思う。
つまるところ――
大切な人からのプレゼントや、
何かを成し遂げた時のご褒美といった、
「文脈」
「ストーリー性」
が欠かせないのです。
その有無によって、
身につけた高級品の印象は、
まったく変わってしまうのでしょう。
――――――――――――――
■息子達と高級時計
この春、
長男の就職祝いに腕時計を贈りました。
私が長年愛用してきた、
機械式の「グランドセイコー」です。
もちろん、
事前にオーバーホールに出し、
新品同様の状態にしてから渡しました。
彼の職場は、
公的な研究機関であり、
単に高級時計を身につけていれば、
新人としては少し浮きそうな気がします。
でも――
「就職祝いに父の愛用品を引き継いだ」
そんな文脈があれば、
身分不相応とは思われないでしょう。
また彼は、
少し寂しがりな面があります。
だから、
家族の気配が残るような形で
自分が使ってきたものを渡したかった。
~~~~~
そして、
次男は来春から社会に出ます。
彼には、
ややカジュアルなデザインの、
新品の高級時計を贈るつもりです。
彼は会計士試験に合格しており、
ビッグ4某社への内定も決まってます。
所謂パートナー面接を経ての入社なのです。
おそらくは――
いずれ社会的地位もあがり、
それに応じた付き合いも始まると思う。
そうなったら、
もっと本格的な高級時計を、
彼自身の収入で選びなおす様な気がします。
その時、
私のプレゼントしたものは、
普段づかい用に落ちつくでしょう。
そんな使い分けも、
彼の人生を彩っていくような気がします。
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■さいごに
結局のところ、
われわれのような庶民にとっては――
贅沢品や嗜好品とは、
・価格だけではなく
・意味で測られるべきもの
なのだと思います。
ただ単に、
高いものを身につけるだけでは、
成金趣味と紙一重です。
しかしそこに、
文脈やストーリー性があれば、
同じモノでもまったく違う輝きが出る。
~~~~~
そして、
中小企業の経営者にとっては、
・ブランド品へのこだわりも、
・土光氏のような経営思想の実践も、
本質は同じではないでしょうか。
ただ
上っ面だけを「気に入り」、
安易に「飛びつく」のではなく、
文脈を持てるかどうかが重要です。
中小企業の経営者など、
しょせんは庶民の延長線にすぎません。
だからこそ——
背伸びではなく、
「文脈のある振る舞い」
を選びたいものだと思います。
むろん、
私自身だって、
その様にし続けるでしょう。
ここまで読んでいただき、
誠にありがとうございました!
そして今回も、
お疲れさまでした!
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マネジメント/管理職/店長/ドラッカー/人材育成
リーダーシップ/経営者/福山市/商工会/ビジネス
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