「犬猫里親会」~ご挨拶~
境内に柔らかな春光が満ち、新しい命の息吹が至る所に感じられる季節となりました。
門信徒の皆様、地域の皆様におかれましては、日頃より福勝寺の歩みに温かなお心寄せを賜り、深く感謝申し上げます。
さて、本年3月29日(日)、福勝寺境内にて本年度最初となる「犬猫里親会」を開催いたします。
浄土真宗の教えにおいて、私たちは「摂取不捨(せっしゅふしゃ)」、すなわち阿弥陀如来の限りない慈悲の中に生かされています。
その慈悲の眼差しは、人間だけでなく、小さき命、言葉を持たぬ存在すべてに平等に注がれています。
親鸞聖人が「すべての存在は、かつての父母であり兄弟である」と仰ったように、今、目の前で傷つき、居場所を失っている犬や猫たちもまた、私たちと分かちがたい縁(えん)で結ばれた尊い命に他なりません。
「なぜ、守られるべき命が置き去りにされているのか」という問いは、現代社会の歪みを映し出す鏡です。自分には関係ないと目を背けることは、自らの命の尊厳からも目を背けることではないでしょうか。
私たちは、無明(むみょう)の闇の中にあり、一人では力の弱い存在です。
しかし、誰かの苦しみに寄り添い、共に歩もうとする「慈悲の心」を実践へと繋げるとき、殺伐とした時代は光輝く時代へと転換し始めます。気づいたその時こそが、仏縁のスタートなのです。
特に近年、飼い主の病気や不測の事態により、家族同然のペットが路頭に迷うケースが深刻化しています。現在、その重責を一身に背負い、汗だくになりながら命を繋いでいる個人ボランティアの方々の献身に、心からの敬意を表します。
これからは、個人の善意だけに頼るのではなく、
お寺という場を起点に、行政や地域社会全体で
支え合う「包括的な仕組み」を構築していく必要
があります。
これこそが、現代における「門徒活動」の真髄であり、念仏者の歩むべき道であると信じております。
福勝寺は、皆様の心の拠り所となる聖域であると同時に、今この時、絶望の底にある存在の傍らに立ち続ける「実践の場」でありたいと考えています。
今回の売上の全額寄付をはじめ、里親会やワークショップを通じて、誰もが「ここに来てよかった」「自分も何か力になりたい」と思える、温かな慈悲の土台を作ってまいります。
一匹でも多くの子が、優しい眼差しのご家族という
「縁」に出会い、安らかな終生を全うできるように。
そして、彼らと出会った皆様の毎日が、阿弥陀様のお慈悲に包まれた、笑顔あふれる日々となりますことを心より念じます。
皆様の温かなご協力とご支援を、切にお願い申し上げます。
季節の変わり目、どうぞ皆様ご自愛ください。
合 掌 南無阿弥陀仏
2026年3月29日
福勝寺住職 佐々木貴宏
坊守 佐々木晶子












