この時期になると
辛いことばかりフラッシュバックする。
たとえば
お灯明番してた晩。
眠ったフリをするしかなかった。
息子さんのご遺体の前で
「なんでこんな事になってしまったんだ」って泣き崩れる父親の姿。
3時頃。
で、4時頃は母親がやってきて線香灯しながらずっと泣き続けてた。
もらい泣きの声を抑えるので必死だった。
だけどこの二人は
この後、息子の妻と子供達から
ご遺骨を奪い、墓を建て、場所を教えず今に至る。
棺桶に釘を入れるとき
妻子が
「起きてよ。このままだと焼かれちゃうんだよ。お願いだから、目を覚ましてよ。」
あの場面は
一生忘れないし、思い出すたび涙が出る。
あの人が声を上げて泣いたのも忘れない。
間もなく命日だ。
墓はどこにあるか知らないから
妻子の家にある仏壇に手を合わせに行くしかない。
彼の魂は今どこにあるのだろう?
事故の現場か。
遺骨のある墓場か。
それとも妻子と暮らした我が家か。
出来る事なら
我が家にあればいいのにと願う。
そして
やがてまた311が来る。
もはや見知った場所は見る影もない。
記憶もだんだん朧げになっていく。
生き急げと、どこかで叫ぶ声がする。
瞬く間に過ぎてしまうから
生きてるうちに精一杯楽しめと。
この難しい時代を
どうやって?
災害のあとは疫病で
その後は戦争ときたら
もはや時代は末法では無いのか。
でも
生きてるうちに
精一杯愛して楽しめと叫ぶ声は
いつも
死者だ。
