よくミルト・デブーロです。

最近一部に人気?火事場シリーズ音譜

今回はおたふくソースな時代?の攻略本の話です。

お時間がある時に是非!



ある日、久しぶりに友人Kから電話がかかってきた。

「久しぶり!急やけど今週競馬いかへん?」


という事ではじめて阪神競馬場に行った時の話。
まだ阪神大震災の前だった。


平日の仕事の激務と初めての仁川で、阪神競馬場に付いたのはお昼前。
ケータイ電話もない時代にうまく待ち合わせに成功できたのは奇跡。

「ゴメン、遅れた」

「いやいや。」

とご機嫌。

…彼の手元を見ると何やら冊子が…


「あ、これ?攻略本。これで今40くらい勝ってるで」


寝起きの頭にイキナリの展開。
40万円とか攻略本とか。
しかもなかなか手を出しづらい、ほんまもんの攻略本ではないか。

ちょうどお昼なので障害レースの間、奢ってもらったカレーライスを食べながら彼の話を聞く。


その攻略本・券王(仮名)はその頃よく雑誌広告を週刊誌に載せていたが、まさか身近に買う奴がいるとは…

その「券王」というキットは簡単に言うとデータ集のようなものだった。

例えば「3歳500万クラス芝1200m、9頭立て」ならこういった傾向だからこの4点を買え!というもの。
馬連対応したてだったような。


確かに傾向とかは参考になるとはいえ、こんなもん4万円で買うなよ…怪し過ぎるわっ!と心の中で思うも…


(注記・この頃は単複馬連までしかありません。またケータイもネットもなく、予想はアンドリュー・ベイヤーより大川慶次郎。大卒初任給は18万円強弱の時代でしたしょぼん)

この券王、データを毎年更新する為に毎年買い替えなければならないスグレモノむっ

ユーザー泣かせやん。

まあとはいえ、鉄火場好きの私、ポテンシャルは興味あります。

実際当たるのかどうか見てやろうじゃないか。


午後になり後半戦を戦うが、「券王」は豪拳ならぬ豪券を一切見せず、あっという間にメインレースに。


私は持ってきた2万円が無くなりかけていて選択を迫られていました。


12Rに買いたい穴馬がいるけれどメインを買えば最終は買えなくなる。


今なら多分メインレースはパスするでしょう。
しかし若かった私はメインレースで勝負し、そして破れました。



一方「券王」もサッパリ当たらずだったよう。

最終レース前に、私はKに「金無くなったから最終レースはヤメるわ」と伝え、リタイア宣言。
すると彼も「オレもちょっとだけ買うわ。買ったら帰ろうか」と落ち込んだ感じ。


その後衝撃の一言が!


「なんかいい馬いる?」



なんともう券王を放棄ですかっあせる


私は当初買うはずだった穴馬をすすめましたが、「まだ多少勝っているやろうから、あまりたくさん買わない方がいいで」とアドレス。
するとKは軽く頷き買いに行きました。

そして彼が何を買ったか判らず電車に乗り…
負けた日の帰り道の切なさを噛み締めながら、たいした会話もなく地元に到着すると、彼が切り出しました。


「一応的中してるか確認しに行っていい?」


夜テレビでダイジェストやるやん!でも人に教えた手前、推奨馬がどうなったのかを知りたい気持ちがあったので、一緒に場外までついていきました。


場外に着き、人でごった返す壁に向かってKは突っ込んで行き、見えなくなりました。


待つこと数分。


戻ってきた彼が見えた時、


「獲ったで!」


右手を真上にかざしました。

そんな、恥ずかしいわっ!

でもこんな興奮した彼を見るのははじめてです。


私の推奨した馬流し2点で40倍的中!


「いくら買ってたん?」


「1万円ずつ」


えーっ!完全にヤケで買ってるやん!

でも当たったけども。


はっ。

スゲー!オレの穴馬!
券王を超えたぞっ!

でも、自分は買ってない(ああ無情)


そんなテンションの中、はじめて数十万円を払い戻しを間近に見る。
昔の機械だったのでやたらと長かったのを今でも思い出します。

ま、優越感に浸れる待ち時間。


至福の傍観。


彼は御礼に二万円くれ、結局私はチャラというオチで。

彼は60万円は勝っていましたね。

競馬って素敵。


因みにKのその後。

ある日、違えて裏開催の二万馬券を1万円当て200万円獲得したという。

しかし実力で勝った訳でもないのに羽振りが良くなり、あっという間に転落人生。
今はどこへ行ったのか。

あの時私が穴馬を教えなければ彼が暴走することもなかったかも…


私はまだ「複勝に一万円」でビビッています。


ま、ちょとずつ行けばいいさ。
ケンオウに勝ったんだから。


私の予想は一子相伝である。