よくミルト・デブーロです。

今日はかなり昔の話を書いてみました。


ディープインパクトから競馬をはじめた人にはかなり昭和な話です得意げ

ちょっと長いので、興味のある方はご覧くださいかお



昔、ナリタブライアンというとてつもなく強い馬がいました。


これはブライアンが2冠目を賭けたダービーの日の壮絶な?話です。


その日の競馬はあまり面白くもなく、ましてやナリタブライアンのダービーなどは安く当てても儲からないので、朝から近所のパチンコ屋で「ギンギラパラダイス(懐かしい)」を打っていました。


たいした盛り上がりもなくそこそこ負け飽きてきたので、それならまだ間に合うダービーを買いに行こうと。

時刻は2時半くらい。急げば間に合いそうです。


私の狙い目はヤシマソブリンとフジノマッケンオーの穴狙い。

特にヤシマソブリンは坂井千明が騎乗していたので頑張って欲しかった。

(私の場合の「ヤシマ作戦」はヤシマソブリンからの馬券になりますシラー)


店を出る前に、いつも一緒に打っている常連のお姉さんに、「今からダービー買いに行くので帰ります」と軽く挨拶しました。


その時でした。

後ろにいた、明らかにサラリーマンではなかろうでっかいオッチャンが「競馬買いにいくんか、ほなワシのも買って来てや」と声をかけてきました。


今まで自分を「ワシ」という人で相性のいい人はいませんでしたが、パチンコ屋のヌシっぽいし、今後の為に買ってあげてもいいかな?


「ナリタブライアン出るやろ、ワシ皐月賞もとったしな」


と聞いてもない事を喋り出し、続けて、


「ダービーも単勝を狙っとんねんや」


単勝か… なんや、しょっぱいな~



「ほな、ブライアンの単勝を50万な」


ご、50万?


私のささやかな、ほのぼのとした日曜日が一変、こんなピンチになろうとは…

(ああ、あと1回魚群が出ていたら)


まだ大卒で18万平均だった頃で私には50万円は大金でしたえっ


確か当時はまだパットもなく(あってもごく少数のみ)場外馬券売り場(ウインズ)は人でごった返し。
流石に単枠指定はなくなってましたが。

マークシートもなく窓口でオバチャンに口頭で注文しなければなりません。


「ブライアンに50万ね」


と言うのは魅力的ではありますが、人の金、ましてや怖いオッチャンのはかなりマズイ。


「若造が生意気やな、おい」と怖い系や外人系に絡まれたらどうしよう。

※補足 当時はかなりの額を買ったりして購買が長引くと、後ろの客に覗かれたりバレバレでした。
またチンタラしていたらよく絡まれたりしていました


なんだか時間もやばくなってきてるし、事故で電車が止まったり道で困っている婆ちゃんがいたら無視出来ないし…。

こんな時って不思議と何かに遭遇する自信あります。


「ちょっと・・それは・・」


きっと数分だったはずの沈黙が何十分にも思えるほど長い。


やばい、やばいやばい。

この手の人はそろそろ大声になるはず。

とその時、「もうそんなこと頼みなさんな」と後ろから割って入ってきたのは、常連のおねえさん。

言われてみれば、気が強そうなおねえではある。
どうでもいいけど年が離れ過ぎてないか・・・などと思いながらも「このチャンス、活かさいでか」とばかりに「すいません」と言って脱出。


必死に走って駆け乗った電車の中でふと考える。

「もし、ブライアンが勝ったら、あのお店にはいけないな」と。

150円ついたら25万円のプラスだから、きっと「買ってくれたら儲かったのに」と八つ当たってくるに違いないから。

さらに場外まで走り、なんとか発走までに買い終え、くたくたな体と変な緊張、場内の熱気にモウロウとしながらモニターを見つめるとシャドーロールの怪物は大外に持ち出し、「ちょっと早いか」という実況をものともせず、1番で駆け抜けた。


ナリタブライアンの単勝120円。

2着は嫌いな岡部だから買わなかったエアダブリン

3着はヤシマソブリン

4着はフジノマッケンオー

今なら三連単で結構付いたはずだが当時は馬連しかない。


南井騎手のダービー初制覇は心から嬉しかったのだけど、レースはサッパリ覚えておらず、やけに疲れた記憶しかありません。

ちょっとあの店には行けなくなったので残念…。

数年後、ちらっと店を覗いたら、毎日いたお姉さんは居なかったです。


しかしまぁ、単勝に何十万も賭ける人をはじめて見ました。


その後ナリタブライアンは菊花賞を制し3冠達成しました。

でも私の興味はあの人が、単勝170円にいくらぶち込んだのか、です。